真っ当な日本人の育て方 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
3.90
  • (7)
  • (6)
  • (7)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035661

作品紹介・あらすじ

少年による犯罪、モラルの崩壊、弱者に向かった凶悪事件。「壊れた日本人」の出現は、永年受け継がれてきた日本ならではの育児法が、戦後なくなってしまった結果だった。抱き癖をつけよう。善悪を理屈で教えてはいけない。浮気は厳禁。保育所はなるべく行かせない、等々。ベテラン小児科医がたどりついた日本人にふさわしい育児法。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【感想】
     微妙な文明論にかぶれた育児書。少年犯罪の増加(実際は増えていない)を教育論に帰する点をはじめ、本書の論理展開には疑問符がたくさんひっついている。
     「出産・育児についての言説には、スピリチュアルなものや、無根拠のものが紛れ込んでいる」という見解を、意図せず支持することになった本。

    【書誌情報】
     『真っ当な日本人の育て方』
    著者:田下 昌明(1937-) 小児科医。
    定価:1,430円(税込)
    発売日:2006/06/23
    シリーズ名 新潮選書
    発行形態 書籍
    判型 四六判変型
    頁数 254ページ
    ISBN 978-4-10-603566-1
    C-CODE 0337
    ジャンル 妊娠・出産・子育て
    定価 1,430円

    ◆戦後、アメリカから輸入された「育児の常識」が、日本人をダメにした。救国の育児論。
     少年による犯罪、モラルの崩壊、弱者に向かった凶悪事件……。「壊れた日本人」の出現は、永年受け継がれてきた日本ならではの育児法が、戦後なくなってしまった結果だった。抱き癖をつけよう。善悪を理屈で教えてはいけない。浮気は厳禁。保育所へはなるべく行かせない――等々、ベテラン小児科医がたどりついた日本人に合った育児法。
    [https://www.shinchosha.co.jp/book/603566/]

    【目次】
    まえがき

    第一部 基礎編
    第一章 日本人を育てる
    生命、四つの意味/子供は「かわいい悪党」/子育て三つの問い/文化はその国の人にしか作れない/赤ちゃんを人間にし、日本人にする/日本人への第一歩/夫の選び方/家庭では順位が大切

    第二章 もともと日本に育児論がなかった理由
    なぜ誤った育児論を輸入したのか/キレる子を多発させたジョン・デューイの思想/スポック育児論の誤り/科学だけで育児はできない

    第三章 胎教をおろそかにしてはいけない
    胎児はすでに学んでいる/胎児の発育の様子/好きなこと、嫌いなこと/意思も感情もある/朝寝坊の母は朝寝坊の子を産む/育児は胎教から始まっている/新生児に対する誤解/理想的な出産/母親がマスクをつけたら/感性豊かな母親になろう/母乳は「心の栄養」でもある

    第四章 心はどのようにして正しく発育するのか
    「刷り込み」理論を理解する/人間への出発/抱き癖をつける大切さ/母と子の一体感/愛着行動とは/子供の心の安全基地/三歳まではお母さんの一部/「時間」を知る/母親と離別すると/母親と別れて暮らせる限度/切り離すことのできない母子の心

    第五章 父親は舞台の床である
    まったくちがう母親と父親の役割/父の浮気と子の病気の関係/父親はとにかく子供と遊べ/父母と子供は対等ではない/父親は大いに人生を語るべし/宇宙飛行士の父親たち/父親は群のリーダーとして振る舞え

    第二部 実践編
    第六章 子供が本当に必要なもの
    子供は必ずおみやげを持って来る/母親は朝寝坊をしてはいけません/連休や来客は育児の大敵/規則正しい生活が一番/母は空母、子は艦載機/出がけと帰宅時には抱いてやる/子供に嘘をついてはいけない/六本木ヒルズよりボロ家

    第七章 母子はとにかく離れてはいけない
    使わないところは発達しない/アタッチメントが堅固になるまで/母子の離別が非行の最大原因/親はされたことを子にする/なるべく保育所には行かせない/私が見た離別の実例

    第八章 乳幼児に向いた衣服
    寒くなく、暑くなく/手足を自由に動かせる/オンブのすすめ/素早く脱がせられるか/赤ちゃんはオムツ嫌い/指なし手袋は頭を悪くする/靴下は運動神経を鈍くさせる

    第九章 さまざまに意味のある授乳
    混合栄養にすると母乳が出にくくなる/人工栄養で育てるならば/赤ちゃんに与える物の味と匂いを知る/ゴム乳首の孔を大きくすると無気力人間を作る

    第十章 食事の始まりは躾の始まり
    薬を上手に飲ませるコツ/好き嫌いは親が作る/体罰は「やる」か「やらない」かの問題/食は朝昼軽く、夜重く/豪華な弁当は成績を下げる

    第十一章 具体的な言葉で育てる
    衣食住は文化そのもの/なぜ自国を知ることが大切なのか/法を守ることを教える/善悪は強制的に従わせるもの/突然、説教魔になるな/「他人に迷惑をかけない人になれ」は大間違い/「腕白でもいい」は育児放棄
    第十二章 善悪を理屈で教えようとしてはいけない
    人のため、世のため/頼られることの大切さ/善悪を教えるのに理屈はいらない/善悪の基準が人格を作る/「明るく豊かな子」は幻想/まともな日本人が国際人になる

