渋滞学 (新潮選書)

  • 676人登録
  • 3.68評価
    • (40)
    • (67)
    • (97)
    • (5)
    • (0)
  • 72レビュー
著者 : 西成活裕
  • 新潮社 (2006年9月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035708

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドン・タプスコッ...
キース・デブリン
イアン・エアーズ
村上 春樹
J・モーティマー...
有効な右矢印 無効な右矢印

渋滞学 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • 役に立つ数学の、より詳しいバージョン。役に立つ数学を読んだあとだったから楽しく読めたかなあ。大学の教科書みたい。
    2017.07.22

  • ≪目次≫
    まえがき
    第1章  渋滞とは何か
    第2章  車の渋滞はなぜ起きるのか
    第3章  人の渋滞
    第4章  アリの渋滞
    第5章  世界は渋滞だらけ
    第6章  渋滞学のこれから

    ≪内容≫
    横須賀図書館。予想外の展開…最初から。それは、「渋滞学」は車に関することだけでなく、人やネットやエレベータなど幅広い分野に関連すること。さらに、中心的な考えは、”複雑系”であること(数学ですね…)。したがって、理解は半分くらいだったかも?まあ、難しいこと!ってわかっただけで十分かな。
    ネタとしては、
     待ち時間×人の到着率=待ち人数(リトルの法則)
     渋滞の一番の原因は、サグ部(ちょっとした上り坂)であること
     車間が40m以下で渋滞が発生すること
     2車線道路では追い越しの方が遅くなること(原則)
     車は止まると発進まで車1台あたり1.5秒かかること

    こんな感じかな?

  • 理学と工学をまたぐ学際的な研究と人材の重要性について、この頃から提唱していたのですね。

    著者は領域横断に活躍したフォン・ノイマンに憧れていたのだろうか?セルオートマトン、ゲーム理論とノイマンにちなんだ話題が多い。

    ウィーナーの『サイバネティクス』やサイモンの『Artificial』を読んでいるような感じ。

  • 「渋滞学」なる学問があるとは知らなかったので、手に取った本。

     第一章「渋滞とは何か」は渋滞自体の説明というよりは、渋滞を説明する理論及び用語の説明が多く見られる。
     「ホースで水を撒くときに先を細めると勢い良く水が出るが、人間の場合は当てはまらない」という誰にでも想像できる例をうまく用いて、物理学に疎い人でも容易に読めるように見事に書かれている。この他にも、慣性の法則、作用=反作用の法則を用いて人と水の違いを説明したり、管の中を通る空気の流れも超音速になると管を細くすると遅く、細くしなくても外部から温めると遅くなるという事を、人間は興奮・パニックに陥ると「人の温度」が上がり流れの速度が遅くなるという説明につなげたりとユニークである。
     現実を表す「良いモデル」として、更に渋滞の説明にも役立つASEP(Asymmetric Simple Exclusion Process:非対称単純排除過程)という、セルオートマトン法の一種の解説がなされている。

     第二章は、年間約12兆円という経済損失を発生させている交通渋滞が起きる原因を考察している。
     高速道路で渋滞が起きる原因の第一位は「サグ部・上り坂」であり、すぐには気がつかない程ゆるやかな坂道の為に自分と、その後ろにいる車がどんどん減速してしまい、ブレーキを踏む強さもどんどん大きくなってゆくという連鎖反応で渋滞が発生するのだという。
     交通の流れを分析する際に「基本図」が使われ、渋滞していないときのデータは右上に伸びる直線となり、渋滞が発生する所(右下がり:渋滞への相転移が見られる)を見ると、車間距離が40m以下(急ブレーキを踏んで止まれる制動距離)になった時が渋滞になるという。そして、この状態でも自由走行の80km/hを保っているのを「メタ安定」といい、通常10分程度しか持たず、渋滞に変化してしまう。
     このメタ安定が現れやすい道路がサグ部であり、これ以外にもカーブ(見えづらい場所にあるとき:夕方の西日の影響)、トンネル(暗さ・閉塞感・水が溜まらないよう為のサグ:夜よりも昼のトンネルのほうが渋滞が多い)、合流部(ただし「弱いメタ安定状態」という60km/hで走れる状態が続くことがある)が主な地点である。また、混んできた時は追越車線でなく走行車線を走った方が良い、というお得な情報が明かされている。
     この本が出版される8年前は、料金所が高速道路で渋滞が起きる原因の第であったらしく、それを解決したのがETCの導入であったそうだ。その効果を認める一方で、個人負担が未だに高額であること、ETCゲート通過時に速度を20km/h以下に落とさなければならないという課題が解決される必要があると述べている。
     都市交通における基本図は台形をしており、ボトルネック型と呼ばれている。青信号に変わったときに自分が動ける番になるまでには、車一台あたり1.5秒かかることや、よく赤信号に引っかかる人は速度を落とすと解消できる可能性があること、先日日本でも導入されたラウンドアバウトは、交通量が適度に少ない時に最も効果があると述べられている。

