貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム (新潮選書)

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著者 : 岩村充
  • 新潮社 (2010年9月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036668

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貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • 貨幣は、価値の乗り物。

    貨幣の進化
    パンの実、美しい貝殻、貴金属、兌換紙幣、不換紙幣。
    自然利子率=お金の利子ではなく、モノの利子=モノを貸し借りした時に一年後にどのくらい増えたら文句がないか。

    シニョレッジ=鑑定料=貨幣発行権=シニョールとは領主のこと。

    旧約聖書では利子を禁じている。利子は神の時間が産んだモノ。ただし異教徒への貸付はとっても構わない。=ユダヤ教徒に金貸しが多いのは、異教徒が多いから。ただしリスク・プレミアムの部分はよい=インテレッセ=インタレストの語源。

    初穂料は、種籾のお礼としての利子と同じ。

    江戸時代はゼロ成長だったため、時々徳政令でリセットしないと、偏った社会が収まらない。

    ゲゼルのスタンプ付き貨幣=現金にマイナス金利をつけることができる。

    自然利子率は資本の限界効率で決まる。

    レンテンマルクの奇跡=5日間でインフレが収まり、その後はワイマールの黄金の日々、とよばれる繁栄があった。

    フランスではポワンカレの奇跡=為替相場を操作しておいてフラン安のときに新平価で金兌換に復帰した。ポワンカレ予測のポワンカレは従兄弟同士。

    日本とイギリスは、対戦前の平価で金兌換に復帰。しかし高金利にせざるをえなかった。

    アメリカはロアリングトゥエンティーズ=雄叫びの20年代=1920年だいのアメリカは世界の経済大国になった。
    高速道路、映画、ラジオ、電話、水道、T型フォードなど。
    暗黒の木曜日で、イギリスと日本に通貨売り圧力。
    金兌換離脱。最後にフランスも離脱してブロック経済化。ブロックの拡大競争が第2次大戦に。

    プレトンウッズ体制では、金と交換できるのは通貨当局だけ。

    トリフィンジレンマ=基軸通貨であるためには信任が必要。しかし国際決済に使うためには十分な通貨が供給されなければならず、国際収支は赤字になるはず。プレトンウッズ体制は矛盾がある。

    BISは第一次世界大戦後のドイツの賠償金の受払機関として発足、BIS規制とは、実質的にBISが会議室を用意した会議、といった程度のもの。

    パンコールとSDRの違い=パンコールは決済のために貸与されたもの。SDRは与えられたもの。

    ドイツのハイパーインフレは、インフレというより貨幣崩壊のようなもの。
    日本の戦後インフレは、凍結されていた預貯金が一斉に不足する生活物質に向かったため。通貨の信任が失われたわけではないから、貨幣崩壊ではない。
    ドッジ・ライン=IMFの政策と似ている。
    朝鮮戦争の特需。
    スターリン暴落。
    高度成長。
    民生財生産設備は破壊されたが、資本財生産設備は優先的に疎開していたため、温存されていた。

    1ドル360円は最初はきつかったが、だんだん楽になってきた。最初は国際収支の天井に成長を抑えられた。

    現代の貨幣は、政府への信頼が貨幣価値をつなぎとめている。

    穴をほって埋める公共事業でも景気対策になるか。=ヘリコプターマネーが有効か、と本質は同じ。お金をばらまいたあと、それを人々がどう判断するか。貨幣錯覚がどう働くか。

    貨幣のネットワーク効果。一般受容性。=統合のベクトル
    離散のベクトル=マイレージ、ポイントカードなど。

    ハイエクの貨幣発行自由化論。貨幣発行にも信用創造の競争をさせる。

  • 自分の歴史観の狭さを知ることができる一冊。今後のあり方について考えさせられる良書。

  • わかりやすく書いていると思うが,難しかった。もっと金融のことを理解して再読しようかと思う。

    流動性の罠の状態にあるとして金融政策に限界があるとしたら,保有期間を付けた紙幣の流通しか対策はないのだろうか。自分には未知の世界すぎてわからなかった。かといって財政政策に頼るわけにもいかないし。。。

