地元菓子 (とんぼの本)

著者 :
  • 新潮社
3.94
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本棚登録 : 209
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022456

作品紹介・あらすじ

初めてなのに懐しい。「地元菓子」をめぐる旅。ところ変わればお菓子も変わる。「そこ」に行かなければ出会えない、愛すべき「地元菓子」をめぐる旅。一色のえびせん街道、銚子の木の葉パン、桜餅は長命寺?  道明寺? バターせんべい伝播の謎、雪国の冬は水ようかん、各地の買い食い図鑑、東海地方のあんこ愛、そして九州へ餅の旅。「地方出身女子の甘い記憶」座談会も。

感想・レビュー・書評

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  • 取り上げられているお菓子が色々で、昔ながらのお菓子の本かと思いきや単に著者が好きなものを集めた感じでした。老舗ケーキ屋さんのショーケースの写真がいい感じで好きです。

  • 地元菓子という、地方独特のお菓子で、著者が心惹かれたものが紹介されている。
    体系的というわけでは無いけれど、色々と写真も載っていて、地元のお菓子が載っていると嬉しくなる。
    若菜さんは登山など自然の視点をお持ちなので、柏餅のカシワの葉についての違いなどが独特で面白かった。

  • その場所に行かないと味わえない、という古くからの菓子屋のお菓子が大好きだ!

  • なんかおいしそう。かどうかわからないのも多い。昔風なものが多いのは今どき新発生することが減ってるのか。うーん。

  • 2013-7-12

  • とにかくいろんな地元菓子が食べたくなった!

  • お菓子の本もいろいろありますが、
    単に、和菓子・洋菓子・名店等の括りではない
    考察が多くて、ユニークで楽しめました。
    関東に“伊勢屋”が多い理由とか、
    松本や水戸のように地図でしめされると菓子店が多いのが
    一目瞭然だったり、地元の袋菓子、全国のカタパン、
    桜餅は道明寺派?長明寺派?
    お餅を包む葉のいろいろ・・・等、切り口が実に面白いのです。
    旅行に行ったとき、その地元菓子を見る目が変わりますね、
    きっと。

  • 誰しも幼い日の記憶の中には、大好きだったおやつ、おいしかったお菓子の思い出があるはずだ。
    なくても生きてはいけるけれど、あると人生が豊かになる。それがお菓子。
    本書は遠い日の記憶をそっと呼び起こすような、楽しい懐かしい1冊である。

    「地元菓子」とは何か。名物やおみやげの類かと思うとちょっと違う。
    土地には、その地に根ざした菓子がある。
    よそゆきでない、普段遣いの、派手さはないが、ほっとする、いつもの「あれ」。
    菓子好き、旅好きの著者が、実際に各地を歩き、見つけ、味わった菓子を、あれこれと集めたのが本書だ。
    薄いけれども内容はてんこ盛り。豊富な写真、詳細な地図、細かな文字のエッセイ。どのページをめくってもお菓子愛にあふれている。

    中には日本三代名菓の1つというようなよく知られているものも取り上げられているけれども、登場する多くは素朴な菓子である。
    カタパンと呼ばれる小麦粉に砂糖をまぜて焼いた堅い菓子。昔菓子と呼ばれるようなものだが、各地、各店で驚くほど違う。それぞれのカタパンはそれぞれの地の歴史の生まれ、生き抜いてきている。素朴な菓子の向こう側に気候や風土も見えてくるようでもある。
    桜餅は、東に多く見られるクレープ状の「長命寺」と、つぶつぶした道明寺粉を使う西の「道明寺」に大別される。さて、その境界はどこか。基本は天竜川/フォッサマグナだが、新潟は京文化の流れで「道明寺」が多いというのがおもしろいところ。
    旅人の疲れを癒したのが峠の餅、川越の餅。腹が減っては難所を越えられぬ。峠や川辺に餅を売る茶店が多かったのはそのためだ。安倍川餅、笹子餅、土地の名前が付く餅は、街道の名物として今も残る。

