白洲家の晩ごはん (とんぼの本)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 66
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106022623

作品紹介・あらすじ

次郎と正子のふだん着の食卓へようこそ。味にもウルサイ白洲次郎・正子夫妻が目を輝かせた愛娘の手料理には、おいしく作る、おいしく食べる工夫がいっぱい。菜の花おひたし、コロッケ、釜めし、リゾット、焼きりんご……とっておきの43品を再現、ちょっぴり可笑しいエピソードとともに、自然豊かな武相荘の暮らしと食を紹介する。日常使いのうつわ139点も大公開!

感想・レビュー・書評

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  • レシピ本というよりは、季節ごとの美味しい食事を美しい器と共に味わう本という感じ。(作り方も載ってはいるけれど、分量は各ご家庭で…と明記なし)
    筆者は白洲次郎・正子夫妻の娘、牧山桂子さん。
    彼女が、生前の夫妻の食事を担っていたのだとか。

    四季を楽しめる色とりどりの食材が美しい。
    そして何と言っても器!
    P74からの「日常使っているうつわ一三九点を大公開!」がため息もの。
    シンプルだけど食べ物が乗るとパッと華やぐような、それでいて食材の色を邪魔しない、素敵な器の数々。

    10年以上前になるが、武相荘を訪れた日のことを思い出す。
    野の草花が咲いて、書斎はコンパクトな掘炬燵で、憧れの平屋だ。
    ただ牧山さんは
    「田舎で茅葺き屋根の家に暮らすというのは、世間で言われるほど、素晴らしい日々ではありません。」
    と言い、冬の寒さの厳しさを挙げられている。
    また、ねずみや青大将が梁の上を行き来したとも(!)。
    「少しでも楽をしようとする浅ましい人間達が、床暖房だ、エアコンだと言い出すと、一生に一度と言われていた屋根の葺き替えも、三十年に一度という頻度になりました」
    そうだよね、実際に暮らすって、
    情緒あるわ~なんて生易しい憧れだけじゃぁ出来ないよね。
    虫が大の苦手である私には夏も無理だろうな~(汗)。

    印象的だったのは、白洲次郎さんが亡くなったあと倒れてしまったという柿の木。
    「倒れた柿の木は、大きくて、父を思わせるものでした。」
    そして母である正子さんが亡くなったあとに倒れてしまった木蓮の木。
    「…母を、彷彿とさせました。」
    牧山さんは言う。
    「その家の木々を愛していた人が亡くなると、木も悲しんで、一緒に死んでしまうというのです。」

    本書はこういった牧山さんのお話で幕開けするのだが、彼女の語り口は温かく、それでいて凛としていて、読んでいて心地よかった。
    時にユーモアを挟みつつ、胸の内を明かしてくれるような文章は、彼女を身近に感じることができた。
    時折挟まれる料理の写真も、背景を暈し、陰影も程好く、佇まいが美しい。

    「いつものおかず、おいしいごはん」で紹介されているおかずたちは家庭的で、読んでいると料理がしたくなってくる。
    それぞれの料理の写真は全て、牧山さんが実際に作られたものだそう。
    とても美味しそう。
    「コロッケ」のページに添えられたお話も楽しい。

    作りたいな~と思ったのは、「筍の木の芽和え」「煎り豆腐」「なめこと卵白の中華風」「ピクルス」「鶏のもも焼きタンドリーチキン風」「リゾット」「ホタテのクリームソースがけ」「野菜たくさんと豚肉の煮込み」「トマトライス」。

    ご両親をべた褒めするのではなくピリッと辛口の思い出を語られているのが、読んでいて楽しかった。
    それでも決して飾らず、それでいて季節を愛で、器と食材の相性を楽しんでいらっしゃるのは、ご両親の影響なのだろうな。。。

    • アールグレイさん
      傍らに珈琲さん★こんばんは

      食って深いですね。
      季節毎に器を替えて、それが理想かと思いますがなかなかです。
      旬のものは、なるべく食卓にのせ...
      傍らに珈琲さん★こんばんは