    とりあえず理解できていないので,再読したい。

  • 日銀出身者の本は変に感情的なところがなく落ち着いて読めるのがいいところだと思う。金融政策に過剰な期待を寄せる向きには「日本だけがデフレで国益を目減りさせている、早くデフレを止めろ!」と息巻く者が多いが、本書は冷静にデフレが遅かれ早かれ日本だけの問題ではなくなることを指摘している。日本は特殊なのではなくフロンティアを走っているに過ぎないということだろう。また「自然デフレ率」を前提に最適システムを模索することを示唆する辺りは、アベノミクスを経た今読んでも全く色褪せたところを感じさせない。逆に言えば、本書でも繰り返し言及があるように、金融政策には貨幣と物価に関する問題の発生の時間軸を前後ろにずらす効果しかない訳だから、アベノミクス前だろうが後だろうが、いずれは我々は「自然利子率の長期的低下=成長鈍化」という避け難い事実に直面せざるを得ないのだ。

    内容は貨幣と各国中央銀行のクロニクルの中で貨幣経済に関する基本的論点に触れていくというスタイル。「そもそも貨幣って?」という根源の疑問にも丁寧に立ち入っていて理解が進む。特にパンの木の島での物々交換経済から国際的な貨幣経済に移行する仮想物語が解りやすい。貨幣価値と株価のアナロジーの指摘も目からウロコ。貨幣経済や金融政策に関する書籍は結構読んだつもりだったが、まずこの本に手を付けていればより理解がスムーズだったのに、と思わせられた。

  • 分かりやすく書いてありそうでいて、結構難しかった。ただ、通貨の価値の本質が、「現代の貨幣のアンカーは政府の政府の財政的な能力そのもの」であり、「貨幣価値は国の経済力で決まる」ということは何となく分かった。また、「日本政府とは、世界的にみると異様なほどに恵まれた顧客基盤の上に胡座をかいている独占企業」だと言うことも。

  •  歴史的に順を追って、貨幣制度の基本的な仕組みを解説してくれるので分かりやすかった。

     言ってしまえばただの紙切れ、金属片であるところの貨幣が「価値の乗り物」として機能しているのは何故なのか。金本位制時代を経て、目に見える実物財(金)との紐付きがされなくなった貨幣の価値を支えるものは何なのか。それは「政府の財政力に対する人びとの信頼」なのだということを改めて押えた上で、貨幣の今後を考える。

     マイナス金利と聞くとなんだか異常な感じがするけど、経済成長の停滞に合致した金融政策として、今後さらに増えるのかもしれない。

  • 2008年にこの著者が出した本は購入済み この本もそれに劣らずいい本です。今 私はお金ないので保留

  • 買ったものの何かためらうものがあってしばらく積読していたが,手に取るとあっという間に読了.通貨システムの歴史・概要を掴むには良書だと思われる.ただし,あくまでも入門書であり,本書だけで分かった気になるのは危険だとも思う.

  • 貨幣の本質とその歴史、そして現在の変動相場制における貨幣価値の考え方と、現在起きている問題点を整理していく本。今我々が使用している紙幣への信頼、政府への信頼と物価の関係、中央銀行の役割などが、著者の考え方・主張は織り交ぜられているものの、とてもシンプルかつ整合的に説明されていたと思う。ただ、2007年の信用危機以降の円相場の動き、特にアベノミクス以降の動きは、本書で説明されているロジックでは苦しい部分もあり、最近の著者の主張も追って確認しようと思った。(本書は2010/9刊)

  • ビットコインの騒動、欧州経済危機、アベノミクス、電子マネーの普及など通貨について考える機会が多い昨今、この本はその基本と本質をとても分かりやすく解説していてとても勉強になる。物語から通貨の誕生、市場の誕生を解説。そこから金融と財政の歴史について。最後に現在と未来についてと時系列で順を追って理解できる。経済について学ぶほど、生態系のような複雑な事象が潜んでいることを考えされられる。ミツバチダンスと生態系の多様性に結び付く結論に納得。

