- Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106021916
作品紹介・あらすじ
堂々と言おう-「あの15日間は素晴らしかった!」と。1964(昭和39)年に東京が見た「夢」を、「当時の写真」「当時の文章」で再現する。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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「日本が優勝した瞬間、貴賓席の美智子妃殿下はハンカチで目をおさえながら泣き崩れた」女子バレー、決勝でソ連に勝って優勝。「ツブラヤがんばれ」陸上競技ただ一つのメダル、メイン・スタジアムに初めてあがった日の丸の旗。開会式の行進でプラカードを持つ防衛大学生、閉会式で松明でトラックを囲む東京女子体育大学生。1964年10月東京オリンピック、私は中学3年生でした。この本には沢山の作家たちの取材やコメントが載せられています。素朴さ、ひたむきさを強く感じた祭典でした。次の東京、政治色が強すぎると「嫌味」を感じますが。。
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東京 1964年10月10日。
晴れ渡った青空のもと、8000羽の鳩が放たれ、大空に5つの輪が描かれた。アジア初のオリンピック競技大会が開幕。
この日を迎えるために、東京の街が、日本全体が、凄まじく変貌を遂げた。
新幹線開通、モノレール開通、高速道路が日本橋の上を通る。
日本武道館/代々木体育館/国立競技場・・・突然現れた不思議な建物。
オリンピックの競技の記録、そして街の様子や日本全体が沸き立つ空気が伝わってくる。・・・だけではなく、戦争の傷跡も・・・。
「当時の写真」と「当時の文章」から当時の日本が、見えてくる。
「当時の文章」を書いた人達は、錚々たる顔ぶれ。
小田実 梶山季之 斎藤茂太 堀口大學 杉本苑子 石川達三
武田泰淳 大松博文 柴田錬三郎 菊村到 冨田常雄
三島由起夫 曽野綾子 市川崑 泉荘一郎 安岡章太郎
黛敏郎 永井龍男 山口瞳 石原慎太郎 北杜夫
ヤン・デンマン
中でも私は、三島由起夫氏の文章に魅かれた。
抜粋
"
~「美と力の接点・体操」三島由起夫~
・・・あんなに直線的に、鮮やかに、空間を裁断してゆく人間の肉体。
全身のどの隅々にまでも、バランスと秩序を与えつづけ、どの瞬間にもそれを崩さずに、思い切った放埒を演ずる肉体。
・・・全く体操の美技を見ると、人間はたしかに昔、神だったのだろうという気がする。・・・"
~1964年9月14日 報知新聞より~
スゴイ人達の味わい深い文章が集約された、スゴイ記録。
もうこれは、永久保存版! -
この本はオリンピックの競技についてだけが書かれているのではない。当時の東京の街がどのように変わっていったのかや、オリンピックの記録映画の撮影のエピソード、などを写真と当時の新聞や雑誌の記事を使って紹介している。新幹線の開通はギリギリだった、とか、高速道路が日本橋の空を塞いでしまった、とかの話題が満載だ。書いてるのは結構有名な人達である。少し挙げてみる。小田誠、市川崑、三島由紀夫、石原慎太郎、柴田錬三郎、北杜夫 もう既になくなっているかたの方が多い。東京オリンピックの開催は1964年。わたしは五歳であった。かすかにではあるが覚えていることもある。バレーボールで金メダルをとった東洋の魔女とか。この本、ひとつ特徴がある。それは現在の写真は一切載せていないこと。よくある昔と今を並べて比較する、というところが無い。ちょっと新鮮な感じを受けた。