凍える牙 (新潮ミステリー倶楽部)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 337
感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106027451

作品紹介・あらすじ

深夜のファミリーレストランで突如、男の体から炎が噴き出した。その数日後、天王洲では無残に咬み殺された死体が発見される。二つの異常な事件に繋がりはあるのか-。捜査を開始した警視庁機動捜査隊・音道貴子と相棒の刑事・滝沢の前に、得体の知れぬ力を秘めた野獣が次第にその正体を現し始める。怒りと悲しみの牙の矛先は、誰に向いているのか。首都高速を舞台に、貴子と獣のスリリングな追跡劇が火蓋を切った。ハードボイルドでハートウォーミングな気鋭の大熱作。

感想・レビュー・書評

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  • 最近でこそ、女刑事が活躍する警察ものが種々見られるが、約20年前に発表されたこの作品は、その嚆矢ではないか。
    音道貴子シリーズの原点を訪ねたくなり、久しぶりの再読。
    オオカミ犬疾風をCB400スーパーフォアが追いかける疾走感、男社会の中での女性だからの煩悶、相棒刑事滝沢との相克を経ての信頼関係、いろいろ読ませてくれる。
    会話を主体に話を進める、安易な最近の小説に比べ、しっかりと状況描写を文章で綴り、心理状態を的確に描写し、それでいて、けっして、古さを感じさせず、再読三読したくなる良質のエンターテイメント。

  • 乃南アサ作品はやっぱりこれかな!

  • 偶然にも、前々回に読んだ【マークスの山】に続く「警察小説」。

    どちらも女性の作家だ。

    女性にとって、かなり難しい分野だと思うけれど、ご苦労さんと言いたい。

    この歳になると、こういうミステリーは現実離れしすぎていて、アラばかりが目に付いてしまう。

    マークスの時も書いたが、骨格が貧弱なのである。

    奇抜な方法で殺人を犯す二人の犯人なのだが、どちらも「動機」が弱すぎる。

    骨格となるものは、やはり動機だろう。

    作者はそういう犯罪の謎解きではなく、男女の刑事の心理的な駆け引きに重点を置いて書きたかったとしか思えない。

    だって、一生懸命捜査しているのだけれど、なんら「解決」していないのである。

    犯罪が次々に起こって、頭を使わずに自動的に犯人に辿り着くのである。

    読んでいる途中から、あらかたスジが読めてしまった。

    ストーリーの全体が冗長で、緩い感じ。

    もう少し、緊張感のある引き締まった、スピードのある書き方を勉強してください。

  • 凍える牙 (新潮ミステリー倶楽部)

  • 音道貴子刑事シリーズ 第1弾。

    機動捜査隊員で白バイ隊員だった女性刑事・音道巡査。

    深夜のレストランで突然男が炎上する事件が発生する。

    その男の足には大型犬に噛まれた跡があった。

    捜査は突然発火した原因と、身元捜査に注力するなか、相次いで大型犬に噛み殺される事件が発生する。

    2つの事件は、一人の少女の悲しい過去と、復讐を誓った元警察官が起こした悲しい物語だった。

    この大型犬というのがオオカミ犬なんですが、こんなに優秀な犬がいるのかと不思議に思いました。

    リアリティはあまりありませんが、今後の音道巡査の活躍が気になります。

  • 20180829

  • 2017_04_11-031

  • 2016.8.25

  • 男性警察官たちの女性に対する態度はいらいら。でも徐々に支えあっていく主人公たち、そしてオオカミ犬との信頼関係は心地良いものでした。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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