     第三章は人の渋滞についてである。
     明石歩道橋事故の事例を参考に、通常人間は自己駆動粒子として振舞っているが、集団が極端な密着状態になっているとニュートン粒子として振舞うようになってしまうという。そして、群衆の状態は動因によって「会衆」「モッブ」「パニック」の三つに分けられている。
     超満員の電車から一斉に出ようとすると詰まってしまう(ボトルネック)構造を「アーチアクション」といい、眼鏡橋はこれを応用している。避難の際に発生するボトルネックは「ミンクの実験」でも追試が行われれおり、競争でなく譲歩し協調することが大切であることを示している。
     航空機か... 続きを読む

  • 一番心に残ったのは、自然渋滞の発生する原因。体感しない程度の緩い勾配・サグによってもたらされるのね。確かに考えてみればなるほど納得。気づいたら10-20kmスピード落ちてること、確かにありますもんね。

  • これも読みたいと思いながら、机に放置していた本。本当に素晴らしい、なんとも面白い本だ。渋滞という現象を数学的、生物学的、物理学的に多様な側面からアプローチしている。横断的でもあり、縦断的でもある。文章も読みやすく、ときおり「トリビアの泉」とか、料理の作り方みたいな小ネタを交えながら難解な化学的叡知を説明する。抜群のバランス感覚である。ノイマンのゲーム理論の分かりやすい解説やパイコネ変換も面白かった。

    248ページから引用。素晴らしい文章である。

    「私ももちろん専門家のはしくれなので、たとえば非線形現象について細かいことを一応いろいろと知っている。クイズ王と専門家のちがいは、例外まで含めてある分野の原理原則を知り尽くしているのが専門家で、専門知識の一部を例外抜きで満遍なく知っているのがクイズ王である。例外を知ることは、知識の適用限界を知ることにつながり、実際に知識を実生活に応用する際にはとても大切なのだ。その意味では、ものごとがうまくいっている場合には実は専門家はほとんど必要ない。しかしうまくいかないことが出てきたときに、それを解決できるのが専門家で、その存在は大変重要である。
     しかしこれだけではまだ不十分で、新しいタイプの専門家がこれからの高度技術化社会には必要だ。(中略)自分の専門分野以外に、クイズ王よりは深く工学と理学のいろいろな分野を知っていることも必要なんのである。その上で専門家の友人を多く持ち、その内容を理解してお互いの精神を共有できる人材こそ、これからの社会を担う人材である。異分野の知識が有機的に結びつくのは、結局一人の人間の頭の中にそれらが入り込んで混ざったときのみである。
     専門分野によっては、他の分野に対してなかなか友好的でない集団もある。これでは長期的に見てお互いのメリットにはならない。我々は科学者なので、真実のもとに一致協力して理学と工学が分野を超えて一つになれれば素晴らしいと思う。そうすれば必ず渋滞問題は解決する」

    All agreed.

  • 『渋滞学』読了 ★4つ(5点満点)
    渋滞が理論的に研究されているらしいことは知っていたが、「渋滞学」というニッチな学問領域ができていたことを初めて知る。

    まだまだ未完成の部分が多いが、新しい学問領域として、成立させたのは著者はなかなかすごい。
    あと、渋滞学のちょっと面白いところは、物理学や数学の理論を、社会科学に応用している、クロスファンクショナルな学問ということだろう。
    統計学ぐらいは使われるが、ここまで数学を使い倒す社会学領域は、自分の知る限り他にみたことない。
    2006年発売の本なので、その後10年の進化が、どうなったか見てみたいところ。


    https://www.amazon.co.jp/gp/product/4106035707/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4106035707&linkCode=as2&tag=hitoshiebih0a-22&linkId=beae585b5b5cd64c51fa3b94d7c645ac

