突然ノックの音が (新潮クレスト・ブックス)

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制作 : Etgar Keret  母袋 夏生 
  • 新潮社 (2015年2月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901165

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突然ノックの音が (新潮クレスト・ブックス)の感想・レビュー・書評

  • イスラエル作家の短編集は初めて読みました。
    イスラエル作家らしく、様々な人種が登場します。
    非日常的な奇想やユーモアに富んだ話が多かったです。
    そんな中に普通に自爆テロが出てきたりもする。
    ああ、イスラエルの作家さんなんだなと思いました。

  • さりげなく始まって、とんでもない展開をみせて、あっという間に去っていく。
    まさしくそんな短編集。

  • エッセイ集「あの素晴らしき七年」が良かったので、これは本業の小説の方も読まねば、と思って手にとりました。
    どれも短いので、まったくエネルギーを使わずにするすると読めますが、その多くは読んだそばから忘れていき、心に残らないものが多かったです。
    というわけで、「あの素晴らしき七年」の方がだんぜん好きです。

    「七年」同様、死とか戦争というものが日常にあるということが文章のあちこちに意図せず出てきていて(意図して言及されているのかもしれませんが)、読んでいて、ときどきどうしようもない思いにかられました。途方に暮れるという感じが近いかな。
    日本の小説などで「死」や「病気」がラストに用意されていると、なんとなく「安易だなぁ」なんてしらけてしまったりすることがありますが、同じフィクションの中の「死」なのに、自分の受け取り方がケレットの作品を前にすると全然違っていて、いろんな意味で複雑な思いがします。

    一番好きなのは、「喪の食事」。
    「金魚」「グアバ」「カプセルトイ」「どんな動物?」「青あざ」も好きです。
    あとはあまり記憶にないです。

  • ヘブライ語文学。ネイサン・イングランダーの「アンネ・フランクについて…」のヘブライ語訳も手掛けたというから、現代のイスラエルに欠かせない作家のように思う。
    短い作品は2ページ、どれも短めの短編が並ぶ。表題作ではドアを開けると銃を突きつけられ、自爆テロがあり、ユダヤとアラブの対立がある。多国籍他民族の市民、ユダヤやイスラムの宗教、差別、戦争、テロ…現代的な問題を抱えたイスラエルを見つめるが、根底に流れる作者の目線はユーモラスで暖かい。
    「嘘の国」が好きだ。休んだりサボったりする言い訳をする時に病気や怪我をさせた架空の親戚やペットに再開する国。主人公は彼らを傷つけた事を反省し、「いい嘘」だけつこうと考える。「しあわせな嘘、太陽が燦々とさす、花と光に満ちあふれた嘘」。暴力や死に向き合うリアルワールドにあって、ケレットは「いいフィクション」を描こうとしているようにみえる。

  • 作品の出来はまちまちで、もっと厳選して薄くしても(安くしても)いいのでは、とは思ったがかなり素晴らしい作品もたくさんあった。
    「嘘の国」「健康的な朝」「カプセルトイ」「金魚」「喪の食事」「 グアバ」等。
    著者はイスラエルに住むユダヤ人だが、ユダヤ教を信じている訳ではない。しかしユダヤ教的なものは体に刻み込まれているし、自爆テロなどのイスラエル・パレスチナ問題も日常にある。
    こういう作家がこれから新しいイスラエルを作っていくかもしれないと、希望を感じた。

  • イスラエルの作家、本当に短い短編集。
    様々なスタイルの小説、サクサク読めます。おかげで、ついつい後回しにしてしまい、読了までに間が空いてしまった。
    一つ一つが意表をついていながら、うなずけるストーリー。良かった!

  • 星新一のショートショートみたいな、巧みな語り口、摩訶不思議な展開で呆れた結末を用意する。で、やはり数ある短編の中でおもしろいのは短編の中でもごく短いものが多い。ちょっと長めのものは捻りが効かず苦しい。傷つける嘘から優しい嘘への移行する『嘘の国』などがいいな。この手の語り口はアイザック・シンガーに似ているかもしれないが、現代イスラエルの空気が色濃く、旧ソ連圏からの移住者や自爆テロやユダヤ教の食事制限の話題もふんだんに登場。それと家父長的な社会ではなくてかなり子どもに甘い育メンパパという感じが全編に漂う。

