- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106035968
感想・レビュー・書評
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ライフネット岩瀬さんの一年目の教科書に書いてあったので購入。自分が知らない歴史的背景などを色々勉強できてよかった。
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本書は、「戦後の日本経済は、千時期に確立された経済制度の上に築かれた」という著者の歴史観(1940年体制論)に沿って描かれた戦後日本経済史である。本書を読んで、その歴史像は概ね妥当であると感じた。元大蔵官僚としての著者の実体験によるエピソードも盛り込まれていて興味深かった。
ただ、著者の私見が結構多く、なかでも、戦後日本の平等社会のコストとして、「戦後日本社会は、凡庸・低劣で俗悪極まりない大衆文化しか生み出せなかった」と主張しているが、これは完全に著者の偏見だと感じた。 -
150509 中央図書館
通産省は、敗戦直後、マッカーサーが乗り込んでくる前に、「軍需省」の看板をさっさと「商工省」に書き換えることで、占領下においても従前の人的体制で生き延びた。大蔵省は巧みな交渉で占領軍の軍票発行を阻止し、通貨発行権を守った。・・という二つのエピソードを冒頭に置き、戦時体制が、少なくとも経済官僚たちにとっては、そのまま戦後に接続して、高度経済成長に至った。(ただしバブル以降の崩壊予兆もそのときに内包することになった)との見立てを示す。
野口自身が、通産省にも試験を受けに行って、佐橋や川原(『官僚たちの夏』の風越と鮎川)の面接を受けていたというのは、おもしろいエピソードだが、全体には、野口の自慢話のようなところもある。 -
岩瀬大輔おすすめ
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バブル崩壊、企業破綻のプロセスは分かりやすかった。
筆者の経歴を考えると分からなくもないが、アメリカ、ヨーロッパに憧れすぎ。
他の国も見て、もっと客観的に日本を考えるべき。
こんな愚論こそ、日本を貶めている。
日本はそこまで悲観的観測しかできないほどではないでしょ。
戦後の日本文化を痛烈批判してるけど、それも間違っている。
何も見えていない。 -
比類なき高度成長を成し遂げ、石油ショックにも対処できた日本が、バブル崩壊以降、ジリ貧なのはなぜか?
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本書は、戦後の日本経済は戦時期に確立された経済制度の上に築かれた、とする歴史観を提示されている。戦時経済の中で、資金を軍需産業に集中させるために間接金融体制がとられた。終戦後、既得権益者の策略とアメリカの日本への無理解と中途半端な経済改革が、このシステムを生き残らさせた。これによって企業は資本の影響や市場の圧力から開放され(ある意味社会主義経済)、高度経済成長を担った。また、この統制力のあるシステムは石油ショックへの対応において優れたパフォーマンスを示し、このシステムの継続が助長された。一方で、1990年代以降の技術体系に本質的な変化(量から質)が生じ、このシステムは機能不全に陥った。依然、日本企業は閉鎖的であり、市場の要請が経営に影響を与えにくい状態が続いている。以上の認識を読者に示し、事の深刻さについて理解を求めているのが本書の意図。安易な解答は書かれず、冒頭に記載した歴史観を軸に事実を連ねられた良書だと思います。歴史を振り返りかえることによって日本人の典型的な思考体系を理解でき、新しい技術体系への適応について考えさせられる興味深い1冊。
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戦前の経済について何一つ知らない事に気付かされる
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予想以上の面白さ。間接主体の金融は、額面発行増資の時代に、利益、株価重視ではなく、トップライン重視になり、間接主体になったとの弁に納得。買ってもいい本。