触身仏 (新潮エンターテインメント倶楽部SS 蓮丈那智フィールドファイル 2)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106026553

作品紹介・あらすじ

異端にして孤高の民俗学者・蓮丈那智の元に「『特殊な形状の神』を調査して欲しい」との手紙が届いた。神とは「即身仏」のことらしい。類例のない情報に興味を示し、現地に赴いた那智と助手の三国だが、村での調査を終えたのち、手紙の差し出し人が謎の失踪を遂げてしまう-(表題作)。日本人の根底にある原風景を掘り起こす「本格民俗学ミステリ」。待望の第二弾。

感想・レビュー・書評

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  • 蓮丈那智フィールドファイルシリーズ第二作。
    羅漢像に奇妙な大黒、勾玉に即身仏、そしてわらしべ長者。
    今回も様々な解釈と事件が展開される。
    那智自身が怪我をしたり薬を盛られたりと、段々と危険度も増している感じ。
    そして狐目が段々とその存在感を増している。
    それにしても那智はやはりアンドロイドなのか。内藤とのあんな官能的行動にすら、敢えて色気目いた表現は全く使わない。
    更に那智と狐目が同級生って、那智は美魔女?
    結局、また裏ファイルが増えていく。

  • カバー装画 / 勝国 彰
    本文扉装画 / 佐藤 正
    装幀 / 新潮社装幀室
    初出 / 『小説新潮』平成13年3月号・6月号・10月号、平成14年2月号・8月号

  • シリーズ2作目。
    1作目よりミクニ!の内面が揺れ動きますねぇ。
    狐目さんの過去も明かされ、内藤に手を差し伸べてくれるようになるのも面白いです。
    民俗学×ミステリーいいです。

  • 蓮杖那智シリーズの2冊目。今回は那智とミクニの間で衝撃シーンがあるのだが、さらっと流した描写でそのあとのエピソードにも影響を及ぼしていないのが不思議&ちょっと物足りない。

  • 表題作のラストがちょっと不思議で一番面白かった。
    狐目さんめっちゃいい

  • シリーズ第二弾。
    テーマや発想は好きなタイプの作品なのだけど、短編集でなくて長編でじっくり謎解きして欲しかった。

  • 蓮丈那智フィールドワークシリーズの第2弾。
    第1弾の流れをそのまま引き継いでいて、第1弾以上でも以下でもないかな・・・というのが最初の感想でした。
    短編構成なので読みやすい反面、ちょっと物足りない感じもするけれど、基本的には面白く読む事が出来ました。

  • 民俗学ミステリー

  • 異端にして孤高の民俗学者・蓮丈那智の元に「『特殊な形状の神』を調査して欲しい」との手紙が届いた。神とは「即身仏」のことらしい。類例のない情報に興味を示し、現地に赴いた那智と助手の三国だが、村での調査を終えたのち、手紙の差し出し人が謎の失踪を遂げてしまう―(表題作)。日本人の根底にある原風景を掘り起こす「本格民俗学ミステリ」。待望の第二弾。

  • 前作よりも読みやすく感じられた。
    登場人物の性格等がこなれてきたからでしょうか。

    三國は相変わらず気弱だけれど少しずつ心が剛くなっているようだし、狐目の人は意外な過去と過去の出来事を抱ええているようだし、色々と今後が楽しみです。

  • 民族学者・蓮丈那智シリーズ短編集2作目。

    山人による人さらい伝承はいくつかあるがその対象は主に「若い娘・子供」であり、東北のR村のように老若男女問わずなものは珍しい。フィールドワークに向かった那智と三國だったが調査中に那智が沢に転落。入院中の授業を切り盛りしていた三國に、R村出身だという女学生がレポートについて質問をしてきた。・・・《秘供養―ひくよう》
    杉崎という学生に「兄を助けて」と頼まれて、彼の所属するサークル『アース・ライフ』を調べるハメになった三國だったが、そのサークルはカルト宗教色が強くとてもじゃないが手に負えない。しかも行方不明だった杉崎兄は死体で見つかり、数日前にあった骨董業者殺害の容疑がかけられている、とあっては。・・・《大黒闇―だいこくやみ》
    フィールドワークに出かけた那智からメールが届いた。『煙草をやめることにしたから、灰皿を片付けておいて』 那智が本当に伝えたかった事は勾玉に関してだと推測し、三國は調査ファイルを隠匿する。2日後、那智は所有していた車に男性の死体を同乗させ、意識不明の状態で発見される。・・・《死満瓊―しのみつるたま》
    那智が専門誌に寄稿したエッセイに一般の研究者からの反響があった。ある村では即身仏が賽の神として祀られているというのだ。即身仏に対して恐怖心のある三國だったが、那智に逆らうべくもなくフィールドワークに向かい即身仏に対峙することになる。・・・《触身仏―しょくしんぶつ》
    ある村に伝わる御蔭講という伝承を論文のテーマとして与えられた三國だったが、解析がなかなか進まない。つい最近研究室に助手としてやってきた佐江由美子のおかげで「わらしべ長者」の話との類似に気付くことができたのだが、彼女を元いた研究室に取り戻そうと裏で動いている男がいて・・・。・・・《御蔭講―おかげこう》
    計5作の短編集です。

