危機の指導者チャーチル (新潮選書)

  • 126人登録
  • 3.60評価
    • (6)
    • (6)
    • (10)
    • (3)
    • (0)
  • 12レビュー
著者 : 冨田浩司
  • 新潮社 (2011年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106036873

危機の指導者チャーチル (新潮選書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • リーダシップとは何か。この問題意識から読んでみた。

    二つわかったことがある。まず、置かれている状況によって取るべきリーダシップは異なること。危機時期には大きな成果を出したチャーチルだったが終戦後は結果を出せなかった。

    もう一つは成果を出せるのは自分だという確信。見方によっては自惚れや傲慢にもなるが、自分以外の誰がやるという気概なしでは事は成せない。

    イギリスという切り口でサッチャー、チャーチルと同時期に成果を出したマーシャルについても関心を持った。

  • [彗星のごときパグ]第二次世界大戦時、類い稀なるリーダーシップをふるい、英国を滅亡の淵から救った立役者、ウィンストン・チャーチル。英国政治の異端とされた男が、危機においてどう考えどう振る舞ったのかを丁寧にたどるとともに、危機において求められるリーダー像を考えていく作品です。著者は、外交官として英国に赴任された経験も持つ冨田浩司。


    誰でも名前だけは知っているチャーチルですが、政治家だけでなく軍人、そして作家としての側面も丹念に記述がなされており、入門的一冊としてピッタリ。また、人生の大半を英国政治の中枢において過ごしているため、チャーチルを軸とした英国近現代史としても読むことができます。あまり紹介されないチャーチルの家庭人としての側面(必ずしも幸せ一色ではなかったようですが...)を知ることができたのも収穫でした。


    時と場合によって求められる指導者像というのはずいぶんと異なると思うのですが、あの「強烈」な時代においてはチャーチルぐらいの「強烈」な人間でなければ一国を率いることはできなかったのかもしれません。そういった意味ではチャーチルの首相就任はいわば「天の采配」によると言えるのかもしれませんが、その采配をたぐり寄せられるだけの柔軟性をもった英国政治というものにも興味が尽きませんでした。

    〜ノルウェー討議からチャーチルの首相就任までのプロセスは、国家存亡の危機において最も相応しい指導者を選び出す能力を備えていたという意味で、英国の政治制度の強靭さを示している。しかし、制度を動かすのは、詰まるところ時々の人間の判断であることも忘れるべきではない。〜

    やっぱりイギリスに行きたいな☆5つ

  • ■題名がとても魅力的だ。しかし、内容はチャーチルの一生プラス指導者像だ。
    ■チャーチルのリーダーシップを理解したいのであれば、第7章と最終章だけ読めば十分だ。
    ■しかし、この2つの章は繰り返し読むと味わいが出るところだと思う。

  • リーダーの条件とは?

  • チャーチルを敬愛する村上水軍の末裔(上)《赤松正雄の読書録ブログ》

     第二次世界大戦で危機に瀕した英国を救った指導者チャーチルは文字通り危機の指導者に相応しい。対独戦勝日に、バルコニーに立った彼は、集まった数万の群衆の歓呼に応えて、開口一番「神の祝福を。これはあなた方の勝利です」と叫んだ。国民と彼との信頼関係こそ成功の決定的要因だった。

     外務省のキャリア官僚で今は米国公使を務める冨田浩司氏が勤務の傍ら書いた『危機の指導者チャーチル』は読み応えがある。好著との評判が高い。前半は、人格形成期の逸話。後半は、実際の戦争にあたっての取り組み具合。最後は危機における政治指導者のあり方が披露されている。

     栴檀は双葉より芳しで、若き日の彼は競争相手をだし抜くために知恵の限りを尽くしている。母親にもその女性的魅力を駆使して息子のために頑張るように仕向けるというのだからただ事ではない。また、夫婦間の交流も尋常ではない。57年間の結婚生活で1700通という膨大な手紙が残っている。パグ犬と子猫ちゃんという愛称で互いに呼び合っていたとの手紙の中味も紹介されているが、読む方がつい恥ずかしくなってしまうほど。

     この本の魅力は、至るところに名言が散りばめられているところにもある。チャーチルのものだけでない。二代あとの首相マクミランの言葉も貴重だ。若手の記者から、政権が倒れる要因は何か、と聞かれて「出来事だよ、坊や、出来事」と。予測せぬ「出来事」で政局が動くのは洋の東西を問わない。彼の「選挙というものは、野党が勝つものではない。与党が失うのだ」という言葉も味わい深い。チャーチルは大戦回顧録でノーベル文学賞をとっているほど文章構成力も卓越しているが、演説も際立っている。しかし、その背後には壮絶な努力がある。そのあたりを読み解くのも楽しみだ。

     冨田氏は、「チャーチルのような規格外れの政治家が現代に再び現れることがあるか。時代がそれを許さない、というのが結論である」というが、「チャーチルは時代の流れにかろうじて『間に合った』政治家である」とも。ここでいう時代とは、いわゆる古き良き時代とでも言うべきものだろうか。いまのような時代状況では到底無い物ねだりで、危機の指導者を待望するなど到底無理なのかもしれない。

