ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Alice Munro  小竹 由美子 
  • 新潮社 (2013年12月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901066

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ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • 登場人物の人生にそっと寄り添い、綴ったような短編集。読むと私もその人生を追体験したような気持ちになる。これが創作だなんて信じられない。
    ただし後半の数作品は作者自身が自伝的要素がある作品だと断っている。母親との関係が興味深かった。そのストレートにいかない関係がまさに人生だなと思った。彼女が簡単に納得したりごまかしたりせず、冷静に自分を観察するから小説を書く人になったのだと思った。

  • 日本に届く */アムンゼン */メイヴァリーを去る/砂利/安息の場所 */プライド/コリー/列車/湖の見えるところで/ドリー */目/夜 */声 */ディア・ライフ *

  • 読んだけど、不思議なくらい、言葉が頭に入ってこない。
    なぜ?

    この小説の言葉を、脳が、拒んでる。

    ギブアップしそうだったんだけど、ムリして、2つの短編を読んだ。

    あまりにも、小さな家の中の出来事すぎて、どうでも良いとしか思えなかった。

    アリス・マンローは性格が悪い。

  • 2016/2/23購入
    2017/7/30読了

  • ノーベル賞を受賞したため最新作の本著の刊行が早まり、後書きに作家たちの祝辞が掲載されている。めでたい、なによりだ。
    最新作にして最後だという。年齢からしてそうなのかもしれないが、最後にふさわしい作品になっていると思う。ラストの自伝的だと前置きされた短編は、老境を迎えた作家が、魔法のように自らの幼少期の記憶を鮮やかに切り出す。この克明な描写とイメージの扱い、記憶と時間を操る名手だ。そう、マンロ―の短編では、時に時間は永遠にたゆたい、時に数十年もふっと飛び、気が付くと思わぬ場所に運ばれていることも多いのだ。
    それにしても、この短編集、「マンローにしては読みやすい」と感じた。マンロ―はけっこう難しい作家なのだが、初心者がこれから読んでもいいのではないかと思うほど。

  • 2015.06.09読了。
    短編にこれほどの力があるとは。

  • 図書館の特設場所に置かれていて「どこかで聞いた著者名…。」と
    本を手に取って裏表紙を見たら「2013年ノーベル文学賞受賞。」とあったので納得
    日本では必ず報道されるノーベル文学賞、季節の風物詩

    全作品が淡々とした文章でしっかりと人生が書かれている
    カナダの歴史、宗教、政治に詳しくないので
    今一歩読みが浅くなってしまった
    特に宗教に関する登場人物の設定が細かくて
    ○○派、と書かれてもなかなか肌で感じることができない...
    『砂利』『コリー』『列車』がお気に入り。次は『善き女の愛』を読もう

  • 「罪。彼女はほかのことに注意を向けていた。なんとしてでも探し求めようとする注意力を、子供以外のものに向けていたのだ。罪」。グレタは女流詩人だった。夫と子どもがいる女にとっては、あまり誉められる生き方ではない。夫は寛容で干渉しないが、積極的に応援するわけではない。ハリスとは一度会っただけだった。なのに忘れられない。夫が仕事で家を空ける夏、グレタはトロントに住む友人に休暇旅行中留守にする家の番を頼まれる。ハリスに到着日時を知らせる手紙を書く。住所は知らないので、コラムを書いているトロントの新聞社宛てに。瓶に詰めた手紙をバンクーバーから海に投げ、日本に届くことを祈るようなものだった。

    マンローは、短篇集を編む時、作品の選択だけでなく順序にも気を配るという。その意味でも、巻頭に置かれた「日本に届く」は、アリス・マンローの短篇の見本のような作品だ。主婦という役割と、書かずにはいられない欲求との葛藤がある。自分を理解してもらえていないという不満の裏返しとしての理解しあえる相手に出会った時の一途な愛情の奔出がある。トラウマのように何度も描かれる我が子の消失事件がある。詩の引用がある。目まぐるしい人物の出入りと錯綜した時系列が駆り立てる焦燥がある。出会いと別れを主題とする話を、その象徴たる「駅」で始まり、「駅」で終わらせる、というため息をつきたくなるような見事な構成がある。