  • イスラエルの作家ということで、表題作の『突然ノックの音が』など国の状況と重ね合わせて読んだ。ごく普通に妻と不仲だったり子供が可愛かったりサエない日常を送っていたりするのがある意味根深く感じた。『グアバ』がそういう中で一番うまい。「エドガル」という名前は挑戦するという意味があるそうで『ポケットにはなにがある?』の戦闘的ではない可能性への挑戦がとてもいい。こういうリリカルさがこの作家の魅力だと思った。

  •  イスラエル人作家による、短い不思議ワールドが詰まった38編の短編集。紛争と隣り合わせの国のせいか、死や暴力といったこの世の不条理なものと生活が同居しているイスラエル人の姿を、不思議で短いお話を通じて垣間見ているようだ。
     日本人作家なら本谷有希子、または岸本佐知子が翻訳しそうな小説の世界と通じる。

  • 中断
    好みでない

  • 『一度も会ったことのない、この先も会うこともない女性を思い浮かべようとした。努力し、一瞬、ほとんど思い浮かべそうになった。全身が痛かった。生きているのを実感した』-『健康的な朝』

    人生の大半は語られない妄想と美しき誤解から成り立っていると思う。誤解が解けるとき人は安堵するのだろうか。それとも隔絶の余りの大きさに愕然とするのだろうか。妄想が明かされるとき人はそこに真実の重さを見るのか。あるいは暗渠の託つ闇の深さを感じるのか。

    唐突さは、時間に依存する概念だろうか。自分には、それが実際の出来事が予想もしなかったタイミングで起こることによってもたらされる感覚というよりも、思ってもみなかったことが明かされることによって引き起こされる感覚であるような気がする。少なくとも、エトガル・ケレットの短い文章を読んで感じる唐突さは、時間と切り離されても唐突であることを主張する。詰まるところ、期待したときに何かが起こらないこと、あるいは期待していないときに何かが起きることは、究極的には時間によって解消可能な心の変化をもたらすだけだが、誤解が誤解であると判明したときに掻き乱された心の動きはいつまでも止まらない振り子のように疑問符を生み続ける。そのいつまでも時々刻々新たに生み出される疑問符が、いつまでも唐突さを鮮明に保つ。

    ケレットの短篇には、そんな時間の流れの外に出てしまった唐突さが満ち溢れている。他人が自分とは異なることをこれでもかと思い知らされ、他人を誤解するより先に、自分の妄想を逞しくして安全地帯に逃げ込もうとする気配が迫ってくる。それでも、他人の考えていることが自分の考えていることと余りに異なるからといって、闇雲に排他的になったりはしない。唐突さを無理に力で抑え込まない。抑え込もうとすればその内側で圧力が高まるだけであることは解っている。放置された数多の唐突さはてんでに動き回り、時に算数のように正の符号と負の符号が合わさって消えてしまうこともあれば、いつまでも反対方向にすれ違い続けることもある。その混迷さの中で妄想を膨らませていると、不思議な達観を産みさえする。今まで読んだことのない感覚をケレットは連れてくる。

    それを全てイスラエルという場所に起因せしめるのは単純過ぎるだろうけれど、その事を抜きにはなぞれない物事の道理もここにはある。不寛容さのこちら側とあちら側の両方に同じ神が居たとしたら、突然ノックして入って来る他人を拒絶でも歓迎でもない態度で受け入れるようになるのだろうか。その達観の哀しみを思う。

  • イスラエルの作家による38篇の超短編集。
    人間の言葉を話す金魚が出てきたりと、意外な展開が繰り広げられる。普通の生活を描いているだけなんだけど不思議感いっぱい。
    日常会話にミサイルが出てきたり、親しい友人が自爆テロで亡くなったりする生活感は、それだけで驚きだ。礼儀正しく丁寧に物事を依頼しても、小便を引っかけられるだけ、代わりにピストルを持てば話を聞いてもらえる。そんな世界の不思議さなんだけど、実は僕らの日常もかなり理不尽だよね。

  • 直前に『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』というかなり良い作品を読んでしまったため、最初分量的にも内容的にも物足りなさを感じ、途中で読むのをやめようかと思ったのだけれど、一作品の長さが病院の待ち時間等にちょうど良く、なんだかんだ最後まで読んでしまった。「金魚」が特に印象深かったのだけれども、振り返ると他の作品もなかなか味があったなあと思い直し、これもやっぱり買っておこうかと悩み中。