  • マイナス金利かハイパーインフレか

  •  本書は、「貨幣と通貨システム」についての本であるが、とても読みやすくわかりやすい。
     「貨幣」について「パンの木の物語」という架空の世界で表現した内容には驚いたが、なるほどこのように読むとその「原理」がわかる。
     「金本位制の旅」を読むと、現在当たり前のこととなっている「利子」などへの見方が時代とともに変化してきたこともわかるし、「金本位制」と1930年の大不況時代の経済政策なども理解しやすい。
     しかし、歴史では「ブロック経済」についてはその後に戦争を招いた悪しき政策のように教えていたと思うが、本書で読むその評価は「自由貿易の世界では財政による景気刺激を行っても効果の一部は他国に流出して・・・ブロック経済はそれを回避させる効果はあったのです。実際、ブロック経済と財政出動のセットを選択した国々は、ほぼその順番に景気を回復させることに成功しています」とあるのには驚いた。
     日本の戦後の高度成長についても、「空襲などに対して優先的に疎開保護されていた資本財生産設備はあまり被害を受けていない」と、興味深い指摘をしている。
     また、本書は2010年9月の発行だが、驚く程現在の「黒田日銀」下でのアベノミクスの現状を予見しているように思える。
     「おわりに-変化は突然やってくる」には、「いつしか私たちは日本の最大の問題はデフレだ、デフレの問題さえ解決すれば良い日が戻ってくる、そう思い込むようになってきています。今のデフレから抜け出しさえすれば次は穏やかなインフレになる・・・しかし別のもっと悪いシナリオに落ちてしまうことはないのでしょうか。・・・穏やかなインフレではなく、急激なインフレかもしれません」とは、恐ろしい予言ではないだろうか。
     「貨幣」や「金本位制」、「金融政策」やその歴史などは極めて専門性が強く、関心はあってもなかなか理解しにくいが、本書は、その専門的な内容をわかりやすく紹介していると高く評価したい。

  • ヘリコプタードロップ。ユースバルジ。フィリップス曲線の異変。シニョレッジ。銀行券は経済成長が定着して自然利子率がプラスの領域で安定するようになったとき、利子を稼げる国債に投資をして、それを利子ゼロの銀行券という形で人々に提供する、そうすることでシニョレッジを稼ぐ仕掛けとして歴史の中に登場した。

  • 日銀出身のビジネススクール(商学)教授の著者が
    貨幣の歴史をわかりやすく述べていく。

    私自身は正直、貨幣と通貨の意味の違いもあやふやな
    レベルなのだが、本書を読み進める上ではあんまり抵抗はなかった
    (いろいろと考え込むことはあったが、それは需要供給曲線の
     基本あたりもあやふやだからである・笑)。
    理解しやすかったのは、とりわけ第1章の、
    とある島を舞台にした、貨幣の進化の筋道をシミュレートした
    物語であろうか。
    なぜ貨幣が誕生し、どういう使い方をされ、どういう立場の
    人や機構がそれを成り立たせていくか、ということがわかりやすい。

    たとえば私たちはテレビがある世界に生まれ、それを観ることに
    なんの違和感も持たなくなってしまっているわけだが(仕組みを知らなくても
    テレビは見られる)
    同じことが貨幣についても成り立つ。
    なぜ、それが価値を持って、物と交換したり、保存して後で使えたり、
    あるいは尺度として成立したりするかを、知らなくても使えてしまう。
    だが、だからこそ、それに振り回されてしまうのではないかとも
    思ったりする。
    そもそも、人類が文明を作ってきた歴史の中でどういうところから発生し、
    なぜ機能しているかをある程度単純化したモデルとして理解することには
    それこそ自分の生き方を再定義するくらいの面白みがあると
    私は思えた。

    とりわけp.27で取り上げられている話は面白い。
    考古学者デニス・シュマント=ベッセラの説として、
    「文字はトークンから発達した。そのトークンとは、利己心の産物である
     取引の記録のために存在した。」
    というものがある、という話。
    著者が書いているが、芸術性、神聖性をもって扱う人間も多い
    この文字という産物が、実は利己心が成り立たせる取引経済の賜物という
    ことは、きっと文学愛好者たちは受け入れないだろう(笑)。
    でも、私はこれが真実のように思う。

    脳科学が明らかにするとおり、
    文字の読み書きなどというのは、「脳機能の間に合わせ」で対応している
    極めて後付の行為なのである。
    発声や言語は、それこそ現行人類の生まれた時点や、その前の人類たちの
    時代からずっとあったものだけれど、それを文字に結びつけた歴史は、
    1万年にも満たないとされる。
    とすると、これが、経済的な取引記録から生じたとすれば、時系列的な
    整合性はきわめてしっくりくるではないか!

