学歴の社会史: 教育と日本の近代 (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106004308

作品紹介・あらすじ

なぜ東大の卒業証書が有効なのか。近代の歪みと苦悩を掘り起こす。「学歴を持たねば頭あがらざる」と、立身出世を夢見た青年が嘆く社会を、だれが作ったのか?近代日本成立のプロセスが目前に展開する労作。

感想・レビュー・書評

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  • 学位とは、学位プログラムとは、学位取得要件の単位とは、といった昨今の教育課題を考える上で、前提として知っておくべきことが書かれている。上のテーマの考え方は、技術論や精神論の側面からの接近が多くなりがちだが、ふと本書のような立場から眺めてみるのも大切だと思った。

    全般を通じて感じたのは、学位の価値、教育の質保証、公務員制度、教員免許制度、教育のモジュール化、ダブルスクール、遠隔教育、教養・専門・専門職教育、といったテーマは明治期、すなわち高等教育制度がスタートしたときから「常に在り続ける課題」ではないかと思えたことだ。

    そしてアクターごとに、「常に在り続ける課題」の対応策を練るのが各々の「仕事」ではとも思った。今日ではその「仕事」が「教育改革」という言葉に置換され、「教育改革」という語感の一般的認識がデフレ化したかもしれない。

  • 明治期の学校制度の変遷を通して、学歴社会の形成過程を明らかにしている。多様な大学史、社史や伝記などを活用し、制度の変遷だけではなく、関係者や受験生たちを生き生きと描き出している。

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著者プロフィール

1936年神奈川県生まれ。一橋大学経済学部・東京大学教育学部卒業。東京大学
大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。名古屋大学教育学部助教授、東京
大学教育学部教授、国立大学財務・経営センター研究部教授などを歴任。
東京大学名誉教授、教育学博士。
著 書 『試験の社会史』(東京大学出版会、1983年、サントリー学芸賞受賞;
     増補版、平凡社ライブラリー、2007年)
    『高等教育の日本的構造』(玉川大学出版部、1986年)
    『学歴の社会史』(新潮選書、1992年、平凡社ライブラリー、2005年)
    『日本の教育システム』(東京大学出版会、1996年)
    『日本の高等教育システム』(東京大学出版会、2003年)
    『教育と選抜の社会史』(ちくま学芸文庫、2006年)
    『大学の誕生』(上下、中公新書、2009年)
    『高等教育の時代』(上下、中公叢書、2013年)
    『新制大学の誕生』(上下、名古屋大学出版会、2016年)
    『帝国大学』(中公新書、2017年)他多数

「2019年 『新制大学の時代 日本的高等教育像の模索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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