    ファイル1の凶笑面と比べると、那智・三國のキャラクターがはっきりしてきて会話のテンポがすごく楽しい。なんだか師弟漫才のようです(笑)。加えて、前作では三國の胃痛の元だった教務部の狐目さん(実は姓は1回も書かれてません)でしたが、今回はこの方のヒトトナリが書かれてます。厳しいだけじゃなかったのね…。過去に何があったのかもすごく気になります。3冊目になれば書いてくれるかな??
    しかし、このシリーズのどこが面白いかというと、やはり「歴史研究」と「現実の事件」のリンクにあるのではないかと思います。那智と三國の研究内容を犯人が知っているいないに関わらず、どこかしら関係性を持つのですよ。それはまるで、「今」が過去からの延長であり歴史が繋がっていることを知らしめているようでもあります。そんなことを考えながら読んでいくと・・・ちと怖いかな(笑) なにしろ今回那智たちが導き出す歴史の過去は、どれも先人が秘して隠してきた暗部ばかりなのですから。その点、前作よりもディープな内容ですヨ。

    民俗学考察として日本書紀のようにかなーりポピュラーな書物を扱ってるんですが、いったいどこまで本当なんでしょう…。現実と過去(の推察)。フィクションとノンフィクション。私は微妙に混乱してしまったんですが、既読の方はどうでしたでしょうね? これから読まれる方は「あくまでもノンフィクション」と冷静に読んでくださいね。

  • シリーズ短編集。
    扱ってるもののわりにエグい感じがあまりないんですよね、不思議。

  • 1巻?より面白かった。教務担当の狐目が実は民俗学の研究者を志していたことが分かり、味方?となったからか。2話目の「大黒闇」が面白かった。やはり私はカルト宗教が好きなのだ。というと語弊があるが・・・。「御蔭講」も面白かった。今回は民俗学の部分がちょっと分かりやすかったのかも。それで面白く感じたのかも。

  • 異端の民俗学者・蓮丈那智とその助手・内藤三国がフィールドワーク中に出会った事件を集めた短編集。
    「秘供養」「大黒闇」「死満瓊」「触身仏」「御蔭講」の5編収録。

    なんとなく『Ⅰ』よりも楽しめました。慣れのせい?
    扱っているテーマもバラエティに富んでいて、わくわくしながら読みました。

    山人によるひとさらい伝説と五百羅漢についての「秘供養」。
    古事記にある神々の変貌と国譲りについての「大黒闇」。
    日本書紀にある海幸彦・山幸彦の潮満瓊・潮涸瓊、そして如意珠から三種の神器の八坂瓊勾玉についての「死満瓊」。
    塞の神、および即身仏についての「触身仏」。
    わらしべ長者伝説についての「御蔭講」。

    ストーリー的には「秘供養」、「触身仏」がブラックで好きでした。
    民俗学的には「死満瓊」、「御蔭講」かな。
    それにしても本当にいろいろな解釈があるものなのですねぇ。
    固まった頭に心地よいショックを与えてくれました。

    そして、北森さんの引き出しの多さに改めて驚かされています。
    この『蓮丈那智』だけでもかなりの下準備が必要だと思うのですけど、他にも『冬狐堂』『香菜里屋』、そして歴史ものにノンシリーズ。
    凄い作風の広さ。
    もっと早く知っておけば、と後悔しきりです。。。

  • 蓮丈那智シリーズ二作目。私は本当に、この人の授業受けたいと思うんだけどな……。
    こうして突き詰めると、「民俗学」というものはかなり面白くて、謎に満ちた分野だと思う。従ってミステリとは相当相性いいんだろうな。もうどっぷりはまった心境。
    「大黒闇」がかなり好き。「神の変貌」という民俗学のテーマがそのまま現実に当てはまるあたりが上手いと思った。トリック的部分にも納得。