      食って深いですね。
      季節毎に器を替えて、それが理想かと思いますがなかなかです。
      旬のものは、なるべく食卓にのせるように心がけます。先日、菜の花の辛子あえを頂きました。ところが、旦那さんはその類を食しません。ここ数年煮物を少し食べることがでてきました。
      息子は何でも食べるのですが。
      傍らに珈琲さんが作りたいと思ったものは我が家の場合は、殆ど無理です。まったく、料理は大変です。
      2024/01/25
    • 傍らに珈琲を。さん
      アールグレイさん、おはようございます。

      旬のものは食卓にのせたいですよね♪同感です♪
      私も菜の花大好きですもん。
      でも白洲家の皆さんのよう...
      アールグレイさん、おはようございます。

      旬のものは食卓にのせたいですよね♪同感です♪
      私も菜の花大好きですもん。
      でも白洲家の皆さんのような暮らしはやっぱり程遠くて、こうして本を見て楽しむくらいが丁度いいです 笑
      一時期、器を趣味で集めていましたが、勿論高価なものではありませんでしたし、
      載せるお料理も、好き嫌い・アレルギー・体調等々…日常生活はなかなかどうして、そうそうお洒落には飾れません 笑
      ホント、仰る通り料理は大変です。
      でも、ご家族が美味しく食べられるものを…と奮闘していらっしゃるアールグレイさんは素敵です。
      2024/01/26
  • 白洲次郎、正子夫妻の長女牧山桂子の料理を紹介した本。
    図書館で借りた。
    白洲正子自身は全く料理はできなかったらしい。
    スープの冷めない距離に住んでいた娘の料理を夫妻も楽しみに食べたとのこと。
    レシピはふんわりと書いてあり、分量などは詳しく書いてないので参考程度。
    器もたくさん載っており、楽しめた。

    • ももりんかさん
      コメントありがとうございます♪
      白洲正子は大いなる趣味人で、骨董や能に造詣が深い方です。
      桂子さんがどこかに書いていたと思うのですが、
      白洲...
      コメントありがとうございます♪
      白洲正子は大いなる趣味人で、骨董や能に造詣が深い方です。
      桂子さんがどこかに書いていたと思うのですが、
      白洲正子が母親であるというのはなかなか大変だ、とかなんとか…。
      2022/05/27
    • 松子さん
      笑‼︎『白洲正子が母親であるということは…』に思わず笑ってしまいました!

      天真爛漫パワフルな方ですね。
      あだ名が『韋駄天お正』って書かれて...
      笑‼︎『白洲正子が母親であるということは…』に思わず笑ってしまいました!

      天真爛漫パワフルな方ですね。
      あだ名が『韋駄天お正』って書かれてあった!
      パワフルな女性、憧れます(^^)
      2022/05/27
    • ももりんかさん
      たしかにパワフルな人だったようです。
      人としてはすごいと思うけど、自分が娘だったらやっぱりちょっと大変かなと思います^_^
      たしかにパワフルな人だったようです。
      人としてはすごいと思うけど、自分が娘だったらやっぱりちょっと大変かなと思います^_^
      2022/05/27
  • 白洲次郎・正子たちも食べたごはんというわけでなく、それ以後のレパートリーが多いのだろう。二人の娘・桂子さんが料理を披露しつつエッセイも少し。都会の金持ちぶったり名家ぶったりしない感じでウケがいいのだろうか。

  • いま、武相館の管理・プロデュースをしている白洲正子の娘の料理本。彼女の文章は、親の褌で相撲をとっているとはいえ、両親礼賛ではなく、お互い歩みよろうとしない白洲夫妻の様子、ひたすら我がままばかりいい何もせずに食通を気取る母親への冷静な視線等も、包み隠さずに伝えているところが面白い。料理も作ってみようとは思わないが(ただ、生ハムをバナナで巻いてオーブンで焼いてコニャックというのは美味しそう)、「ムース・オ・ショコラ。両親のお気に入りでした。体に悪そうです。」とかのコメントが楽しい。

  • 文章が面白いところがあって、くすっと笑える。
    著者の性格、なかなかいい、好きです、こういうの。

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