    北米大陸を走る大陸横断鉄道を舞台に繰り広げられる、女流詩人の「蹌踉めき」ドラマである。バンクーバーの駅で見送る夫に手を振り、トロントの駅で別の男の腕に抱かれてキスされるまで、たかだか三十ページの短さであるのに、次々と移り変わる車窓の風景同様、一人ひとりの登場人物がくっきりした輪郭を持ち、生き生きと動いて見せるので、回想シーンを含め、主人公の揺れ動く心情がいちいちこちらの胸に迫ってきて、まるで長篇小説、『アンナ・カレーニナ』や『ボヴァリー夫人』でも読んだような気にさせられる。これが、引退宣言した八十二歳の老作家の筆になるものとは信じがたい。

    何度もこれが最後といいながら、出版社の求めもあろうが、次々と出てくるアイデアにも促され、書き続けるマンロー。『小説のように』に次いで2012年に上梓された短篇集である。衰えを微塵も感じさせない十篇の短篇に、「フィナーレ」として括られた『林檎の木の下で』第二部の流れを汲む自伝的な四篇を含む。母親が目を離した隙に子どもに危機が及ぶという「日本に届く」と同じモチーフを、子どもの視点から描くことで、別の罪の物語として見せた「砂利」。徒に帰りを長びかせる帰還兵の見せる度重なる逡巡にも、その一時の隠れ場所となったあばら屋の女主人の独り居にも人には言えぬ理由があった。巧みなプロットに唸らされる「列車」。

    人生の危機は、躊躇や油断といったほんの一瞬の隙を目がけて襲い掛かる。その一瞬の記憶がその後の人生の長きにわたって人を苛む。何故目を離したのか、何故言われた通りしなかったのか、あの時、自分は、相手は何を考えていたのか、いなくなった者は答えを返さないから、残された者はいつまでたっても問い続けるしかない。誰かが自分に代わって罪を引き受けてくれることを信じられるなら救われるのかもしれない。罪を背負ってくれる他者を信じない者にあるのは、何度でも同じ問いから繰りだされる物語を紡ぎ続けることだけだ。凝縮された短篇の中に読む人の数だけ物語がある。迸るような激情から、ほの温かいぬくもり、或はほろ苦さを感じる結末まで、人生の有為転変を緩急自在の筆使いで描き分けるアリス・マンローの熟練の手業に身をゆだねる悦び、これに尽きる。

  • 厳しいというのがまず感じたこと。もちろん現実とは厳しいものなのだから、小説もこうなるのは当然のことなのかもしれない。それから私が言葉に置き換えることのできなかったいくつかの事柄が言葉になっていて、腑に落ちた。ごく一般的にいってそうなのね、と。

  • 始まりは静かで時に退屈な感じすらして、すらすらと読み進めることができない。ところが予想外の展開で物語の渦に巻き込まれ、気が付けば夢中で読んでいる。そして唐突とも思えるようなラストに呆然とし、放り出されたところで立ち止まり考え込んでしまう…。

    濃い本だった。短編集だけど一話一話がずっしり重い。
    淡々とした文章、でも無駄のない的確な描写とその視線の厳しさに、心が波打つ。

    最後四話、著者の自伝的な話の中に出てくるのは、最近注目されている母と娘の複雑な関係。
    特に母親が歳をとってからの記述には考えさせられる。
    著者の筆致の中に見える冷えた感じが母親のそれと似ていて、そこに血の繋がりを感じてしまうのは、私の勝手な思い込みだろうか。

