思考の飛躍―アインシュタインの頭脳 (新潮選書)

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著者 : 吉田伸夫
  • 新潮社 (2010年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036606

思考の飛躍―アインシュタインの頭脳 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

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  • アインシュタインをメインに同時代の物理学者を織り交ぜながら、その物理的思考を丁寧に描いてみせている。教科書で、良く言えば見通しよく、悪く言えば表面的に学んだことも、その奥底には物理的思考が脈打っていることが腑に落ちる素晴らしい著作だ。

    絶版なのは惜しい。

    ただ、相対論や黒体輻射など一通り学んだ者にしか理解できない面があることは事実で、その前提を明示しておけば、出版が続いたのではないかと思う。

    天才にも試行錯誤があったことも興味深い。

    ・基礎的な物理法則は「相対性原理」にかなっている(P43)
    ・特殊相対論は具体的な物理学の理論ではなく、あらゆる理論がローレンツ変換の下で不変(正確に言えば共変)になることを要請するメタ理論(P51)
    ・物質は宇宙が冷えて状態変化を起こした後に生じたという見方が有力だ。とすればアインシュタインのイメージとは逆に、物質は時空に従属していると考えた方がよさそうだ。(P103)
    ・不確定性原理は、粒子そのものの位置や運動量が確定していないのか、それとも人間の測定では位置・運動量の両方を確実に知ることができないだけなのか、当時ははっきりしていなかった。現在は前者(P161)
    ・ブラウン運動でも位置と運動量の不確定性関係があるが、原理ではない(P162)
    ・位置・運動量の不確定性関係が量子力学の原理から直接導出できるのに対して、エネルギー・時間の不確定性関係は、原子核の崩壊や素粒子の反応と言った個々のケースに関して導かれるだけ(P188)。不確定性関係は特殊相対論の要請を満たしていない。これを満たす試みは、ハイゼンベルグとパウリの1929年の論文で量子場の理論としての形式がほぼ完成した。
    ・ベルの不等式の議論から分かることは、この世界は局所的かつ因果的でない法則に支配されている。(P198)

  • 今まで読んだ量子力学系の本では、アインシュタインは自ら扉を開いておきながら新しい考え方についていけずに晩節を汚した、といった書き方をされていたが、必ずしもそうではないのだということがわかる。ボーアとの論争の「真実」は興味深い。
    「アインシュタインが目指したのは、ただ一つの基礎方程式があり、それを解くと粒子・波動の二重性が自然に解かれるような理論を構築することである」というのは納得。ボーアの量子論は現象論に過ぎず、そこで立ち止まってはいけないのだ、ということなのだろう。
    アインシュタインの発想力の源泉が熱力学と統計力学であること、相対性理論以外にもけっこういろいろな業績があることもこの本でほぼ初めて知った。

  • アインシュタインが晩年に友人に宛てた手紙にある図。経験E→思考のジャンプ→仮説A→命題S→経験E。これが彼の思考だそうだ。特殊相対論の場合にはローレンツとポアンカレという先駆者がいたが、アインシュタインと先駆者とはエーテルの存在を仮定するかどうかで決定的に違っていた。そして一般相対論の場合には思考のジャンプが過ぎて経験に至る命題が容易には見つからず(皆既日蝕の時の水星の変位などを除き)、統一場のときには数式の海にアインシュタインも呑まれてしまった。まだまだ後生のヒトのすべき仕事は残っている。

  • 相対性理論の生い立ちを、アインシュタインの思考の飛躍と絡めながら解説。どの部分で発想の転換があったかが解説されており、単なる物理の解説書とは違って興味深く読めた。簡単な数式は出てくるものの読み進めるのにさほど苦労はしない。事例を示しながら物理法則を解説しているが、文字をどれだけきちんと映像化できるかで、理解度が全然異なってくる。物理=イマジネーションの学問との再認識を受けた。

  • 三葛館一般 421||YO

    ノーベル物理学賞の受賞者アインシュタイン。
    彼が構築した革命的な理論の数々。
    なかなか敷居の高い物理学の世界。
    一度本書を手にとって、アインシュタインの頭の中をちょっとのぞいてみてはいかがですか?

    和医大図書館ではココ → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=57602

  • 和図書 421/Y86
    資料ID 20101020624

  • 地球は秒速30kという猛スピードで太陽の周りを回っているにも関わらず、光の伝わり方はまるで地球が止まっているかのように、どの方角でも差がなかった。
    物理学の命題としての相対性原理は互いに運動する座標系の間の座標変換に対して、基礎方程式が不変になると表現される。
    重力とはそもそも時間の進み方が変わる効果ではないのか?
    粒子にアイデンティティがないとする条件を新たな統計力学の原理を認めず、その背後に潜んでいる波動性の追求が必要。
    原理的な理論においては空間的な量と時間的な量の間に常に四次元的な結びつきがなければならない。

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思考の飛躍―アインシュタインの頭脳 (新潮選書)の作品紹介

光量子論、ブラウン運動、特殊相対論、一般相対論…。20世紀の初頭にアインシュタインはなぜ、かくも革命的な理論を次々と構築できたのか。そして後年、量子力学を執拗に批判し、統一場の理論を夢見つづけたのはなぜか。光と重力と四次元の世界を解き明かし、物理学の世界を一変させた天才の頭脳。その発想法と思考術の秘密に迫る。

思考の飛躍―アインシュタインの頭脳 (新潮選書)はこんな本です

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