- Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106027277
感想・レビュー・書評
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何十年ぶりかの再読。人の記憶はこんなにもあやふやなものか、と驚いた。記憶にあった物語の結末とまるで違っていたからだ。いやはや本当に驚いた。ダレカガイツノマニカカキナオシテいませんか?これ。僕の中の物語は、吉野桃紅の意識が葉山晶子へ飛び込んで、それに突き飛ばされた拍子に晶子の意識が西岡悟郎の中に入ってしまった、という設定だったのに。そして最後は、それが明らかになりながらも晶子の意識が徐々に消えていくという悲しくも暖かなお話だったはずなのに。
井上夢人さんの小説は、本当に小説的な小説だといつも感じている。この本もまさにそう。殺伐とした展開の部分はあまり好きではないけれど、発想と丁寧な表現が、ああ今小説を読んでいるなあ、と感じさせてくれる。大好きです。
もしもできるなら、僕の記憶の中のダレカガナカニイルも書いてくれないかなあ。
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タイトル通り、火事が起こった日から誰かが頭の中にいるみたいに声が聞こえてくる話。そんな状況になったら私もパニックになるわ、と思いながら読んでたけど終盤そしてラスト、予想外過ぎてそうくるか、と。流石の一言!
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顧客を盗聴していたことが会社にばれてしまい、山梨にある「解放の家」という新興宗教団体の警備に左遷された西岡。初警備の晩に突然衝撃を感じて倒れ、それから誰かの「声」が聞こえ始める。更にその晩、施設で火事が発生し、1人の遺体が発見されるー。
かなりテンポが良く、最後まで一気に読める作品。最後の最後まで、「声」が誰なのか確証が持てなかった。「病識がない」という状態なのか、本当に誰かが中にいるのかがずっと分からない。ポワという単語や山梨という地名からオウムを連想させます。なかなかのどんでん返しでした。 -
声とのやり取りなどにくすっと笑える要素があったりして、なかなか面白かった。結末はうーんとうなってしまう感じだった。ただどうしても宗教団体というテーマだとな、偏見を持って読んでしまうよな。
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面白い!流石!
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読み終わり全てを理解すると、凄く切なくなるはず。。
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岡嶋二人を解散して、初の単独での作品です。岡嶋作品は、物語が動き出す中盤位からがやっと面白くなるという感じだったので、この作品もそれを期待して退屈なのを我慢して読み進めましたが、苦痛でしかありませんでした。カルト的な要素が強い上、とにかく長い。宗教の修行の話、「声」との堂々巡りの会話、病気の説明。最後のどんでん返しは主人公より先に気付きました。面白い展開だけど、いいの?そうなると、同じ時間、同じ空間に同時に存在してる事になるけど?って感じでした。