  • 日頃ほとんど意識しない、心の隅にごくうすく存在しているだけの茶色いシミが、ちょっとしたきっかけで、気のせいか黒っぽさが増す感じ。
    愛着。

  • ノーベル賞受賞、というと固くて難しい小説なのかと勝手なイメージを持ってしまうのだけど、全く予想と異なり、中まで入り込めるしなやかで魅力的な小説集だった。
    読んでいてジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」を思い出したが、私はこちらの方が好き。
    「停電の夜に」は鋭くシビアだったが、それは作者の若さゆえもあると思う。
    「ディア・ライフ」も、そこは隠しておきたかったというところを暴きはするけれど、人の弱さやずるさも苦笑で包むような、熟した人間のまろやかさを感じる。
    これが元々のマンローの作風なのかも知れないけれど、どこか達観し、無条件に慈しみを注ぐような眼差しは、年齢も無関係ではないように思った。
    特に自伝的なものと書かれた「フィナーレ」が秀逸。
    マンローはこの作品をもって引退を表明しているとのことだけれど、もっと読みたい、というのがわがままな読者の願い。
    叶うかどうかわからないけれど、それまでマンローの他の作品を読みながら静かに待っていたい。
    そう思わせる作品だった。

  • 最後に「フィナーレ」として、作家が自身について語る自伝的な4篇が収められている。

    「夜」には、口に出せない残酷な思いにとらわれ、それから逃れるように夜の町を彷徨い歩くようになった少女の焦燥感が描かれる。ある日、父親は、そんな娘をさりげなく肯定し、受け入れ、少女は救われる。私も一緒に救われたような気がした。

  • ノーベル賞を受賞した短編小説家ということで、気になって読んでみました。
    短編小説の真髄とはこういうものか、と理解しました。決してはっきりとストーリーを描かない。人物や情景の描写で何が起きたかを間接的に語り、精緻な描写で文章から絵を紡ぎ出しながら余白を残す。読者にゆだねながら力強いストーリーを展開する技術の高さに驚きました。こんな作家がいるんですね。
    もう新作は書かないと宣言されているそうです。「イラクサ」なんかも有名なので、ぜひ読んでみたいです。

  • ML 2015.4.25-2015.5.2
    途中でリタイア

  • アリスマンローを読んで2冊目の本。短編だから気楽に読めそうだから、マンローの場合文の密度が濃いので実際そうはいかず、二ヶ月かかってしまった。人間の日常の断片がこんなに輝くのは素晴らしいと思う。

  •  「北の大地、普通の人々のさまざまなリアル」この短編集では、そんなリアルが、1ページにいくつも展開するので、短編1つ1つが、それぞれ長編小説1冊分の「味とコク」を持つという不思議さを味わえる。
     「短編小説の女王」カナダの女流作家アリス・マンローは、現在82歳。 2013年のノーベル文学賞をカナダ人として初めて受賞したが、 昨夏、引退を表明しているので、この作品集は「最後の短編集」とされている。書名の「ディア・ライフ」は、あえて訳せば「愛しき人生」という感じだろうか?
     ふとしたことで大きく変わったことをあとから気づくわたしたち。そして最後の一行「何かについて、とても許せることではないとか、けっして自分を許せないとか、わたしたちは言う。でもわたしたちは許すのだ——いつだって許すのだ。」 
     キャンパスでみずからのライフをデザイン中の学生たちに、ぜひ勧めたい。 [ライフデザイン学科 脇田哲志先生]

  • 自伝的作品かぁ、、、早く読みたいですね!

    新潮社のPR
    「本年度ノーベル文学賞受賞! 「短篇の女王」による最後の作品集。「フィナーレ」と名づけられた「自伝的作品」4篇を含む全14篇。」

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ディア・ライフ (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

二〇一三年ノーベル文学賞受賞! フィナーレを飾る最新にして最後の短篇集。チェーホフ以来もっとも優れた短篇小説家が、透徹した眼差しとまばゆいほどの名人技で描きだす、平凡な人びとの途方もない人生、その深淵。引退を表明しているマンロー自身が〈フィナーレ〉と銘打ち、実人生を語る作品と位置づける「目」「夜」「声」「ディア・ライフ」の四篇を含む全十四篇。まさに名人の手になる最新短篇集。

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