    あとがき
    引用文献

  • この本、現代女性から反感をかうかもしれません。

    ジョン・デューイの教育思想
    「子どもは最初から自分の衝動や関心、さまざまな活動を持つ能動的存在であるので、教師はいかなるものも<誘い出し>たり、<引き出し>たり、<発展>させたりする必要はない。一般に教育者の仕事は、親であれまた教師であれ、たんにその活動を確かめ関連づけ、それらの活動に適切な機会と条件を与えることにある」
    に従って育てられて子どもは、苛酷な社会に入れられると、ノイローゼになってしまった。
    この思想を具現化した育児書‥
    「スポック博士の育児書」が1966年に日本で出版される。
    これは「まあ、両親が本能的にやりたい方法でやりなさい」と逃げを打っているのが特長。
    日本もここ40年ほど、この本の影響を受けている。
    今の少年犯罪の多発も、決して無関係ではないと思っている。

    という考えから「真っ当な日本人の育て方」が展開され、
    日本の昔ながらの育児を大切にという本です。

    3才までは、母親と密着していなくてはならない。
    6ヶ月から保育園に預けると、全員ではないが精神的にショック受け、
    将来的に精神的に自立できなかったり、社会に適合できなかったりする。
    著者の小児科医の立場で、事例をあげて説明していました。
    専業主婦が良いのかな?という考え方と思いました。



    キャリアウーマン(教師)の母に育てられた私です。
    「女も精神的な自立・経済的な自立をしなければならない」
    と、言われ育ちました。
    建築士の資格を取り、キャリアウーマンをしていました。
    でも、結婚して‥休日返上・深夜労働で仕事をし、
    「なんの為に結婚したのかな?」
    と疑問を持ち、体力的にも限界を感じ退職。
    子どもが産まれ、専業主婦をしています。
    再就職を考えないわけではありませんが、
    子どもの頃、母にそばにいて欲しかったという思い‥
    病気の時、祖父母宅に置いていかれた寂しさ‥
    自分が親にして欲しかったことを今、実現しています。
    何のために働くのか?考えさせられました。

  • 2007年2月10日、4版、並、カバスレ、帯付き。
    2014年7月1日、津BF。

  • 小児科の先生が書いた育児の本。

    日本人には日本人に合った子育てのやり方がある、という主張をされている先生です。

    肝に銘じなければいけないことがたくさん書いてありましたが、母親は寝坊してはいけない、というのが一番ずっしりきたでしょうか。
    もともと夜型、というほどではないかもしれませんが、朝が弱くて夜更かしする日が多い生活を送っていたので。
    妊娠してからは、極力日付が変わる前に就寝するよう心がけていますが、寝つきが悪いこともあって、それが朝の起床に影響を与えることも。気を付けなければなりません。

    親の姿勢や、子への接し方など、納得できることばかりなので、大いに参考にして子育てを頑張りたいと思います。

  • 小児科医としての経験をもとに、
    正しい子育ての方法について解説しています。
    世に流布されている育て方の間違いなどもわかります。
    すべての母親に読んでもらいたい一冊です。

  • 米国式子育て法は誤りであった?!と驚きを隠せないほど衝撃的でした。まだ結婚も子育てもしていませんが、古き良き日本伝統の子育てが間違っていなかったことをベテランの小児科医が指摘しています。
    「抱き癖」は満足するまでやってあげなさい、子供に嘘をついてはいけないなど、なるほど!と思える子育ての秘訣が分かります。

  • 三歳までの母親の愛情が、その後の人生を左右するということを小児科医の臨床現場、実験、家庭での実体験を交えて、論理的にわかりやすい言葉で書いてあります。
    子育てしている方もしていない方も「子供は誰のものか」「何のために子供を育てるのか」「どんな大人になって欲しいのか」を考えてみるといいかも。

  • 「母親は朝寝坊してはいけない。」一番心にズシッと来た。確かに、何より大切なことかもしれない。まずはこれから必ず早起きするようにがんばろうと決めた。
    私がこの本を読んだのは、息子が3歳になったすぐ後で、3歳という時期はある意味大きな転機だと知った。行動や気持ちが少し母親から離れて、外の世界へ向かい始める時。でも母親が心の安全基地であることはずっと変わらない。これからどんなに成長していっても、ずっと私は心の安全基地だということを胸に留めておきたい。
    体罰についての記載も私にはしっくりきた。しないと決めたら絶対にしない。すると決めたら毅然として揺るがない。とにかくお母さんがダメだと言ったらダメだ、とこれでいこうと思う。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

昭和12年、北海道旭川市生まれ。北海道大学医学部卒。医学博士。小児科専門医。
現在、医療法人歓生会豊岡中央病院会長。北海道小児科医会理事。北海道病院協会監事。日本会議北海道本部理事長、新しい歴史教科書をつくる会道北支部長、日本教育再生機構代表委員、親学推進協会代表委員。日本家庭教育学会理事。
著書に、『よい子はこうして育つ』(三晃書房)『母の積木』(日本教育新聞社)『田下昌明の子育て健康教室』(日本教育新聞社)『「子育て」が危ない』(日本政策研究センター)『真っ当な日本人の育て方』(新潮社)、『一に抱っこ二に抱っこ三、四がなくて五に笑顔』(高木書房)など多数。

「2017年 『もう子育てでは悩まない この一冊で育児は完結する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田下昌明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×