- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106036620
感想・レビュー・書評
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語りかけるような形式で、科学とはなにか、社会とどう関わってきたか、そしてこれからの社会との関わり方はどのようにあるべきかといったことをわかりやすく説いている。いまの科学あり方を考えるときにはやっぱり成立から現在に至るまでの歴史を追うのは大事なんだなぁと再認識した。技術との違いとかね。たいへん読みやすいので科学論、科学技術社会論的な領域への入り口としてはよいと思う。もうちょいヘビーなのを読んでいい段階かなと思えた。
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冒頭で1999年「世界科学会議」で宣言された「科学と科学的知識の使用」について、以下の主旨が紹介されている。
1知識の進歩のための科学
2平和実現のための科学
3持続的発展のための科学
4社会のための、そして社会の中の科学
本書の後半では、特に4つ目の科学が中心の話題となっている。梅棹・湯川の『人間にとって科学とはなにか』では、1つ目の科学を中心に対する考察といえる。4この二人が対談してから約30年間を経て、これら4つの類型が整理されたことになる。
社会の中の科学を取り巻く課題は、多くそれとても深い。万人のコンセンサスを得ることは極めて難しいと予想される。それでもES細胞、脳死臓器移植問題、生殖医療といった分野の周辺の生命倫理上の課題と向き合わなければならない。わたしたちが。
個人的には、社会と科学の一つの接点として、「市民参加型技術評価」の可能性を注視していきたい。現状の政策等へのパブリックコメントの手法が成熟することを期待している。そのためには、筆者のいう「科学技術リテラシー」を身につけた人材育成が必要で、16年間の学校教育で「教養教育」を実施することが肝要となる。衆禺にならないような科学教育だ。
オマケ
先日見た映画『はやぶさ 遥かなる帰還』を見ても感じたが、日本特有の科学技術の発達のかたちとしては、まず「技術」とそれを支える「工学」が大切にされていたことが特徴とされているそうだ。他の近代国家の理学先行型とはだいぶ趣がことなることがよくわかった。