本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106015366
作品紹介・あらすじ
美人大首絵から博物図譜的な狂歌絵本、春画、肉筆美人画まで、美人画家として一世を風靡した江戸後期の浮世絵師の多彩な活躍の跡を32図に凝集して示す。
感想・レビュー・書評
-
・江戸の浮世絵師、喜田川歌麿の『深川の雪』は、もともと『雪月花』という3部作のひとつとして、描かれたものです。
戦後まもなく、この作品が行方知れずになり、図版でしか見ることができませんでした。
2013年、肉筆画として、ようやく深川の倉庫で発見され、およそ、半年をかけて絵の汚れを取り去り、表層を交換するなどして、2014年に、公開することができました。
画面は、縦およそ2メートル、横3メートル40センチ。舞台は、深川の料亭です。幼い子供と、見目うるわしい女性ばかりの27人が描かれ、その「群像表現」の細かさには、驚かされます。
また、描かれたのは、松平定信の寛政の改革による緊縮財政で、あらゆる贅沢が禁止された時代でした。
そんな状況にあって、江戸の遊興の場であった深川の料亭を描くということは、絵師として、反骨精神の現れでもあったのです。
幕府は、歌麿を手鎖五十日の刑に処し、歌麿は衰弱してほどなく死んでしまいます。深川の雪は、美人画を得意とした歌麿の集大成であり、最晩年の作品でもあると思いました。
※雪月花、他2部作、『品川の月』フーリア美術館蔵 /『吉原の花』ワズワース・アセーニアム美術館蔵
詳細をみるコメント0件をすべて表示
全1件中 1 - 1件を表示