ドイツ病に学べ (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035692

作品紹介・あらすじ

GDP世界第三位を誇り欧州経済の牽引車だったドイツが、いまやEUのお荷物となった!高まる消費税、慢性的な高失業率、吹き荒れる首切りの嵐、経済学者も匙を投げる旧東独の惨状、高すぎる給料と強い労働組合、チェコやポーランドなど旧東欧諸国に逃げ出す企業、改革の足枷となった介護・年金制度…。その断末魔から日本はなにを教訓にすべきか。

感想・レビュー・書評

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  • ドイツは国際政治では小人に徹することを抜けなかった。経済では巨人だったことから日本と似ている。
    ナチス時代の計画統制経済に比べると競争と市場の原理を大幅に取り入れているものの、経済政策の路線は政府が決定し、競争に敗れた弱者を救済するために、社会保障制度などによって政府が安全ネットを準備する、秩序隙なドイツ人の心理にはぴったりあてはまった。

  • 図書館蔵書

  • 構造的な問題が日本と近いといわれる現代ドイツの現状についての本。特に福祉関係や労働と雇用、少子高齢化と社会保障、製造業中心の産業と金融の問題など興味深いとことが多かったです。米国型の金融やライン型資本主義と金融資本主義のジレンマなど、現状の日本と「いかに似ているか」を強調する部分が多く、それが意図的なものなのかリアルに近いのかが分からなくなって来るくらい。内容はある意味ホラーストーリーですが「ドイツは苦悩する」よりは著者の主観は薄めな感じ。

  • かつて経済大国と言われたドイツが直面するさまざまな問題を、長年現地に住む著者が浮き彫りにし、同じ境遇を歩みつつある日本に対して問題提起をしている。

    私のこれまでの欧州のイメージは、
    ■税金が高いが社会的保障が厚い 
    ■米国の市場原理主義型資本主義とは一線を画しているが経済活動としては十分回っており世界的競争力のある企業を有する。 
    ■休日は多いが企業活動としてはなんら問題がない。 
    であったが、欧州の中でも経済的に優等生であったドイツがさまざまな病気と、それを誘発する要因を持ち合わせていることが、本書をよんでよく分かった。

    やはり、市場は政府が介入すべきでなく神の手に負かすべきなのだろうか?という思いに至る。

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著者プロフィール

1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からはフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。過去との対決、統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材、執筆を続けている。
著書に『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』『ドイツ人はなぜ、年「290万円」でも生活が豊かなのか』(ともに小社刊)、『ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか』(SB新書)、『パンデミックが露わにした「国のかたち」』(NHK出版新書)など多数。『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)で2007年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞受賞。

「2023年 『ドイツ人はなぜ、年収アップと環境対策を両立できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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