逆立ち日本論 (新潮選書)

  • 357人登録
  • 3.63評価
    • (26)
    • (59)
    • (63)
    • (6)
    • (3)
  • 41レビュー
  • 新潮社 (2007年5月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035784

逆立ち日本論 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ユダヤ人のことが少し分かった。レヴィナスという難しげな哲学者がどういう人物か少しだけ分かった。いったい本書では何が語られていたのか。昨日読み終えたばかりなのにほとんど思い出せない。ユダヤ人のことしか覚えていない。ユダヤ人の問題は実はユダヤ人のことだけではなく、もっと大きな枠組みで考えるべき問題らしいということがおぼろげながら分かった。「夜と霧」でフランクルは決してナチスだから悪だとはとらえていないということには気付いていた。話はどんどん多岐にわたっていく。話がかみ合っているようですれ違っているようで。それぞれの自己主張が強いけれど、2人とも大声で意味のないことを自身ありげに話す人ではない。全共闘のこと、政治のこと、アメリカという国について、「蒟蒻問答」という落語について、おもしろい。一気に読み通しました。内田さんがあとがきで養老先生のことを「師匠」と呼んでいます。確かに、いつも近くにいるとそれだけで、自分が高められていくのかもしれない。

  •  養老先生の話しって、きっとおもしろいんだろうけど、
    難しいなあって思ってました。

     この本では、内田先生との対談でお二人の相乗効果が
    どかんときた、そんな感じがします。

     ものの考え方について、こんな会話ができるような
    大人に、おじさんになりたいなと思わせます。

  • 内田さんのよさがすごく表れてる。そんな細かいことぐちゃぐちゃいわなくったって、なんとかなるよ。問題がおきたら、そのとき考えようよ、的な内田さんの考え方が好き。

  • 養老氏だけでもワカワカンナイことばかり言っているのに、内田氏が加わり、さらにワケワカンナさが増したような、でもそれでいてハッとさせられるような発言がちりばめられている、不思議な本です。

    前半のユダヤ人論に始まり、徐々に時事ネタへ。
    「ユダヤ人とは誰か」なんて、今まで考えてもみませんでした。恥ずかしながら、この本がなければ僕はここまでユダヤ人について考えなかったかもしれません。
    僕らが何気なく「ユダヤ人」と言っている時、果たして「ユダヤ人とは何か」をどこまで知った上で言っているのか。そう考えると、当たり前のように世の中にある「ユダヤ人像」というのはことごとく崩壊していくのではないでしょうか。
    文中にもありますが、「ユダヤ人とは何か」だけではなく、「ユダヤ人とは何ではないのか」という視点で考えていくことも、この問題を考える上で非常に有効なのではないかと思います。

    後半は、いつも養老氏がとりあげるトピック(個性や全共闘など)に内田氏が加わった感じです。基本的には養老氏がいつも通り好き勝手に喋ってますが、内田氏もその都度、的確な意見を挟みこんでいます。

    「内田:「みんな英語ができるから私も英語ができないと」とか「みんなが家を建てるから私も建てないと」って、やればやるほど自分がいなくてもよくなることにどうしてみんな努力するんでしょうね。自分と同じことをしている人の数が増えるだけ、単純計算でその人の固有性が減じてゆくのに。」(p171)

  • 2007年に出版された、内田樹、養老孟司両先生による対談。

    テーマは「日本論」という実に曖昧でざっくりとした話なので、逆に2人が肩肘張らないの世間話のような対談となっています。

    本書では「日本人をとはなにか」を考えるのにユダヤ人の話が出てきます。これはなぜかというと、「ユダヤ人」という概念が非常に哲学的な考察を必要とするからだといいます。かつて日本の出版界に「ユダヤ人ブーム」というのがありました。それほど読書家でもない父がイザヤ・ベンダサン(実は山本七平という日本人とされる)著の「日本人とユダヤ人」を持っていたほどなのでかなり売れたのでしょう。

    ユダヤ人というのは定義がはっきりしないそうなのです。まず人種ではない。ヘブライ語を話す人ということでもない。勿論イスラエル国籍の有無でもない。そしてユダヤ教を信仰する者ということでもないようです。それぞれがゆるく集合に入るけれども、絶対的な定義ができない。

    そこで「あいつはユダヤ人だ」と、主に反ユダヤ主義者から名指しされることによって逆説的に「ユダヤ人」と定義される、という仮説を立てます。もう2000年以上もの間、世界中で反ユダヤ主義が興り、その都度被迫害者としての「ユダヤ人」が生まれてきた…。従って「ユダヤ人」の定義を探すには、自分が「反ユダヤ主義者」だとしたら何をもって誰かをユダヤ人だと規定するのかを考えてみる。