    チャーチルを敬愛する村上水軍の末裔(下)《赤松正雄の読書録ブログ》

     ただ、今は今でそれなりのスケールの指導者が出て欲しい。そう思う人は多かろう。そうした折りも折り、村上誠一郎+21世紀戦略研究室『日本よ、浮上せよ!』が手元に届いた。彼は自民党の次代を担うリーダーの一人。この本を一読していると、まさに序文にチャーチルの有名な言葉が目に飛び込んできた。「民主主義は最悪の政治形態と言える。ただしこれまで試されてきたいかなる政治制度を除けば」が紹介されている。敬愛する英国の政治家のものとして。ここでは、21世紀を生き抜くための具体的戦略が12の章だての下に提示されており、それぞれに興味深い。また、「人口爆発」と「資源の枯渇」を21のキーワードとして解き明かす第二編は迫力がある。

     彼の魅力は魂のこもった言葉を遠慮会釈なく発するところにある。今回の福島第一原発の事故対応で、この人ほど迫力ある言い回しで、政府を追及した政治家はいない。最終章で、生死を度外視して何かを成し遂げる心構えこそ大切だ、との吉田松陰の言葉を、自身の若き日に感銘を受けたものとしてあげている。この人なら、そういう心構えが身についているに違いないと思わせる数少ない政治家だ。

     また、最末尾で、宮沢賢治の『農民芸術概論』における「世界全体が幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」をあげ、「リーダーや政治家、もちろん私にとっても、ずしりと重く響く言葉なのである」と結んでいる。この言葉、実は公明党の立党の頃のキャッチフレーズである「社会の繁栄と個人の幸せが一致する社会」と酷似している。宮沢賢治が法華経の著名な信者であることとも無縁でないかもしれない。こう書いてきて、村上氏の著書には、公明党に触れたところが全くないのに気づいた。画竜点睛を欠くと言うと、言い過ぎだろうか。

     村上水軍の末裔たる彼の家の代々の教育方針が水泳のスパルタ教育で子どもを鍛えることにあったとのくだりは面白い。「私は十八代の当主となるが、物心つくと海に放り込まれた。今でも10キロメートル泳げと言われれば、すぐに泳ぐことができるはずだ」と。驚いた。彼は間違いなく国会議員随一の巨漢だ。120キロはあろう。とても、と思ったら、すぐあとに「いや、言いすぎた。浮くことはできるだろう」とあった。笑った。

     好漢惜しむらくは太り過ぎと言ったら目をむいて怒るかも。大成を期すには是非とも健康に気をつけられたい、と心から思う。

  • なぜだか文章が読みにくくて最後まで読めなかった…

  • 感想未記入

  • ●内容
    ・外交官によるチャーチルの評伝。人物を主体に、WWⅡ前後の政治情勢に迫る。
    ・チャーチルを“自信過剰で後進に道を譲れなかった”としながらも評価は高く、彼の行動を挙げて理想の指導者を語る。
     「指導者が自己への確信を示すことは、危機においてはとりわけ重要である。人は危機的状況において自らの能力に疑問を持つ指導者に運命を委ねる気にはならないからである」


    ●感想
    ・トップマネジメントのケースとして読める。
     自信過剰でなんにでもクチバシをつっこむ「いやな奴」のチャーチルが、そこそこ失敗しながらもトータルで成功を収めたのはまさにその自信のゆえ。

    ・チャーチルを通じて語られる「危機の指導者」の資質。
     1、コミュニケーション能力→目的意識の明確化を行い、ヴィジブルなリーダーとなること。
     2、行動志向の実務主義→大きな戦略的判断を下すにあたって、不作為のリスクは作為のリスクを大きく上回ると知ること。
     3、歴史観→国家の存亡を左右する決断を迫られたとき、国家のあり方と国民についてどれだけの理解を持ちながら決断を下すか。

  • 日経書評。

    危機に際して求められるリーダー像とは、
    ①コミュニケーション力
    ②行動重視の実務主義
    ③歴史観
    を備えたものであるという。

    納得。

  • ルーズベルト、スターリンと並ぶ大日本帝国の仇敵の1人、チャーチルの伝記。まさに戦争指導のために生まれてきた(と本人が思い込んでいた)政治家の存在によって、崩壊の危機スレスレにあった大英帝国が生き長らえさせされたのは間違いない。

    日本が対英米蘭に宣戦布告し、結果として米国の対ドイツ戦を可能とならしめた際の「結局のところ我々は勝ったのだ。」という言葉は、日本人としては痛烈な皮肉として受け止めざるを得ない。

    最近出版された本なのではあるが、別に3.11や、その他国内情勢にムリヤリこじつけることもなく、かなり客観性を意識して、事実を書き連ねた内容や構成にはかなり好感を感じた。

    そして何より専門の作家や研究者ではなく、一外務官僚がこのような文章を書いて本を出版した、という事に意外さを感じつつも、ああ日本の官僚にも優秀な人はやっぱいるんだな、と感じることができた。それが一番の収穫だったかも。

全12件中 1 - 10件を表示

冨田浩司の作品

危機の指導者チャーチル (新潮選書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

危機の指導者チャーチル (新潮選書)の作品紹介

ヒットラーの攻勢の前に、絶体絶命の危機に陥った斜陽の老大国イギリス。その時、彼らが指導者に選んだのは、孤高の老政治家チャーチルだった。なぜ国民はチャーチルを支持したのか。なぜチャーチルは危機に打ち克つことができたのか。波乱万丈の生涯を鮮やかな筆致で追いながら、リーダーシップの本質に鋭く迫る。今こそ日本人が学ぶべき"危機の指導者論"。

危機の指導者チャーチル (新潮選書)のKindle版

ツイートする