    →買いました

  • 38の短編集。不条理な世界観がおもしろい。

  • 38の短編からなる作品。期待して読みはじめたのだが、ちっとも面白くない。結局、面白く読んだのは「金魚」と「痔」「どんな動物?」の3つだけだった。
    海外作品の短編は難しい。
    短編が短くても成り立つのは、書き手と読み手が共有している何か、例えば習慣とか価値観とか、文化とか歴史とか、そういうものを、指し示すだけで「ああ、アレのことね、言わなくてもわかる」と通じるから。書かれていなくても通じる何かを共有していないと、思わせぶりなだけでよくわからない、単語や文のレベルでは理解できるのに全体として何が書いてあるのかわからない文章になる。
    短編は、特にショートショートのようなものは、短ければ短いほどわかった時の感動は大きい。思わずニヤリとして、これが書ける作者ってセンスいい、それに、それを分かる私もセンスいい、ってなる。反対に、分からないとみじめだ。
    この『突然ノックの音が』は後者だった。
    先進国に共通の生活様式など、目に見える風俗は分かる。だけど、解説してもらわないとわからないジョークを解説なしで聞いている時の居心地の悪さが消えない。

    面白かった3作品について。(ネタバレあり)

    「金魚」 あるビデオジャーナリストが、すごくいいことを思いついた。もし金魚があなたの願いをなんでもかなえてくれるとしたら何を願いますか?って、いろんな人にインタビューして集める、というもの。何たる偶然、そして悲劇。インタビューを受けた一人は、本当に願いをかなえてくれる金魚を飼っていて、ただし、残り一つになっている状況だった。その金魚のことがバレと勘違いしてジャーナリストを殺してしまう。最後の願いを使って生き返らせることもできる。さて。

    「痔」 ある男が痔を患った。痛みが気になるので痔に耳を傾けていたところ思慮深くなり成功する。反転。ある痔が人間を患った。人間に耳を傾けたところ成功した。

    「どんな動物?」 4才の息子のごっこ遊びにつきあえない妻とつきあえる娼婦。世の中には誰かの期待に応えて演じる、ということができる人とできない人がいて、、、という話しをテレビの取材で演じながら書く私。

    この3編は私にもニヤリポイントがわかった。わかったのでとても楽しめた。偶然なのか必然なのか、3つともループ構造(入れ子構造)の物語だった。
    他の35作品はわからなかった。
    わかる人にはとても面白い小説なんだろうなぁ。

    あと、著者が映像作家でもあると聞いて納得。シーンの描写が映像的(映画的)。文字で書かれた作品ではあるけれど、カメラワークを感じる描写スタイルで、それが著者の人気の秘密なのかもしれないけれど、私は読み方を指示されているようで窮屈に感じられた。

  • 最低2ページの短編集。ぱぱっと読んでしまったのでもう一度読みたい!

  • 短編よりショートショートよりな短いお話したち。変わってる、というより不条理な世界で生きる人々の話し。戦争と差別(および差別へ恐怖)が色濃い。

  • 久しぶりに本の帯に対しわかってないんじゃないかなと思いました。「これって本当にイスラエルの作家が書いたんだろうか?(本谷有希子)」って…これ、イスラエルに住んでいないと書けない小説ばかりですけど。
    イスラエルという国にはユダヤ人だけでなく、アラブ人も住んでいて(これはテルアビブ在住の友人から毎度聞かされている)、そうじゃなきゃ安息日が回らない。さらにロシア人、中欧の人々などもいて、とても複雑な社会がある。そんなことがよくわかる。ヘブライ語は読めませんが、カバーを外すとヘブライ語だけの表紙というのはなかなか挑発的です。

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突然ノックの音が (新潮クレスト・ブックス)の作品紹介

イスラエルを代表する人気作家による驚きと切なさとウィットに満ちた38篇。人の言葉をしゃべる金魚。疲れ果てた神様の本音。ままならぬセックスと愛犬の失踪。噓つき男が受けた報い。チーズ抜きのチーズバーガー。そして突然のテロ――。軽やかなユーモアと鋭い人間観察、そこはかとない悲しみが同居する、個性あふれる掌篇集。映画監督としても活躍する著者による、フランク・オコナー賞最終候補作。

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