ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)

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著者 : 帚木蓬生
  • 新潮社 (2004年11月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035432

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ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • パチンコ、麻雀、競馬、競輪…。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増えつづける依存者の群れ。この本には「地獄への片道切符」に乗ってしまった人たちの末路が描かれております。

    僕は西原理恵子を始め、伊集院静や白川道など、確実にギャンブル依存症の作家のエッセイや作品を読んで、彼らの日常を笑ってみていたことがありましたけれど、それでも、彼らの日常が破滅しないのは彼らがやっぱり普通の人間の何倍もお金を稼いでいるのだという事実と、仮に、破綻はしていても『作家だから』ということで、多めに見てもらっているのであって、普通の人間が病的なまでにギャンブルにのめりこんでしまうと確実に待っているのは地獄への一本道です。

    僕は少年時代に、いわゆるアーケードゲームでこの症状に近い状態になってしまったことがあるんですけれど、やっぱり、ゲームをしないことには落ち着かなくなりますし、どんな手段を使ってでもお金を工面してやりたくなるという意味ではやっぱり似たようなものがあったのでしょうね。しかし、ギャンブル。この本では特にパチンコを取り上げておりますが、普通の主婦がパチンコにのめりこんで、夫の貯金に始まり、子供たちの保険を解約したしたり、果てはサラ金。ついにはヤミ金にまで手を出して、家族や親戚にも愛想をつかされて堕ちていくさまがなんともやり切れませんでした。

    ギャンブル依存はれっきとした病気できちんと病院に通って適切な治療を経ないことにはますます悪化させていく。そして本人だけではなく、家族や親戚さえも泥沼に沈ませてしまう。本当に恐ろしいものだということを感じました。ギャンブルそのものに関しては、個人的にはすべて否定するものではありませんが、何事も『過ぎたざるはなお及ばざるが如し』で節度を持って、楽しむ方は楽しんでください。

  •  ギャンブルはこれまで一度もやったことはありませんが、ネットや音楽に依存しがちな自分にも役立つかもしれないと思い、手に取った本。

     第一章はギャンブル依存症の大まかな説明である。『007』シリーズのイアン・フレミングの「ギャンブルに絶対勝つ方法はただ一つ、イカサマをすることである」という言葉を引用した上で、DSM-Ⅳ病的賭博「衝動制御の障害」ICD-10「習慣及び衝動の障害」において放火癖・窃盗癖・抜毛癖と同等の疾患であり、日本では法律によって場所・実施方法が制限されていないパチンコの存在が最大の特徴であると指摘している。また、今後は株取引のデイトレードやネット上のギャンブルが問題になるだろうと考えている。

     第二章はギャンブル依存症者の特徴の説明である。依存者はゲームに対し過度に興奮しやすく、醒めにくい身体的な下地が形成されてしまっていることや、ギャンブル依存症は強迫性障害とは関係がなく、遺伝が絡んでいたとしても、環境要因も考えられている。筆者は「ギャンブル依存症になりやすい性格の傾向はあるかもしれないが、条件の整った状況に立ち入ってしまえば、大なり小なり依存症への道を歩んでしまうため、「遺伝と性格」ではなく「躾と教育」が大切」と論じている。

     第三章ではギャンブル依存症者の数を推測している。国や地域、時代によって数字がばらつくことを踏まえた上で、アメリカ・カナダ・オーストラリア・香港のデータから得られた数字を用いると、日本にはギャンブル依存症者は100万から200万人(政令指定都市4つ分の人数)ほどおり、その値はアルコール依存症者の数(400万人)の一割から一割五分にあたる、ギャンブルを始める年齢が早いのは男性であり、依存症に至るのが早いのは女性、そしてギャンブル行為とかける金額が異なるだけで、貧富の差無くギャンブル依存は発生すると筆者は見ている。

     第四章はギャンブル依存症者が抱えていることが多い病気の説明である。
     躁鬱病(誇大感・浪費傾向・過活動の影響)、うつ病(症状が軽い時に気晴らしとして始めてしまうか、ギャンブルの果てに発症)、統合失調症(幻覚・妄想が落ち着いた時にはまってしまう)、アルコール依存症(クロスアディクションによる同時進行)、買い物依存症(四割の人にアルコール依存や薬物依存が見られる)、摂食障害(負けたときのストレスを発散するため)など、多くの病がみられる事が分かる。

     第五章はギャンブル依存症者の周囲にいる人々の苦しみを説明している。「ギャンブル依存症の夫をもつ妻自身が「両親が離婚したという生い立ちを持ち、自分の家庭だけは崩壊させたくないという切ない願いが共依存を生み、結婚という形式をギリギリまで維持させ」、その結果身体は風邪をひきやすくなるといった抵抗力が弱まる、精神は音に大して敏感になる、自責の念にかられるなどしてしまう」という趣旨の説明はひたすら悲しい。借金の肩代わりを何度となく続け、兄弟の配偶者とその親類との関係までもが破壊されていく。企業に配置される産業医もギャンブル依存に疎い場合もあるため、対策を講じれないのも問題だろう。

     第六章ではギャンブル依存症に関わる法の問題に触れている。
     適当な口実で得た物を転売してまでもお金を得てギャンブルに投資し、しまいには債務地獄へと至る。債務整理には特定調停・任意整理・個人民事再生があるが、あくまで治療することが前提だと書かれている。
     それでも無理な場合には自己破産するしかなく(ここで筆者は日本には顧客の借り入れ状況を見極めずに貸し付けるという、多重債務者を生み出しやすい体質が放置されていることを批判している)、この時、精神疾患(躁鬱病・統合失調症)を抱えている場合、医師の診断書を提出すれば金融会社の方で債権を放棄すること... 続きを読む

  • ギャンブル依存症についてわかりやすく書かれた一般書。学習資料にも使わせていただきました。この問題を知るのに、まずは読んでみたらよい本です。

  • 主婦がパソコンにハマり、借金を重ね、堕ちていく姿に戦慄した。

  • 20101031 病気と判った時には遅いのかも。なぜだ!!

  • ギャンブル依存を扱った本では、これまでで一番いい。公平な視点でさまざまな治療法について触れているし、著者が小説家でもあるので文章もわかりやすい。

  • ギャンブル依存の恐ろしさが書かれた一冊。ギャンブルはただの習慣ではなく病気と捉えるべきであるということが本書で一貫して書かれている。

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ギャンブル依存とたたかう (新潮選書)の作品紹介

パチンコ、麻雀、競馬、競輪…。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増えつづける依存者の群れ。「少しだけなら」「自分は大丈夫」と言い訳しながらのめりこみ、深刻に精神が蝕まれていく。ギャンブル依存は意思の弱さとは無関係。家族知人を巻き込み、誰しも陥る危険な「病気」の全貌と立ち直りへの道すじを、作家・精神科医の著者が明らかにする。

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