テロとユートピア―五・一五事件と橘孝三郎 (新潮選書)

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著者 : 長山靖生
  • 新潮社 (2009年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036330

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テロとユートピア―五・一五事件と橘孝三郎 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • 以前大帝没後という本を読んだ。この中で長山先生の言っていた危機感というものが現代の政治・社会・経済の中で具現化しているのをみて私もものすごい危機感を覚えた。そして、今回先生が5・15事件についての本があると聞いたのでこの本を読んでみた。この本の主役は橘孝三郎という農民の苦境を脱する事を目指した農本主義の人物である。この橘が青年将校や井上日召といった人物と出会うことでテロに走っていく過程とまた彼ら自身の思想そのものについてを詳しく分析したのが本書である。あくまで彼らを断罪せず冷静に分析した姿勢は素晴らしい。当時の経済状況の悪さと政党内閣の不信、そしてテロリズム。これらの状況が余りにも現代社会と似ているので愕然とした。また、本書は2009年に書かれた本なのでそれ以降の近似した状況については書かれていないが、維新の躍進や阿部定事件の再来そして東北の地震による東北地方の経済の衰退といった近似が現れている。また、戦争についてもアメリカとイランの状況が危ぶまれているのでないとは限らない。これからの時代を見るには戦前の歴史をみることを個人的に勧めたい。そして、時流に乗ったり浅はかな行動はせずあの時どうすればよかったのかどうかを自分自身に問いかけていく姿勢が大事なのではないか。私はこの本を読んでみてそう思った。

  • [ 内容 ]
    楽園への理想は、なぜ「一人一殺」の思想へ暗転したのか?
    大恐慌と格差の果てに起きた衝撃の「首相暗殺」。
    貧困にあえぐ昭和初期、農本主義を信奉する橘孝三郎は、田園ユートピア実現のために「愛郷塾」を結成する。
    だが、軍部の青年将校や「血盟団」盟主の井上日召との邂逅から、徐々にテロ思想に転換していく。
    そして、ついに叛乱の時はやってきた。
    バブル崩壊以後の平成期にあまりにも合致する、動乱の現代史。

    [ 目次 ]
    序章 なぜ戦争への道を「選んだ」のか
    第1章 都市への憧れ、都市との訣別
    第2章 田園ユートピアと白樺派ロマネスク
    第3章 大陸浪人とアーバンリゾート
    第4章 「生の躍動」のための闘い
    第5章 「倍化運動」から「一人一殺」へ
    第6章 都市を暗黒たらしめよ
    第7章 事件後の救農闘争
    第8章 戦時体制へ

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テロとユートピア―五・一五事件と橘孝三郎 (新潮選書)の作品紹介

楽園への理想は、なぜ「一人一殺」の思想へ暗転したのか?大恐慌と格差の果てに起きた衝撃の「首相暗殺」。貧困にあえぐ昭和初期、農本主義を信奉する橘孝三郎は、田園ユートピア実現のために「愛郷塾」を結成する。だが、軍部の青年将校や「血盟団」盟主の井上日召との邂逅から、徐々にテロ思想に転換していく。そして、ついに叛乱の時はやってきた。バブル崩壊以後の平成期にあまりにも合致する、動乱の現代史。

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