ソーラー (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Ian McEwan  村松 潔 
  • 新潮社 (2011年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900915

ソーラー (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

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  •  学界の住人の日常という個人的にはなじみのない世界が新鮮だったこと、声に出して笑ってしまうジョークの数々のおかげで星印2つを免れたが、短編を集めたようなまとまりのなさはEnduring Loveにも共通した落ち度だと思う。ダメ男が主人公の小説はダメぶりに読者が同情できない場合、ダメさにユニークな救済がない場合、物語に入り込むことも、物語にひっぱられるという読書の愉しみをもつことも読者としては難しいと感じた。マイケル・ビアードの表面的な女好きとは裏腹な、不感症ともいえる人間嫌いがコメディ的要素としっくりこないのもまとまりのなさに寄与しているのかもしれない。コメディ的要素が運動音痴の知的オタクVS肉体派とかイギリス人がアメリカ人の表現の単純明快さに心ひかれてしまうなど類型的なのもカンベンしてほしかった。いいアイデアがたくさんつまった小説だが各所がプロットや人物の説明になってしまっていて不器用さが目立つ。その最たるものは結末に至るまでの伏線の張り方があまりにもしつこいため、終わりから30ページ前で結末が予期できてしまったことだろう。
     薦められない本ではない。軽いエンターテイメントをという人になら躊躇なく薦めるし、映画化してもいいのではと思う。映画化した時にどこをどう端折るかが簡単に思いついてしまうのが悲しいところだが。

  • 書評の、マキューアンの作品で最も笑えて最も悲しい、というのがまさに。
    どうしようもない男とどうしようもない周囲の人々を描く筆には、たくさんの皮肉とちょっとの同情が込められているように思う。
    科学的な知識があればもっと楽しめるのだろうが、なくても充分面白い。
    誰かの悲劇は誰かの喜劇。
    自分の悲劇も誰かの喜劇。
    やっぱり上手いなぁ、マキューアン。

  • ノーベル賞受賞者である物理学者を主人公にしたブラックなコメディ。けれども物理学をはじめさまざまな科学分野に対する取材が徹底していて舌を巻いた。日本の小説家は果たしてここまでするだろうか。

  • ★2.5かな。
    初読の時の感想もいまいちだなぁだったけれども、今回もそれを覆すことは出来ず。
    主人公の徹底的な自己中心が社会そのものの縮図として設定しているように思うのだけれども、うーん、この作家にしては何というかそのまま終わってしまった感じ。
    社会そのものの主人公をさらに上からの目線で設定し直すといった構成が本作にはないに等しい。主人公のだらしなさにある意味共感はするんだけれども、、、と少々失望。
    あと訳がちょっとどうかな?文章がやたらと長い、これは翻訳ものの常的特徴なんですが、こういうのを読むと原文で読めば?と暗に仄めかされてるように感じるのはひがみ過ぎですかな?

  • ストーリー・テラー、イアン・マキューアンの新作はダメ男とエネルギー問題を語る、どういう組合せ?
    主人公は「デブチビハゲ感じ悪い、女癖悪い」オヤジだ。若くしてノーベル賞を受賞するが、今では過去の栄光にすがり地位と金を得る手段にしかしていない。
    ストーリーはダメ男が自分がまいたトラブルの種でバカバカしい程のトラブルに巻き込まれ、にっちもさっちもいかなくなる話。コーエン兄弟の映画のようなシニカルな不条理劇。ラストのカタストロフには快感を覚える。しかしこのビアード教授が憎めない、「悪役」ではない。人間臭くて可笑しみと悲哀を感じる。
    タイトルのソーラーは、太陽光によるソーラー発電である。原子力発電や温暖化問題を語る小説でもある。

  • 豊崎さんが以前絶賛してたけど、僕には合わなかった。笑いのツボが違うのだろう。

    責任は誰も負わない。面倒は先送り。それでも世界はなんとかなっている。今までなんとかなったから、これからもそうだろうと。

    でも、今まで生きてこれたからと言って死から逃れた人はいない…

  • 第2回(2012年度)受賞作 海外編 第6位

  • 色々読まねばなものを差し置いて一気読み。温暖化、太陽光による代替エネルギービジネスを軸に、過去のノーベル賞を頼って生きる物理学者ビアードの卑小さを風刺する。『素粒子』にも似た読後感だけど、もっとシニカルかつ、我が身に引き寄せて考えずにはいられないところも。しかし所々声をあげて笑ってしまった。

  • 途中でやめてしまった。

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ソーラー (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

マイケル・ビアードは、狡猾で好色なノーベル賞受賞科学者。受賞後は新しい研究に取り組むでもなく、研究所の名誉職を務めたり、金の集まりそうな催しで講演をしたりの日々。五番目の妻に別れを告げられた後は、同僚の発明した新しい太陽光発電のアイディアを横取りしてひと儲を狙っている。そんな彼を取り巻く、優しくも打算的な女たち。残酷で移り気なマスメディア。欺瞞に満ちた科学界とエネルギー業界-。一人の男の人生の悲哀とともに、現代社会の矛盾と滑稽さを容赦なく描き切る、イギリスの名匠による痛快でやがて悲しい最新長篇。

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