江戸の天才数学者 (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037122

作品紹介・あらすじ

あの渋川春海はじつは策略家?捏造された関孝和伝説とは?8人の天才和算家の"実像"を描く歴史ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 鎖国下に華ひらいた「和算」を現役の技術系サラリーマンが描く | リベラル21(2012/09/05)
    http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2099.html

    『江戸の天才数学者』|感想・レビュー・試し読み - 読書メーター
    https://bookmeter.com/books/5180690

    鳴海風 『江戸の天才数学者―世界を驚かせた和算家たち―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/603712/
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    (p-leidさん)carbuncleの本棚から

  • 『和算の大家 関孝和(上毛カルタより)』

    といえば我が郷土、群馬県を代表する偉人だ。

    さて、我らが天才和算家の活躍でも読ませてもらおうか、と思って本書を開いたが、いきなり「関孝和の出生地は実はよくわかっていません」ときた。

    ま、マジで!?

    著者も書いているけど、もし江戸で生まれたなんてことになったら群馬県は大騒ぎになっちゃうよ。

    群馬県人にしか理解できない想いはひとまず横に置いといて……

    筆者も冒頭で書いているように本書に取り上げられている8人の和算家の選抜方式は、決して学術的な実績の優れている人物を上から8人選んだというわけじゃない。

    江戸時代に数学が人々の間でどういう風に楽しまれ、発展し、歴史に影響していったのかを俯瞰的に見るために選抜された8人である。

    関孝和目当てで本書を開いた僕だけど、一番興味深く読んだのは山口和の章だ。

    彼は学者としてトップを目指してしのぎを削るような道ではなく、全国を遊歴して地方の数学愛好家たちに数学を教えることに生き甲斐を見出した。

    彼はなるべく辺鄙なところを選んで行ったということだが、驚いたのはどこにいっても江戸の進んだ数学を教えて欲しいという数学愛好家がいるので宿に困らなかったというところだ。

    日曜画家ならぬ日曜和算家が全国津々浦々にいたなんて、理系離れなどと言われて久しい昨今、信じがたいようなことだが、同時にちょっと嬉しいような気がするのは何故かしら。

    読み書き算盤というように、ある程度の計算力は商人はもちろんそれ以外でも必要不可欠なものだが、それ以上となると現代でも実生活の中で役に立つことは少ないくらいだから、当時はもう完全に趣味の世界だ。

    可処分時間に数学をたしなむ。

    なんて豊かな生活だろう。

    サッカー界では日本より人口が少なくてもずっと強い国がある。

    そういう国には優れた選手を育む周囲の理解や審美眼がある。

    本書に取り上げられている8人の天才たちも彼ら独りだけの力で天才足り得たのではなく、その才能の種に発芽をうながすだけの土壌があってのことだろう。

    花を愛でるということは、土を知ることでもあるとわかった。

  • ふむ

  • 歴史
    数学
    サイエンス

  • 江戸時代に活躍した和算の天才数学者8名について、研究した結果をまとめた本。教科書に出てくる関孝和や、最近話題の「天地明察」の渋川春海など、江戸時代の数学者達は、世界的にも高いレベルの知識を持っていたことがわかっており、また庶民の間でも数学は人気があって、日本全体として数学レベルは高かったらしい。世界に誇る和算の概要を知ることのできる一冊。
    「和算の世界は、ルーツである中国や朝鮮を超えて発展した。それは、戦後の日本の自動車産業が、品質管理とたゆまぬ改善努力で、本家本元のアメリカを超えて発展したのと似ている」p169

  • 江戸

  • かつて日本にはどんな和算家がいて、どんな風に活躍したのだろうかという興味があった。

    関孝和や渋川春海、建部賢弘などは小説などを通して多少知っていたが、遊歴算家として日本各地を歩き和算を広めた山口和の話は知らなかったので一番興味深く読んだ。
    数ヶ月から数年をかけ、また都市部を避けなるべく僻地を選んで歩いて回ったところに山口和の和算への想いを感じ、しかもそういう土地にも必ず和算愛好家がいたという江戸時代の事情に驚いた。
    和算に対して貪欲に知識を求める当時の人々に尊敬の念を抱かずにはいられない。

    会田安明も関流との論争については若干揚げ足取りというか粘着質のような部分も感じられるが、それでも関流もきちんと認めた上での反論であったり、会田安明の最上流が秘密主義に走らなかったお陰で和算が発展したところは素晴らしい。

  • 天地明察の主人公、安井算哲に興味を持っていたので、とてもおもしろかった。

    夏の数学課題図書

  • 『天地明察』に触発されてこの本を読んだのだが、思っていたよりもおもしろかった。
    『塵劫記』で有名な吉田光由に始まり幕末から明治にかけて活躍した小野友五郎まで、八人の和算家について書かれている。

    数学者というとなんとなく一部の頭のいい人達が何か難しいことを一生懸命やっているというようなイメージを勝手にいだいていたのだが、この本を読んで、数学というのは、土木、暦、操船術などにおいて我々の生活に無くてはならないものだったのだということを改めて気付かされた。

    そして、鎖国という他国の優れた知識から隔絶された不利な状況においても、楽しんで数学の未知なる分野に挑んでいった先駆者たちが多数いたことに大変感銘を受けた。

  • 数式はもうわからんけれども、建部賢弘の円周率の公式なんかうつくしい

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著者プロフィール

鳴海 風(ナルミ フウ):1953年、新潟県生まれ。東北大学大学院、愛知工業大学大学院、名古屋商科大学大学院それぞれで工学修士、博士(経営情報科学)、MBAを取得。1992年『円周率を計算した男』で第十六
回歴史文学賞。2006年日本数学会出版賞。『円周率の謎を追う 江戸の天才数学者・関孝和の挑戦』(くもん出版)が第六十三回青少年読書感想文全国コンクール中学校の部課題図書。主な著書に『算聖伝 関孝和の生涯』(新人物往来社)、『江戸の天才数学者』(新潮社)、『美しき魔方陣』(小学館)、『ひらけ蘭学のとびら』(岩崎書店)などがある。

「2022年 『遊歴算家・山口和「奥の細道」をゆく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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