  • 2006年刊。交通渋滞の要因、解消方法等を統計力学(複雑系)の観点から解明。数理的な解析に、実証実験も加味され単なる机上の論と化していないところがいい。また、統計力学・渋滞学は、単に交通渋滞の解消だけでなく、情報ネットワークの改善、航空機・鉄道の運用改善に役立つばかりか、噂や世論形成の統計学的アプローチや分析も可能とし、渋滞学の負の側面(否定的意味ではない)は、広域的な感染問題・森林火災等事象伝播の防止策を提供するなど意義深い研究と判る。ちなみに、蟻のような社会性昆虫も参考になるとのこと。読みやすい良書。
    なお、著者は、基礎研究系の理学部と応用実践系の工学部の発想の融合を説き、これらの横断的な学習カリキュラムの必要性を訴えているようだ。首肯できるところ。

  • クルマ以外を扱ったのが、個人的にはマイナス評価。純粋に学問的探求が目的なら、高評価かと。
    ただ、難しいけど単純化をしすぎる感じもしました。

  • 以前読んだ本と大して変りない感想しかないので何を書こうか迷っているのですが(笑)、本書が出版されて10年経過した現在、渋滞学はどこまで進展したのでしょうか。
    応用範囲が極めて広いのが渋滞学で、それゆえ本学問の発展は他分野の進展も必要なので、時間がかかってしまうのは仕方ないのですが……今後の発展に期待です。
    僕の評価はA-にします。

  •  渋滞はなぜ発生するのか。人込み、車、アリ、インターネットの渋滞を科学する。

     特に第一、二章の車の自己駆動粒子系をモデル化して渋滞を計算するところが参考になった。

     この最新の論文が読みたいところだが、流体力学なんかまったくわからない門外漢なので困る。

  • 意外と学問的。

    道路の渋滞だけではなく、様々な渋滞について書かれている本です。

    高速道路の渋滞を無くすには、車間距離を空けること。

    語り口は素人にもわかり易く書いてありますが、数学的な説明もあり意外と難しい。

    火災の時の避難とか、日常の話だと面白いのですが、それ以外は流し読みになっちゃいました。

    興味のある部分だけ拾い読みしても十分だと思いますよ。

    個人的には著者の他の本のほうが良かったかな。

    まぁまぁオススメです。

  • NHK「視点・論点」で著者を初めてみた。テーマはもちろん「渋滞学」について。
    高速道路で渋滞が発生するメカニズムを、10分という短い時間で簡潔に話していて、その「渋滞学」という耳慣れない言葉と、身近さに引かれ、著者にも関心をもった。

    そこで一番興味深かったのは、高速道路で渋滞しないための策が「やさしい運転をすること」だという。
    つまりごく簡単に言うと、高速道路ではある一定の車間距離より間隔が短くなると、前の車両のブレーキングなどが微妙に直後の車両の運転に影響を与え、余計な減速や加速が繰り返され、それが後続へと連なることでダンゴが発生するのだという。
    そこで前へ詰めるのではなく、前の車両とは余裕をもって距離をあけることが、一見、車列が延びて渋滞がひどくなるような気がするが、逆にマクロで見るとかえってスムーズに運転できる結果となるのだという。

    オンエアや本書ではもちろん、学術的な論拠も示されており、きちんと自然科学的アプローチから渋滞という現象が解析されている。一方、車の渋滞をはじめとした身近な現象の原理で、いまだ論理的に未解決なものが多いという。
    本書では我々の日常のまわりから多くの「渋滞」現象を取り出し、笑うくらい身近なところからも、まじめに学問している。硬と軟、まじめと遊びが絶妙にブレンドされている。研究者らしからぬ“サービス精神”を感じた。著者はメディア向け?なのかもしれない。
    (2007/9/10)

  • これはかなり純粋に渋滞だけを扱った本で、友人が言っていた「メタ安定」の話が出ていた。続編というか、仕事に応用した「シゴトの渋滞学」も買ってるのでこれも読むとするかな。

  • 書評などで見て買いたいと思いながら、買いそびれていた本。図書館で借りて読み出したのだけれど、おもしろすぎて即購入。渋滞についての研究。しかしそれは何も自動車の渋滞だけではない。緊急避難時の人間の動きであったり、アリの行動パターンであったり、コンピュータのネットワークだったり、血液の循環の話だったり。とにかく、渋滞を発端に、いろいろな話に広がっていく。しかしモデルとして出てくるのは、本当に単純な箱と○。本当に簡単なルール。そこから、次々に新しい動きが見つかってくる。少しルールを変えるだけで新たなことが分かる。どんなモデルを作るか、それが研究者のカンの働かせどころ。安全学など新しい学問との融合も期待できる新しい領域だと思う。

