新潮選書 創られた「東京裁判」

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著者 : 竹内修司
  • 新潮社 (2009年8月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036453

新潮選書 創られた「東京裁判」の感想・レビュー・書評

  • 東京裁判の被告人選定の経緯、それに絡む特に米国の政治的な影響、事後法で敗戦国を裁くことを正当化するための苦労と無理なレトリックなどが資料をもとに示されている。
    やはりナチスドイツを裁くニュルンベルク裁判と整合させることで正当化しようと策略がめぐらされた経緯はなるほどと思った。
    原爆で無辜の民を大量に虐殺した勝者が人道に対する罪という名目で敗戦国を裁く。裁判自体の正当性は限りなくゼロに近いと思わざるを得ない。
    時系列で詳細な資料を掲げた本書は東京裁判という出来レースの総括には大変有用だろう。

    あとがきに書かれた様に筆者は、東京裁判を「事後法」による裁判であることは否めないとしながらも、「東京裁判」全面否定には必ずしも同調しないとして、裁判により日本人は自分たちが中国はじめアジアの人々に与えた苦難と被害の詳細を知ったとする。
    この立場には賛成したい。
    極端なナショナリズムや非現実的な自虐史観に偏らない公平を志した目で資料を検証してくべきですね。

  • 東京裁判が勝者の裁き、事後法による裁きという側面を宿命的に負っているという点において、必然的に矛盾を孕む存在であるという不可避な事実に基づき、様々な資料や文献を引用し、実証的に東京裁判とはどのようなものであったかが記されている。

    特に、戦争犯罪人としてだれを裁くべきかの決定過程などについて、連合国側の資料にあたっている点は興味深い。
    ただ、資料の引用が多すぎ、文章のまとまりを欠いている感が否めず、読み物としてはやや分かりにくい印象を与える。

    また、前述の東京裁判の性質から、やはり東京裁判は構造的に無理があり、ゆえに「創られた東京裁判」と著者はいうのだろうが、ただその一方で、著者は安易に東京裁判の存在を否定するものではない点は特筆したい。
    とかく、このような論を展開する人は、東京裁判史観とか自虐史観などといって、感情的に東京裁判を否定する傾向にあるが、著者は明らかにそのような人たちとは一線を画している。
    それは、以下の点で東京裁判の効用を認めている点で明らかである。
    「膨大な資料・文書の滅却という障害を乗り越えて「東京裁判」が時間と費用を惜しまず集めた証拠のお陰で、日本人は自分たちが中国はじめアジアの人々に与えた苦難と被害の詳細を知った。この裁判がなかったら、また、もし裁判が日本人の手で行われていたなら、多くはおそらくうやむやにされていた事実だったに違いない。証言や証拠の中には誇張もあったろう、歪曲も含まれていたろう。しかし、それでも日本人は自分たちが残した深い爪あとに、ここで直面する機会を得たのだった。」

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新潮選書 創られた「東京裁判」の作品紹介

20世紀前半、国家指導者に求められた資質とは、領土を拡大する政治・軍事的手腕の高さであった。そして、だからこそ「国際法」は強国が世界を意のままにするための方便でもある。では、敗戦国・日本を「犯罪国家」として裁くために、連合国はどのような国際法を新たに編み出したのか。そのプロセスの全貌に初めて迫る驚愕の書。

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