諜報の天才 杉原千畝 (新潮選書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036736

感想・レビュー・書評

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  • ヒューマニストとして知られる杉原千畝の別の側面。インテリジェンスオフィサーとしての彼の功績と、それを役立てなかった日本、歴史の真実を見ることができた。

  • 前々から読もうと思っていた本を、映画を見る前に読んでおこうと思って図書館で借りた。独断で通過査証を発給し続けた話は有名だが、ナチスではなくソ連から逃れるユダヤ人のためだったとは知らなかった。優秀な外交官だったのだろうと漠然と想像していたが、その情報収集能力を恐れたソ連が入国を拒否するほどとは思わなかった。大使、公使ならともかく、二等通訳官が好ましからざる人物として入国を拒否されるなど、前代未聞のことだったそうだ。
    (2016/04/08追記)
    今の日本の外交官もこういう情報収集活動をしているのだろうか。ちょっと想像がつかない世界だと思った。

  • 第二次大戦のとき、ユダヤ人難民へのヴィザ発給によって何千人の命を救ったとしてヒューマニストとして語られる外交官杉原千畝の、インテリジェント・オフィサーとしての系譜を軸に、当時の欧州情勢や周辺外交官の姿を史料から紹介する。
    著者は外務省職員。

    インテリジェント・オフィサーは、赴任先の語学はもちろん、文化、宗教、世相に通じ、国益に関係する情報を広く深く収集するとともに、<span style='color:#ff0000;'><u>時々刻々変化する世界情勢の中で、その情報を分析、濾過、編集、結晶化して報告、建言する必要がある。広い教養と行動力と冷徹な知性がないとできない仕事</u></span>だ。

  • ■個人的にインテリジェンスが好きで、本屋で並んでいるのを見てすぐに買ってしまった。
    ■杉原千畝は、「命のビザ」で有名だが、諜報面でも活躍したことは知らなかった。
    ■「諜報の天才」と題名にあるが、この本からはどのような天才ぶりかはわからない。インテリジェンス能力があると彼の周りから思われていたということはわかったが。
    ■ロシア語、フランス語、ドイツ語に堪能だったと言われ、語学の達人だったのだろう。
    ■杉原がなぜ多くのユダヤ人を救ったのか。それが将来の国益をにらんだものとわかり、感銘を受けた。

  • インテリジェンスの視点から従来の杉原像が激変。外交史料から徹底追跡する。
    杉原千畝は戦前の外交官である。迫害されたユダヤ人のために、本省の命に背きビザを発給し、一説には六千人とも言われる命を救った。

    杉原がソ連のスペシャリストとして、情報収集にあたったことは以前より知られていたが、本書では外交史料から、その活動を追跡している。

    事の性質上あまり表立った史料は少ないと思われるが著者は膨大なピースを組み立てるように、新しい杉原像を完成させたのが面白い。プロフェッショナルの仕事が、十分に生かされなかったのは不幸な事であり、それは現代でもままあることだったりする。

  •  本書で詳述されている杉原千畝像は、「日本のシンドラー」と言われた「命のヴィザ」の発給にかかわるものではありません。本書のタイトルにもあるように「諜報の専門家」(インテリジェンス・オフィサー)としての杉原氏の足跡・功績を、大量の外交文書/電報等をもとに解明し詳細に紹介したものです。少々内容は冗長ですが、面白い着眼だと思います。

著者プロフィール

2022年2月現在
外務省外交史料館職員

「2022年 『命のビザ 評伝・杉原千畝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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