「十五少年漂流記」への旅 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036040

作品紹介・あらすじ

著者が幼い頃から何度も読み返しているジュール・ヴェルヌのこの冒険小説には謎があった。十五人の子供たちが漂流した無人島チェアマン島のモデルは、本当にマゼラン海峡にあるのか?南米、そしてニュージーランドへ。冒険好き作家が、南太平洋の島々に物語の謎を追ったミステリアスな旅。

感想・レビュー・書評

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  • 15少年漂流記のモデルとなったとされる島を聖地巡礼する話。漂流記だけでもたくさんの本があり、それを全部読んでいる椎名誠さんがすごい。子供の頃持っていた冒険への好奇心を満たすため、行動し旅を続けることで広がる世界に自分自身も魅せられる。作者がどこまで続けられるのか分からないけど、次の本を読んでみたいと思った。

  • ふむ

  • 小説のモデルとなった島が研究者によって確定されていたのが、日本の園田女子学園・田辺教授によって違う候補が提示された。それを確認するため椎名が旅に出る。この本には、この島探しだけでは、彼が体験した過酷な旅を紹介している。彼は『十五少年漂流記』が、世界の少年に愛された理由に「視覚の差異と思考の問題」がある。それを少年に知ってもらうためにどんどん織り交ぜたと書いている。
    これは、少年だけでなく老人にも刺激的だった。

  • ミニコメント
    知らない世界に入り込む楽しさがあふれています。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/480340

  • 昔、わくわくして読んだ『十五少年漂流記』。モデルの島を探す!というシーナさんの物語。やっぱりわくわくした。
    シーナさんのわくわく!触発されて、再び『十五少年漂流記』を借りてきた。一冊で何冊分もわくわくした。ちなみに、今は『十五少年~』というタイトルと同時に、原題『二年間の休暇』で福音館書店、岩波書店等から出版されている。

  • 小説の舞台を訪ねるのはおなじみの企画だが、ヴェルヌの『十五少年漂流記』の舞台は無人島。面白いのかな? と半信半疑で読んでみた。
    持ち前の好奇心と行動力で旅を続ける椎名氏の興味は、自然や人間、歴史・・・あちこちへ広がりすぎて忙しいが、新鮮な驚きに満ちていた! 『十五少年漂流記』もう一度読み返したくなった。

  • 自分にとって2冊目の椎名誠さんの本。ちなみに1冊目は熱風大陸―ダーウィンの海をめざして (講談社文庫)http://www.amazon.co.jp/dp/4061849042/。1冊目はオーストラリアへの新婚旅行直前に読んだのだけど、オーストラリアの灼熱度合いがよく伝わってきたことをよく覚えている。1冊目、2冊目ともに、紀行文としてとても楽しく読めた印象。食の描画が充実すればニオイや味も読書体験に加わってくることを実感。

    P.32 (キャンプ地での水のありがたさに触れた後)
    「多すぎる素晴らしいものは見えない」
    と、いうことに最近ようやく気づくようになった。

    P.50 日本の川は全部日本の国土を流れているのであまり気がつかないが、世界の多くの大河はいろんな国を流れる国際河川である。日本は純日本産の川ばかり持っている贅沢な川国家でありながらそれをあまりにも人の手を加えて弄んだことによって、この先いつ何にどう作用するか分からない遺伝子レベルでの警戒のいるケミカル汚染された、悲しい川ばかりの国にしてしまった。

    P.68 数ある漂流記の中で特に気になるのが生き延びるためにどんな工夫と挑戦をしたか、ということである。漂流者の多くがいきなり直面するのは飲み物と食べ物の問題である。漂流記の傑作古典を三つあげろと言われたら「フラム号漂流記」「エンデュアランス号漂流」「コン・ティキ号探検記」ということになるだろうか。(中略)この古典三作は本職の探検隊や実験漂流の冒険家の記録なのでどこかその行動に余裕がうかがえる。
     厳しいのはごく普通の民間航海者が何らかのアクシデントで漂流し、乏しい知識と道具を駆使して生きていくサバイバルものである。(中略)生きるための工夫とその挑戦ということでの最高傑作は「大西洋漂流76日間」だろう。この漂流者はまず三個の空き缶とタッパーウェアで蒸留器を作り、試行錯誤の末ついに海水から真水を作るのに成功する。キャラハンの乗っているライフライトはまるで食料獲得のための海に漂う小さな研究所...

