- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106004650
作品紹介・あらすじ
好評の"謎ときドストエフスキー"シリーズ第三弾。三たびに挑む。ムイショキンは、キリスト、ドン・キホーテ、驢馬など何重ものイメージを象徴。エパンチン家の三姉妹はギリシヤ神話の三美神を連想させる…。
感想・レビュー・書評
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『白痴』自分としてはドストエフスキーの作品の中でも好きなもののひとつです。ほかの謎解きシリーズと比べて、本が薄いのでちょっとさびしく思います。
美しいものは滅びていく運命なのですかね。救いのない作品だな~とも思いました。
最近ドストエフスキーの愛人である「スースロワの日記」を読んだのですが。ナスターシャ・フィリポブナはもっともスースロワさんの面影を映しているように思いました。
まじめな美人が、自分に罪があると思いなして、自暴自棄になる。幸せになるチャンスを逃してしまう。ある種の悪女ってそういう風にできているのだなと思いました。
キリスト教でいう「罪」の概念、煩瑣な議論のことはわからないんですが。
*ナスターシャの復活=家庭→地獄
=トーツキィの囲い者としての日々→死詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書会か何かで先生の蘊蓄を聞いているようなかんじですかね。読んでからでないとあまり楽しめなさそうな。いろいろ「謎とき」はありますが、意外な「そうだったのか!」的な切り口はそんなにないように思いました。それだけ『白痴』自体の完成度が高い、ということなのかも。
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江川卓 「 謎とき 白痴 」
読み方としては 邪道とも思うが、少し読んでみたら 対立軸や宗教性が わかりにくいので、「謎とき」から読む。
「白痴」の宗教的テーマ、読み取る上のキーワード、目の付け所、タイトル意図が よくわかった
主要構想=本当に美しい人を描くこと
*ただ一人 キリストのみ
*ホルバインの絵では キリストは屍として描いている
*ムイシュキン公爵=キリスト=本当に美しい人として描く意図→自然の法則の前の無力さ
「世界を救うのは美」
*ナスターシャは キリスト教的、ロシア的、土着的
*アグラーヤは ギリシャ的(三美神)
*アグラーヤとナスターシャの調和的関係を保つ=ギリシャ神話の美とロシア神話の美の統一→世界を救う美
*ナスターシャの復活=家庭→地獄=トーツキィの囲い者としての日々→トーツキィは死神
白痴
*死の影に彩られている→死にまつわるエピソード
*死の氾濫のなか 「本当に美しい人」の運命
*ムイシュキン「謙虚さは恐ろしい力」
ヨハネ黙示録=生命の源泉とは何か
*著者の深遠な思想を表現するため 黙示録を用いる
*レベジェフが黙示録を語る
*苦よもぎ星=鉄道→鉄道の発展に象徴される物質文明
*黒馬の時代=人間は自分の権利ばかり求めている
*緑色=聖母の衣の色の庇護のもと 人々が守られている
生命の源泉
*イッポリート不治の病→生にしがみついて、どんなことがあろうと生きたいと願う=本当に生きる
*自己保存の法則=自己破滅の法則〜個人のエゴイズムと物質的な必要性のみの満足→精神的基盤がない
*鉄道=生命の源泉の縮図→死の源泉=悪魔のもと自滅と虚無へすべり落ちる
はじめて赤ちゃんの笑顔を見た母親の喜び=罪人が祈るのを見た神の喜び
*人間の生みの親としての神に対する理解
*親が子を思うように 神が人間を思う
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2007/09/09 読了 ★★★
2013/10/17 読了 -
『謎とき『カラマーゾフの兄弟』』を先に読みました。
江川さんの書かれる解説本はわかりやすさといい説得力といいすごいです!
名前の由来とか、ロシアの宗教事情の深い部分までドストエフスキー作品にしかけられた謎の多さにビックリします。 -
2007/09/09 読了
2013/10/17 移動 -
ナスターシャは鞭身派か?