  • 交通の渋滞から、人の渋滞、アリ、ネットワークの渋滞まで色々な渋滞があり、様々な分野の問題を単純化して画一的に捉える面白さ。締めに、理学と工学を横断的に理解のある人が今後必要だと作者は説いている。

  • ●『渋滞学』(西成活裕/新潮選書)
     渋滞というのは、目の前にあれば不快だし、どっから始まるかもわかんないし、なんだか正体がわからない「ぬえ」のようなモノという認識だった。ところが、近年ではこの「ぬえ」のしっぽをつかまえているっぽいつーか、ちゃんと「学問」になってるっぽい。
     具体的には、簡単なモデルをつくって、それを動かしながら検証していくと。そのモデルというのは、こんなの。

    □□●●□●□□●□□□

     四角い箱□の1コマに、●は1個だけ入ることができる。で、1コマ先が空いてれば移動できる。こんなふうに。

    1)□□●●●□●□□●□□□

    2)□□●●□●□●□□●□□

    3)□□●□●□●□●□□●□

     もちろん、□を0、●を1として(0010101010010)と表すこともできる。こうして渋滞をモデル化することで、コンピューターにのっけてシミュレーションして……ということができるようになって、渋滞を物理学的に研究できるようになってきた。なるほどね~。

     で、この本では、車の渋滞に限らず、人の渋滞、アリの渋滞、インターネットの渋滞、はては人の細胞の中での渋滞なんかをとりあげて、それがどういうしくみで起きてるのかを明らかにしてる。「渋滞」という不快な現象の裏に、どんな法則があるのかというのがわかってくると、ちょっとなんだか楽しいぞ。

     科学の先端の話というのは、現実生活とどう結びついているのかがわかりにくい話が多い。そこんところ、この「渋滞学」というのは、すぐに役に立つので身近に感じるし、メリットもわかりやすい。最後まで退屈しないで、楽しめる本だった。

  • 車や人を自己駆動粒子をみなしてモデル化・シミュレーションする、待ち行列理論以上のスタンスが渋滞学だということか。インターネット上のパケットの輻輳や生物内のミクロ系で見られる渋滞などの事例も紹介されている。著者の立場は複雑なシステムもできるだけ単純化して見ていこうといった感じで紹介されている数理モデルは離散的なかなり単純なものなが多い。巻末には理学と工学を融合できる人材の必要性なども述べられている。

  • 車だけでなく人の混雑,アリの群れから森林火災やたんぱく質の合成まで,ありとあらゆる渋滞現象の発生原理が分かりやすく解説された名著。あなたが渋滞に直面した際取るべき行動のヒントがここにある。終盤,デジタルコンピュータの限界をカオス理論におけるパイこね変換に基づき紹介し,数学の重要性を説くあたりは秀逸。

    *推薦者 (工教)S.H.
    *所蔵情報
    http://libra.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00324926&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • いつか読んでみたいと思っていた本。
    「渋滞」=車だと思っていたが、色々と他分野に渡って記されていた。
    「渋滞学」というタイトルのとおり総論的な内容だった。

    無意識な渋滞を引き起こさないような運転を心掛けたい。

  • ・高速道路に始まり、様々な「渋滞」について学問する。
    ・なぜ渋滞が起こるのかを考えるだけでなく、それに付随する問題を解決することで社会に貢献しているもの(インターネットの通信規約など)があることがわかる。
    ・数学の解法として「モデル」を作り証明していく過程は、様々な局面で応用できるかと。

  • 半分わかったかどうか。全体を通して思ったこと。何故か会社の会議の動員予測について、「うちの会社の会議は微分化し過ぎかとおもう。得られた結果を要素還元的なアプローチで料理できてないなあ、科学的でないな〜」と、しみじみおもってしまいました。

  • 世の中で話題になっていた時期に当時の上司に借りて読んだ一冊。
    渋滞を起こさない一番簡単な理由であったり、混雑をどう解消するか、を学問にするだけでこんなに面白くなるのか、という点で目からうろこでした。
    東大の先生が本気になればこんな実験もできるのね、ということで、社会のためにこの学問をもっと効果的に使って欲しいものです。

全72件中 1 - 25件を表示

渋滞学 (新潮選書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

渋滞学 (新潮選書)の作品紹介

人混み、車、アリ、インターネット…世の中、渋滞だらけである。生まれたばかりの研究「渋滞学」による分野横断的な発想から、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。一方で、駅張り広告やお金、森林火災など、停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。渋滞は、面白い。

ツイートする