深読みシェイクスピア (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 87
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036729

作品紹介・あらすじ

坪内逍遙以来、男たちはジュリエットの娘ごころをどう訳してきたのか?マクベス夫妻の絆はいつ断ち切られたか?シェイクスピアで一番感動的な台詞とは何だろう。蒼井優の疑問に答え、松たか子の解釈に教えられ、唐沢寿明の演技に目をみはる。シェイクスピア個人全訳に取り組み、稽古場に日参する翻訳家が、演劇の魅力を深く平易に語り尽した快著。

感想・レビュー・書評

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  • まだ3分の一ぐらいしか読んでないけど、久しぶりに脳細胞が生き生きしてくるような感触。シェイクスピアの戯曲は坪内訳と小田島訳で全部読んだけど、未読のちくま文庫全集の訳者・松岡さんの対談? インタビュー? といった内容で、現在進行形で脚本を訳出している人ならではの深い解釈や原典に関する豊富(なんて言葉では表しきれないぐらい豊かな)知識に、小さな章立て毎に感心の溜息が出てしまう。
    脚本を訳しながら、逆に演じる役者からインスピレーションを受けて更に脚本そのもの、世界そのものの解釈が深まるというエピソードや、相手を指す「二人称」の使い分けや「know」という中学一年生でも知ってるような動詞から、もう見事としか言いようがないような切り口でもって作品に新たな解釈を付与する手並みが素晴らしい。
    小田島さんのエッセイとは趣は違うけど、これまたシェイクスピアを読み直したくなってしまうような本。

  • 翻訳者として、セリフをどのように訳すのか?オフィーリアの松たか子、ジュリエットの佐藤藍子、デズデモーナの蒼井優、レオンティーズ(冬物語)の唐沢寿明、マクベス夫人の大竹しのぶらの役者に示唆を受けて脚本を変更していくというのは、訳者がギリギリまでベストを追求している姿だと感じた。シェイクスピアが名セリフだけではなく、さりげないオセロ夫婦の会話の言葉にまで、深い意味を持たせていること、それを蒼井優たちが感じ取っているというのは、凄みを感じる。マクベス夫人が主要人物の中で唯一名前が書かれていない人として夫妻の一体性を「We」という言葉の訳し方から深読みしていく説明にも唸らされる。凄い!

  • あるいは翻訳者の精読、あるいは役者の直感によって、たったひとつの言葉に籠められていたシェイクスピアの深い人物造形が明らかになる、その発見の瞬間の喜びを手軽に共有できる楽しい本。一語であっても、わずかに感じる違和感から目を背けずに考え・調べつづけると、かならず新しい発見で応えてくれる懐の深さが古典の魅力であり、それは源氏物語にもシェイクスピアにも共通している。

  • 資料ID:W0160550
    請求記号:932||Ma 85
    配架場所:本館1F電動書架C

  • 「深読み」と称するのが相応しいかどうかは措くとして、
    翻訳者が、稽古場に日参して隈なく付き合えば、其処はさまざま発見の場となろうことは、容易に察しがつく。
    「ハムレット」「ヘンリー六世」「リア王」「ロミオとジュリエット」「オセロー」「恋の骨折り損」「夏の夜の夢」「冬物語」「マクベス」が交々語られる。

  •  劇を通して訳し方に気付くとか、翻訳を通してネイティヴの人が気がつかなかったところに気付くとか、おもしろい。

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著者プロフィール

松岡和子(まつおか・かずこ)
1942年、旧満州新京(長春)生まれ。東京女子大学英米文学科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家。1993年より28年をかけてシェイクスピア戯曲全37本を翻訳、ちくま文庫『シェイクスピア全集』全33巻が完結した。この業績により、2021年、第58回日本翻訳文化賞、第69回菊池寛賞、第75回毎日出版文化賞〈企画部門〉、2021年度朝日賞、第14回小田島雄志・翻訳戯曲賞特別賞を受賞。主著に『深読みシェイクスピア』(新潮文庫)『「もの」で読む入門シェイクスピア』(ちくま文庫)がある。

「2022年 『すべての季節のシェイクスピア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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