  • 凶笑面に続く2巻。
    こちらも短編で読みやすく、おもしろかった。
    次も早く読みたい。

  • 読みやすさと民俗学の考察が深くなった
    推理はオマケ

    こっちのが好きかも。
    でも、なんか恋愛に発展しそう・・・?
    そんなのどうでもいいし、むしろ恋愛はこのシリーズには邪魔



  • 5/18

  • 民俗学ミステリー第二弾。1冊目に比べると慣れてきたからか読みやすい。扱っている題材がなかなかに大胆で面白い。
    2008/5/18

  • 面白かった。
    読みやすくて。

    実は以前、手に取った作品と同じ作者だとわかってビックリ。
    あまりにジャンルが違ったので。
    かっこいい。

  • <table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106026554/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/213BQ2MNPBL.jpg" alt="触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉" style="border:none;" /></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4106026554/yorimichikan-22" target="_blank">触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉</a><br />(2002/08)<br />北森 鴻<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106026554/yorimichikan-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table>
    <blockquote><p><strong>異端にして孤高の民俗学者・蓮丈那智の元に「『特殊な形状の神』を調査して欲しい」との手紙が届いた。神とは「即身仏」のことらしい。類例のない情報に興味を示し、現地に赴いた那智と助手の三国だが、村での調査を終えたのち、手紙の差し出し人が謎の失踪を遂げてしまう―(表題作)。日本人の根底にある原風景を掘り起こす「本格民俗学ミステリ」。待望の第二弾。</strong></p></blockquote>
    表題作のほか、「秘供養(ひくよう)」 「大黒闇(だいこくやみ)」 「死満瓊(しのみつるたま)」 「御蔭講(おかげこう)」

    異端にして孤高、しかも美形の民俗学者・蓮丈那智のもとには相変わらず興味深げで怪しげな事案が舞い込んでくる。助手の内藤三國の反応もいつもどおりであり、すっかりパターン化しているのだが、そこがまたこのシリーズの魅力にもなっている。「ミクニ、しっかり!」とさまざまな意味をこめて応援したくなるのである。
    教務課の狐目の男の正体(?)も判明し――相変わらず名前がないのは理由があるのだろうか――親しみ深くなり、――ミクニにとってはいいのか悪いのか判らないが――頼り甲斐さえ感じられるようになった。
    この一冊で蓮丈那智は幾度か災難に遭い入院するのだが、痛々しさも弱々しさも微塵も感じさせず、アンドロイド説に一票を投じたくなりもする。まったくどういう人なのだろう。それがいちばんの謎かもしれない。

  • ええっと、ミクニ!
    不覚にも三國君のことが好きになってしまいました。あと、狐さん。いい人だった。
    前作より民俗学のアレコレと事件のつながり方がスムーズになってて読みやすかったと思います。

  • <b>「ミクニ。こんな言葉がある。暴力は最後の理性、宗教は最後の処方箋」</b><br>
    (P.90)<br>
    <b> 悲愴な思いを抱いて那智の様子を窺うと、小首を傾げたまま、木堂に見入っている。ときおり近づいて細部を観察するのだが、唇を引き結んだまま、ただ一言の言葉も発しようとしない。その姿が、雪原を駆けるウサギのようで思わず頬を弛めた途端に、「方角確認!」と、容赦ない指示が飛んできた。</b><br>
    (P.172)

  • 2巻の方が面白い、というのはすごく好ましい評価だと個人的に思うのですが(笑)蓮丈先生がすごいことをしてくれます。どきどきです。そして狐目が好きになる。

  • 異端の民俗学者・蓮丈那智とその助手・内藤三國が解き明かす民俗学上の謎と現在の事件をつづる第二巻。 神とは、3種の神器とはいったい何なのか。また謎の即身仏や講の概念など色々なことが勉強できる本です。民俗学好きにはたまらない一冊。私はメチャメチャ面白かったです。 二巻になって登場が増えた(しかし名前はでない)”狐目”さんのファンになってしまったミーハーな私^^;

  • 民俗学薀蓄ミステリー。内藤くん、ピンチ!?

  • 異端の民俗学者・蓮丈那智の元に「特殊な形状の神」の調査依頼がきた。調査に出かけた那智と助手の三国だが、手紙の差出人が失踪を遂げてしまい…。表題作をふくむ全5編。学問とミステリが融合した「民俗学ミステリ」第2弾。
    <br>
    【感想】

  • 10/25購入。10/30読了。このシリーズ面白い。高田崇文の「QED」シリーズが好きな人にはいいかも。

  • 氷の中に潜む情熱。

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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