    人々に親しまれてきたのは、和菓子ばかりではない。
    バウムクーヘンやクッキー、ケーキやチョコレート。
    ちょっとハイカラ、ちょっと異国情緒を漂わせる洋菓子も多い。
    著者が旅先で懐かしさを覚えた洋菓子屋。店主と話をしてみると、実は著者が慣れ親しんでいた神戸の洋菓子屋で修行した経験があったという。
    大きな街で修行し、やがて地元へ帰っていった職人たち。あちらこちらで菓子の系譜は受け継がれ、続いていくのだ。地方の小さな店を守る、職人たちの矜恃とともに。

    読んでいて、ふと思い出した菓子がある。
    1つは和菓子の「蒸し菓子」。慶事の引き出物といえば、たいがいこれだった。どっかりと大きい鯛や松竹梅、めでたい意匠を象った餡もの。練り切りのようなものかと思うが、今の時代の練り切りよりもっちり堅かったような気がする。あれは、おそらく、自分の地元に特有のものだったのではないか。
    甘い物がそれほど好きではなかった母は、もらうと「またこれか」とうんざり顔だったが、自分は結構好きだった。とはいえ、重箱一段分のそれらは、確かにちょっと飽きの来るものではあった。甘い物が貴重だった時代の名残だったのか。そういえばあの頃、慶事・弔事ともに、角砂糖の引き出物も多かったように思う。

    もう1つの懐かしい菓子は、洋菓子の「マーブルケーキ」。家からちょっと離れた商店街にあった小さなケーキ屋のもの。今はもう廃業されていると思う。
    白い箱にみっちりとはいった四角いケーキ。下はマーブル状のスポンジ、上にやはりマーブル模様の薄い板状のチョコレートがコーティングされている。スポンジの間にクリームが挟んであったかもしれない。ポイントはピースではなく、ホールであること。これが食べられるのは、父の同僚のお客さんが来たときだけだ。当時は珍しい単身赴任だったこのお客さんは、うちにお呼ばれするときには、必ずこれをおみやげに買ってきてくれた。ケーキをもらったから言うわけではないが、子供好きで陽気な楽しいおじさんだった。もしかしたら一人暮らしがちょっぴり淋しくて、自分の子供が恋しかったのかもしれない、と今では思う。

    プルーストの「失われた時を求めて」では、記憶を呼び覚ますのはマドレーヌだった。
    心に眠る懐かしい思い出をそっと連れてくるのは、甘い香りなのかもしれない。

  • 5-1-5

  • 日本国内、各地の地元の菓子(主に和菓子)の本。
    写真中心ではなく、文章の方が比重が大きいか。
    でも、様々に美味しそうな、時に珍しいお菓子の数々。同じと思われる菓子も、地方により様々なバリエーションが。
    地元の風景や歴史・文化にも触れながら、店主や売り子さんたちの織り成す雰囲気を、これまた味わい深い文章で綴っていて楽しめる。
    はんなりと、ニヤニヤしながら読み進められるので、電車内とか人目のある所では見ない方が良いかも知れません。
    甘いお菓子に限られないので、辛党の方にも楽しめるのではと。

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著者プロフィール

1968年兵庫県神戸市生まれ。編集者、文筆家。学習院大学文学部国文学科卒業後、山と溪谷社入社。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て独立。山や自然、旅に関する雑誌、書籍を編集、執筆。著書に『東京近郊ミニハイク』(小学館)、『東京周辺ヒルトップ散歩』(河出書房新社)、『徒歩旅行』(暮しの手帖社)、『地元菓子』、『石井桃子のことば』(新潮社)、『東京甘味食堂』(講談社文庫)、『岩波少年文庫のあゆみ』など多数。「街と山のあいだ」をテーマにした小冊子『murren』編集・発行人。随筆集『街と山のあいだ』は増刷を重ね、旅の随筆集第一集『旅の断片』は2020年に第5回斎藤茂太賞を受賞した。

「2021年 『途上の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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