- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106028311
感想・レビュー・書評
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ブログ「キース・リチャードになりたい」で紹介されておりそれをきっかけに読む。
実際に起こった「埼玉愛犬家連続殺人事件」の共犯者である山崎永幸の執筆になるノンフィクションだ。
映画《冷たい熱帯魚》のモチーフになったということで評判なのか絶版の本書でアマゾンの中古価格は3500円になっている。
動物の売買を商売にしている関根元の犯罪の顛末を書いているのだが、死体を解体し、骨は燃やし(粉になる)肉の部分は川に流してしまう。死体がないので犯罪を構成しにくい。関根はそのことを「透明にする」と表現する。
悪人モノのもつおぞましさと、それがゆえに目が離せないどきどきの展開だ。この感覚最近もあったなと思ったら「悪の経典」だ。けれどあちらはフィクション。ノンフィクションで悪人モノというのは例が少ないのではなかろうか。
ノンフィクションの欠点もある。文章はかなり達者でゴーストライターが噂されている。たぶんそうだろうといううまさだ。けれど聞き取りであってもいいように思う。
また共犯者の執筆意図というものもあるだろう。殺人を目撃したら告発すればよかったのだが、その勇気が持てない状況であったという論点があるのだろうかなり感情的に書いている。『関根元は、ただの殺し屋じゃない。人間でさえない。奴が地獄に落ちたら、地獄だって扱いに困るだろう。』という調子だ。
執筆者は基本的に中立的立場になるので、性格が伝わってこない。まさに透明な存在である。実際はそういうことはないだろうからどのくらいバイアスがかかっているのか分からない。もしゴーストライターの手になるのなら、ルポライターのような第三者の話にしたほうがよかったのかもしれない。
話はとにかく面白い。犬の売買は値段がないようなものなので詐欺を働きやすいという裏事情や関根元の表の顔、裏の顔やくざとからむ話など本当の話ならではの描写が興味深い。「鬼平犯科帳」が好きといったどうでもいいようなエピソードも本当のことが持つ重みだ。
人間って何だろう。人間性の底辺はどこにあるのだろうと思いを馳せる点でも興味深い本でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
園子温監督の『冷たい熱帯魚』を観て興味を持ち、手に取った。
2011年の8月くらいに映画をみてその後この本を探したが、当時アマゾンで6000円~7000円の値段が付いていた。恐らく映画の影響だ思われる。そのくらい強烈な映画だった。ちなみに2013年5月16日現在は、4599円。
その後図書館の蔵書にあったので予約したが、こちらも予約が殺到しており、順番が回って来るまで1年9か月かかった(笑)こちらも映画の影響だと思うが、あの映画に興味を持った人がこんなにいるのか、と少し驚いた。
映画を観た後だとあまり衝撃はないけど、それでも十分に面白い本です。
設定がいくつか変更されているが、概ね映画と同じ内容。映画にはないエピソードもあるが(死姦など)、作者のキャラクター(チンピラ)を考えると、どこまで事実なのかは判然としない。
共犯者の男が書いたにしては随分文章が上手いなと思ったら、案の定 蓮見圭一という作家(当時は記者)が書いたらしい。ちなみにこの本は文庫化される際に『愛犬家連続殺人事件』と改題され、作者も志麻永幸とペンネームに変更された。
その後さらに改題、加筆修正され、『悪魔を憐れむ歌』として蓮見圭一名義で出版されている。しかしなんでストーンズなんだ。 -
傑作。関根元の名言「ボディは透明に」が強烈。最強の殺人鬼を自負する関根のキャラに振り回される山崎の姿はどこかコミカル。共犯者というより、パシリ。だが、それが殺人と死体遺棄のパシリだからしゃれにならない。
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映画からの原作。
どちらもすごい… -
「埼玉愛犬家連続殺人事件」の従犯とされる山崎が書いた本。この事件は園子温監督の映画「冷たい熱帯魚」のベースにもなっている。ノンフィクションという位置づけではあるが、本事件に関しては証拠があまりになかったゆえに山崎と検察・警察の司法取引があったともされており、眉につばをつけつつ、読むのがいいだろう。被害者サイドから事件を追った「仁義の報復」と併せて読むのがいいかもしれない。
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壮絶すぎ。
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「冷たい熱帯魚」を見た後、たまらず図書館で(新品は入手困難)借りた。皆考えることは同じみたいで、予約してから入荷までスゲー待たされたw。
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「西日の当たる教室で」で千原ジュニアさんオススメ☆
日本のノンフィクション作品を読むのは初めてだったのですが、本当にあった出来事とは信じたくない程の狂気性で、著者の味わった恐怖感がよく伝わってきました。
文章構成が上手く、次の展開が気になり一気に読破。
実行犯だった夫婦の心理状態にも大変興味が湧きました。 -
ほんとにあった愛犬家殺人事件をもとに、というか主犯の共犯者が書いたノンフィクション。恐怖のあまり逆らえずに共犯者となった筆者の圧迫感と、主犯の夫婦の猟奇性が細かく書かれていてほんとに怖いよ!透明にはされたくねぇ!