デュフィ (新潮美術文庫 41)

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  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106014413

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  • 青の画家・ラウル・デュフィの入門ミニ画集。収録されている絵が少ないが、解説がかなり充実しておりデュフィの人生を丹念に追うことができる。デュフィブルーにたどり着くまでに様々な試行錯誤が見られ、洒脱な線と軽やかな色彩がよりドラマチックに感じられた。

  • (2006.10.02読了)(2005.10.19購入)
    ラウル・エルネスト・ジョゼフ・デュフィ
    1877年6月3日 ル・アーヴルに生まれる
    1892年 市立美術学校の夜間クラスに通う
    1898年 1年間兵役に服務
    1900年 パリの国立美術学校に入学
    1905年 マティスの「豪華、静寂、快楽」を見て、フォーヴの戦列に参加
    1908年 ブラックとレスタックで制作、セザンヌ風様式を採用
    1911年 アポリネールの「動物誌」の木版挿画を制作
         服飾デザイナーのポワレのために布地のデザインをする
    1912年 リヨンの絹織物会社ビアンキーニのスタッフとなる
    1920年 マラルメの「牧歌」の挿画を制作
    1944年 「オーケストラ」連作を描く
    1953年3月23日 心臓発作のため死去、享年75歳

    新潮美術文庫の一冊ですので、32枚の絵画とその解説、画家の小伝、年表という構成になっています。
    ディフィの絵の印象は、青一色です。ニースの海岸、海、船を描いた作品が沢山あり、そればっかり見せられていた印象があります。絵としても非常に稚拙で、大雑把な感じですが、観ていてなんとも気持ちがいいのです。一般の人にはあまり知られていないと思いますが、絵画ファンなら結構好きな人が多いようです。
    海を描いた絵のほかには、音楽が好きだったようで、オーケストラや楽譜、楽器などを描いた絵も幾つかあります。競馬も好きだったのでしょう。競馬場や馬を描いた絵もあります。色面と物の輪郭線を一致させないのが特徴です。マティスも同じような傾向がありますが、もっと大雑把です。

    ●光を求める(74頁)
    ディフィは、自分の生涯を振り返って、「光を求める戦い」と呼んでいる。光こそ色の魂であり、光のない色は生命のないものに過ぎない、という確信を抱いていた。
    ●絵画のなかの光(77頁)
    太陽の光を研究するのは時間の浪費である。絵画の中の光は全く別のものだ。それは構成され、配列され、彩色されなくてはならない。
    ●フォルムと色彩のずれ(81頁)
    後年のデュフィの絵で一つの特徴は、フォルムと色彩がずれていることだ。それは、1926年、彼がオンフルールの海岸で赤い服の少女が走るのを見たとき、目は対象の輪郭よりも早く色調を感じ取り、色の印象がより長く感受性の中に留まることに気づいたからだという。色彩とフォルムとは別のもので、一方が他方を限定してしまう事はできないと考えた。この分離を生かすことによって、彼の絵がどれほど即興性を増し、生彩を加えたことだろうか。

    著者 高橋 英郎
    1931年 東京生まれ
    1957年 東京大学仏文科卒業
    1975年 プーランク=アポリネール『ティレジアスの乳房』の訳詩上演で第3回オペラ賞受賞
    明治学院大学文学部教授
    フランス文学、芸術思潮専攻
    モーツァルトを中心とした音楽評論に活躍中

  • 歓喜の画家。という愛称がまさにふさわしいです。音楽や馬や風や海。そんな風に流れていくものが、目の前で心地良く動きだすようにです。

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