    本書では、それ以降の章では、貨幣の歴史を大きな転換点を中心に
    取り上げていく。
    決して多すぎる分量ではないのに、ポイントを逃さずに伝えてくれている
    感じがして、大変わかりやすい。
    p.78で取り上げているアンガス・マディソンの世界経済史観の話は
    度肝を抜かれた。
    それはすなわち、紀元1世紀ごろから1800年くらいまで、1人あたり
    所得で見ると世界経済はまるで「成長していない」という分析である。
    私たちは今日、経済を「成長するもの/すべきもの」となんの疑問もなく
    捉えているが、そんなもんはたった200年程度の歴史しかないということになる。

    面白いのは、産業革命をどう捉えるかということである。
    一般的には、産業革命が急激な経済成長をもたらしたとされるが、
    著者が指摘するように、産業革命に関係ありそうな技術革新は、18世紀前半から
    たくさん登場しているのである。
    (あともっといえば、それまでの時代だって色々と技術の進歩はあったはずだ)
    だが、それと経済成長のタイミングは合っていない。

    ウィリアム・バーンスタインの説得力ある説として
    「私有財産権、科学的合理主義、資本市場、通信輸送手段の発達」の4条件が
    あるが、これが揃えば経済は成長するのかというと、
    ... 続きを読む

  • 貨幣製造の手間賃である「シニョレッジ」がキーワードです。
    パンの木の島のお伽話から始まり、貨幣成立の歴史を追っていきます。最初の寓話は面白く読めますし、後半の内容も濃いです。
    今まさに逼迫する人口減やデフレや近い将来問題となってくるだろう科学技術の停滞に対する解決法を金融の立場から提言しています。

  • 「お金」というものが、どのような仕組みで成り立っているのかを、シンプルなたとえ話や現実の歴史など多角的な視点から解説してくれる本です。
    金融政策がニュースになることが非常に多い昨今ですが、財政政策に比べてなかなか理解が難しいところがありました。が、この本を読んで、ある程度理解を深めることができました。
    でも、やさしく書いてくれていても、やはり難しいものは難しいですが。

  • 「利子」という仕組みが中央銀行を生み出し、経済成長を強要し、富の一極集中をさせ、ひいては環境破壊を招いた、、、多少過激でやや偏向した別の本で読んだ内容です。本書を読んで思い出しました。

    読了した感想としては、岩村氏の柔和で明快な論調とともに、造詣の深さに驚かされます。物語調の貨幣の進化と歴史から始まり、金本位時代の貨幣の役割と変遷、そして成長を前提とした現行システムの限界を指摘しています。その過程を経済学に留まらない科学・生物学・宗教・歴史など多様で幅広い知識で解説されています。

    特に印象に残った内容は3点で、1つは歴史的にみて19世紀までの経済はほぼ横ばいであり近代が特殊であること。2つ目は金本位制を軸として近代史(ブレトンウッズ体制やニクソンショック当時の状況)が丁寧に描かれていること。最後に通常の貨幣論では扱われないケインズのバンコール、ハイエクの自由通貨、ゲゼルの減価貨幣も取り上げられていたこと。

    現代はおカネ至上主義ですが、IT技術によって貨幣は本来の道具に戻り、人間らしさへの回帰が始まるかもしれませんね。

  • 小学校から15年以上の学生時代、つくづくちゃんと勉強しとけばよかったなぁと思います。(ほんとMottainaiことをしましたぁ…)
    かろうじて本だけは読んでいたものの、日本史は書籍の内容をつなぎ合わせて何とか頭で整理できても、世界史はベースなしではそうは行きません。ましてや、貨幣経済の歴史はスッカラカンって感じでした。