    というように、世の中の様々な事象を「逆さまに見る」。逆に考えたらどうなるか、という考え方をする。そうしたことで自分にとっての世界の見え方が変わってくる。

    それはなかなか面白い体験です。どうやら倫理とか哲学とかを考えるには、そうしたちょっと意地悪でひねくれた脳の使い方が必要なようです。

  • 【感想】
     ファンなら「買い」の一冊です! 季刊誌の連載を書籍化したものですが、新潮選書ではなく新潮新書のほうが自然だと思いました。


    【目次】
    まえがき(養老猛司) [003-006]

    第一章 われわれはおばさんである 013
    われわれは「おばさん」か?/脳はその日暮らし/「世間」しか考えていない/解剖と武道/死体は武器になる/長い足が嫌い

    第二章 新・日本人とユダヤ人 039
    ユダヤ人とはだれか/日本における「ユダヤ的」なもの/「口」はどこまでを指すか/逆から入る/日本人だから書ける/ユダヤ人は「神に選ばれた民」/自分はここにいていいのか/ユダヤ教の天地創造/脳が行う「調整」/ユダヤ人の視覚への禁忌/アウシュビッツの「証人」/新・日本人とユダヤ人/武道とレヴィナス/『唯脳論』の誕生

    第三章 日本の裏側 091
    「よくわかりません」/縄文時代の世田谷区民/国籍はいい加減なもの/インターナショナルは辺境/鎖国志向/小泉純一郎という「変人」/総長賭博型ソリューション/政治的になるということ/周りの情勢で決まる日本/フェアネス/数とアイデンティティ

    第四章 溶けていく世界 127
    個人情報保護村へようこそ/首尾一貫という病/アメリカ・バッシング/疲弊するアメリカの土地/「生きているうちはこれでいい」/トランポリンの上の相撲/振り込め詐欺のある「いい社会」/無駄なもの/敵味方複合体/高層ビルが建つ理由/イギリスの足腰

    第五章 蒟蒻問答主義 159
    怒りっぽい人/丈夫な脳を持て/会議は大嫌い/ドラマティック中間管理職/羅生門/正解はひとつじゃない/「個性」とは「人を見る目」/呼称権の有無/蒟蒻問答

    第六章 間違いだらけの日本語論 179
    顰蹙を買え/漢文を復活せよ/「嫌がらせ」が七割/「正しい日本語」なんてない/言葉を楽器のように/リズムと朗読/感覚としての言葉/説教させて

    第七章 全共闘の言い分 201
    皮肉をもっと言おう/福沢諭吉は全共闘/全共闘はなにを言いたかったのか/ああ言えばこう言う/俺にしかわかんない/空気の通っている本/土俗と普遍

    第八章 随処に主となる 219
    市民的自由/大人になれない国/成熟というモデル/「対偶」の考え方/翻訳は裸でするもの/師匠の存在/親切すぎてもダメ/随処に主となる


    養老斬手――あとがきにかえて(内田樹) [251-255]

  • この対談全て理解できる人は、なかなかいないと思う。特にユダヤ人論は難しい。内田さんに、ユダヤ人論の新書があるので、今度読んでみたい。

    五章六章、八章はおもしろかった。対談って話がスッーと流れてしまいがちな傾向があるが、お二人の場合、養老氏を師匠と崇める内田さんが、噛み砕いて分かりやすくしているケースが多々あり、そういった話題のほうが、私たちには理解しやすいように感じた。逆だと少し難しい。

    ともあれは知的なおじさんになりたい。頑張ろう。

  • 印象に残ったフレーズ…

    ぼくは、本音を言うときに必ず「ケースバイケース」という言葉が出てきます。(養老:p160)

    ぼくは「デスクトップに並べておく」という言い方をしてます。自分の意識の「デスクトップ」に開いたファイルをどれくらいたくさん載せられるか。どれだけデスクトップが散乱しているのに耐えららるか。この無秩序に対する耐性というのはけっこうたいせつじゃないかと思うのです。(内田:p162)

    ぼくは、呼び方は基本的に相手まかせです。(中略)呼称命名権は他人に属する、というのがぼくの持論です。(内田:p174)

  • 読むたびに騙され気になってしまう養老先生と最近、本を読み始めた内田先生の対談は、やはり騙されて終わりました。しかし、この爽やかな読後感はなんなのでしょう?いきなりのおばさんロジックの話は目からウロコでした。

  • 793

全41件中 1 - 10件を表示

養老孟司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
村上 春樹
村上 春樹
内田 樹
有効な右矢印 無効な右矢印

逆立ち日本論 (新潮選書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

逆立ち日本論 (新潮選書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

逆立ち日本論 (新潮選書)の作品紹介

『下流志向』の内田樹と日本の知恵袋、養老孟司が火花を散らす。「ユダヤ人問題」を語るはずが、ついには泊りがけで丁々発止の議論に。それぞれの身体論、アメリカ論、「正しい日本語」、全共闘への執着など、その風狂が炸裂し、日本が浮き彫りになる。なぜこんなに笑えるのか。養老は「"高級"漫才」とこの対談を評した。脳内がでんぐり返る一冊。

ツイートする