    P.106 セルカーク(ロビンソンクルーソーのモデル)が暮らしていたファン・フェルナンデス初等の島を日本人が特定し、そこでセルカークの居住していた跡地を見つけている。「ロビンソンクルーソーを探して」(高橋大輔)にその顛末が詳しく書いてある。(中略)この島の住人はロビンソンクルーソーについての知識はあまりなく、その小説のモデルになった三百年前の無人島時代の住人について何の関心も情報もなかった。

    P.120 肉の“エラサ”のランクはその国の何か本質的なものを表しているのではないか、と僕は思っている。

    P.131 (旅の途中、食事が連日「羊のスープ」で発狂しかけの一行に醤油の小瓶がもたらされ、その醤油をお湯で割ったものを飲んだ感想)
     四人でウンコ座りしてそれぞれのシェラカップで一斉に飲んだ。これがうまかった。しみじみつくづくうまかった。我が人生の中でうまかったもののナンバーワンをあげろ、と言われたら躊躇なくこれをあげる。
     そのうまさのランキングはダントツ一位であり、これは未だに破られていない。ただしかし、だからといって、今日本の温々した都会生活の中でいきなりこの「醤油お湯」を出されても「最高!」とは言えないだろう。うまさとはあくまでも相対的なものであり、その場所、その時期に固定される。

    P.200 「十五少年漂流記」を、子供の頃に読むことの幸せは、これから何がおきるのか、どうなっていくのか、という不安と期待が凝縮している、そしてそれらの全てを、十五人の子供たちだけで対応していかなければならない、という“未知”があることだった。
     こういう苦難は、同時に読む側の子供たちにとってはたまらない魅力の世界であるはずだ。とくに現代の子供たちは、何もかも大人たちのしきり、しきたり、常識などの先導によってすべて作られてしまっている世界に乗せられていくしかない状態になっているからひとしお、の筈である。
     そういうときにヴェルヌのこの「自分たちの冒険の物語」に触れたとき、子供たちは格別に刺激的で贅沢な世界に踏み込んだことを知るのだろう。

     はじめに

    一、小さくて多すぎるいやらしいものたち

    二、アレウト族の鼻の横骨

    三、マゼラン海峡へ

    四、ハノーバー島への航海

    五、アザラシの吠える声

    六、絶海の孤島で何を食うか

    七、太平洋ひと回り

    八、世界でここだけしかない時間を持つ怪し島

    九、漂流者をのせてさまよえる島

     本書で紹介された本


    年若き頃、『十五少年漂流記』をワクワクしながら読んだ大人の読者にこそ、楽しんでいただきたい1冊なのです。


    See also:
    OMOI-KOMI - 我流の作法 -: 「十五少年漂流記」への旅 (椎名 誠) 本の概要が丁寧にまとめられています。この旅のきっかけとなったのは園田学園女子大学の田辺眞人教授 「ニュージーランド研究第九巻」で示された新説。

    活字中毒者地獄のりす蔵: 「十五少年漂流記」への旅 http://shunt.hontsuna.net/article/2103036.html

  • 小学校のとき海底二万マイルでジュールベルヌ作品にはまり、当然十五少年漂流記も読んでました。
    なんだか改めて大人の視点から読んでみたくなりました。

    椎名誠さんの言い回し(書き回し?)は面白い。

  • 椎名さんの冒険本は 大好きです

  • 『15少年漂流記』のモデルの島をめぐる旅。従来からモデルと言われている島と、新説の島を旅して、15少年大好きオジのシーナさんが比較検討するというお話。まず『15少年〜』という小説は、様々な出版社、翻訳家で出ているといことに驚いた。大好きな本をそうして読み比べてみるのも面白そうだ。実は私は『15少年』はまだ」読んでいないので…、うーんどれを読もうか…、最も古いものか、最新か。結局、最新(出版年が若い)のを図書館で予約してみた。と、いま、それなら私の好きなジュールの『海底二万海里』はどうなっているかと見てみたら、いやー、タイトルもどんどん変わっているのですね。『海底二万マイル』『海底二万リーグ』いやいや。シーナさんが好きな冒険もの小説(のタイト)がたくさん紹介されているので、読書案内的に読むのもアリかと。そういえば、この本をもって出張へ行ったところ、たまたま席を立つ時に机に置いておいたら、知り合いから「この本に出てくる、新説を唱えている田辺教授って私の恩師なんねん!」と声をかけられ驚いた。人生どんな所でつながるかわからないものですね。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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