    という訳でこの本はお金の歴史をわかりやすく説明してくださる僕にとっては有り難い本でした。

    但し、日銀マンで学者先生である著者は、解説と評論のみで残念ながら現行制度の課題解決についての明確な提示はありません。
    REGIOのマルグリッド・ケネディの運動には懐疑的な著者ですが、最終的にはマイナス金利の通貨を電子マネーで実現するというマルグリットさんとほぼ同様の提起で結んでいます。


    「雇用・利子および貨幣の一般理論」において、ケインズはマルクスと並べて『将来の人々はマルクスの精神よりもゲゼルの精神からより多くのものを学ぶであろうと私は信ずる』とまで言っています。まるでケインズ経済の限界を予期し、ゲゼルの理論の問題点が技術革新によって補われ実現する日を待っているかのようにすら思うのです。


    多くの方が今の世界的な構造の課題を解決しようと模索しています。これまでは画期的なアイデア、一人の強烈なカリスマの出現が社会を革新させることを期待されてきました。しかし、今の時代は一人ひとりの意識・認識・選択が集まってソーシャルシフトすることを感じさせてくれる一冊です。


    それでは備忘録(というより用語集みたいになってしましましたが…)としての読書Memoです。


    ■利己的な遺伝子
    イギリスの動物行動学者 リチャード・ドーキンスい代表される、自然選択や生物進化を遺伝子中心の視点で理解する考え方です 。
    「我々は遺伝子という名の利己的な存在を生き残らせるべく盲目的にプログラムされたロボットなのだ 遺伝子は、マスター・プログラマーであり、自分が生き延びるためにプログラムを組む。個体というものは、その全遺伝子を、後の世代により多く伝えようとする。自然淘汰における中心的な役割を演じているのは、遺伝子と生物個体である。」

    ■宗教による利子
    旧約聖書 異教徒から利子はOK 「利子とは神の与えてくれた時間を盗むものだ。だから罪」

    ■アンガス・マディソン プロジェクト 世界の経済成長

    ■日本「初穂」「上分銭」

    ■ジョン・メイナード・ケインズ 「一般理論」
     不当に無視された預言者とシルビオ・ゲゼルを紹介

    ■ペッグ 「カレンシーボード」

    ■価格革命
    1550~1620年までにイタリアの物価は2.5倍まで上昇した。70年間で2.5倍の物価上昇率は、年率換算すれば約1.5倍程度。現代からすると「穏やかなインフレ」だが、金銀価値の不変を信じていた当時の人々にとっては大事件だった。

    ■山田羽書
    伊勢詣のパッケージツアー業者連合が発行するトラベラーチェックのようなもの

    ■泡沫(バブル)
    自分が使って実感できる価値ではなく、他の人が買てくれるだろうという期待だけに基礎を置く価値
    連鎖的な期待に基づく価値のこと

    ■「レンテンマルクの奇跡」
    1924年貨幣価値ゼロに向かって突進していたマルクのハイパーインフレを一瞬で止めたドイツの出来事。
    新マルクへの切り替え後、「ワイマールの黄金の日々」と呼ばれる経済的な繁栄となる。

    ■ソブリン
    主権者 表面に英国国王の肖像

    ■ニクソンショック
    金が完全に通貨の世界と手を切ったのは1971年のこと。

    ■ブレトンウッズ体制
    ドルが金に対して平価を設定(1934年金準備法のドル平価を使用
    ドルに対する各国... 続きを読む

  • 表題のとおり、どのような条件下で「貨幣」が生まれ(裏表として「金利」が生まれ)、経済条件の変化に応じて「進化」してきたかの歴史観を俯瞰するのに極めて優れた本です。

    第一章が架空の島における貨幣の成立と終了、第二章が現実世界における金本位制の成立と終了まで、第三章がブレトン・ウッズ体制の成立から現在の変動相場制まで、第四章が統合(ユーロ)・離散(地域通貨・電子マネー)など貨幣の将来についてでした。ある程度概念整理が出来ている方は二章から読んでもいいと思います。

    三章に於いて、中央銀行が直接政府の借金を引き受けても、政府が「放漫なこと」「お馬鹿なこと」をしなければ貨幣価値は下がらない、現在に於いて中央銀行が国債引き受けを禁じられているのは政府の「お馬鹿なこと」の資金引受ができないようにする知恵、という説明は分かりやすく納得しました。また、その少し前の「日本政府とは世界的にみると異様なほどに恵まれた顧客基盤のうえに胡坐をかいている独占企業のようなものなのです。そして、当たり前のことですが、そうした国の株価ならぬ貨幣価値は、短期的な要因ではなかなか下落しません。」といった国民性や文化や歴史を含めたファンダメンタルズからの説明も納得が高いものでした。

    ただ、副題の成長なき時代の通貨システムの広がりについて、平易に文章のみで説明しようとして分かりにくなっている部分が四章に見られて、新書ではなくこの本を手にする読者層を考えると、もう少し数式を組み入れた方がより分かりやすかったと考えますので、その分だけ星をひとつ減らさせていただきます。

  • 貨幣の成り立ちから歴史を辿り、現代まで俯瞰しながら貨幣と世界経済の今後について考えるという内容の本。
    数式はナシ、講義のような語り口で経済学の門外漢を意識した作りになっていて読みやすい。内容が内容だけに難しくはあるけど、知的刺激になった。著者の他の本も気になるところ。

  • 金が貨幣そのものだった時代から、金本位制への移行。第二次大戦後のブレトンウッズ体制とそれを放棄すると宣言したニクソンショック。貨幣が誕生してから今までの歴史がまとめられた本。

    タイトルの「進化」の部分。著者はユーロのように通貨を統一するのではなく、貨幣が競い合う世界設計する必要があると言う。『良貨は悪貨を駆逐する』

  • 貨幣進化論というタイトルが付いているものの、それに触れているのは最終章のみ。しかし、金本位制やブレトンウッズ体制などの基礎的な議論を丁寧にフォローした上で、経済学的な知識を差し込む展開は見事。最終章では、デフレが所与となった場合の「緩やかなデフレ」の後に起こる「激しいインフレ」への備えやマイナス金利の導入などに言及。非常に面白いパースペクティブを得られる。

  • かなり面白い一冊でした。オススメ。

  • 身近なようで、実はよくわからない「お金(貨幣)」とはいったいなんなのか…。物々交換から、金本位制、ブレトン=ウッズ、ニクソンショック、変動相場制。貨幣の歴史を丁寧に描かれていて、大変興味深い。が、やはり難しい。経済学部を出ているわけではないので、僕には難しすぎる。SDRの仕組み、マイナス金利、シニョレッジ…。あまりにもハードルが高い。たまにはこんな本もいいでしょう。

  • 最初の章にストーリーを持ってきて、その後にそれを前提条件として議論のたたき台にするという手法がこんなにうまく回る本というのは初めてよみました。意欲的な内容だな、と思うのと同時に金融・貨幣論が生活そのものに直結しない人にも入りやすいように歴史的なストーリー(実例)を参照しながら進めていくというのも良かったと思います。たぶん高校生とかでもちゃんと読み込む力があれば非常に面白く読める本だと思います。
    第3章の日本の事例(WW2から戦後にかけて)のあたりなどは、現在の問題の根幹であるだけでなく、直近の東日本大震災における経済・金融を生業としている人間の立ち位置や役割、金融政策や復興計画を考える上でも気になる箇所でした。

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格差と貧困、通貨危機、バブル、デフレ、そしてハイパーインフレ…いまの貨幣には何か本質的な欠陥があるのではないか。四千年の経済史から、「右肩上がりの成長を前提としたシステム」の限界に鋭く迫るスリリングな論考。果たして、マイナス成長時代を生き抜く処方箋はあるのか?日銀を飛び出した異色の経済学者が辿り着いた「貨幣多様化論」。

貨幣進化論―「成長なき時代」の通貨システム (新潮選書)はこんな本です

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