「便利」は人を不幸にする (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037269

作品紹介・あらすじ

「進歩」がエンドレスならば、私たちが満たされる日は永久に訪れないのか? 科学技術は日々進歩している。消費社会もまた、新しい「技術」や「便利」を生み出し続けなければならない運命にある。「進歩」には益もあれば害もあることを知っていても、我々はそのゲームから降りることはできない。「便利」と「幸福」の間の、ほどよい着地点はどのあたりにあるのか――気鋭のサイエンティストがさぐる。

感想・レビュー・書評

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  • 「便利」と「幸福」の間の、ほどよい着地点はどのあたりにあるのか――気鋭のサイエンティストがさぐる。(出版社HPより)

    ★☆工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT22184001

  • 3.11論。それなりに中立的だが、残念ながら、技術論あるいは、社会と技術の関係にとどまっている。

  • 科学技術の発展は人を幸せにするのか? 進歩の功罪、科学技術と人間との関係性について、気鋭のサイエンティストが探る。

    第1章 欲望と、技術の進歩
    第2章 三月一一日の刻印
    第3章 原子力ムラへ架かる橋
    第4章 「便利」は共同体を崩壊させるのでしょうか?
    第5章 何もなくて豊かな島の理由
    第6章 不快なものの必要性
    第7章 既得権益と透明性
    第8章 パッケージ化した科学技術の外側

  • 【由来】
    ・MMarkerでたまたま

    【期待したもの】
    ・「便利」にハマりやすく、かつ、それに対して天の邪鬼な自分にとって、役立つ視点があれば。

    【要約】


    【ノート】

  • 東日本大震災と原発事故。
    その危機はずっと以前から指摘されていたが、利益利権の追求の流れの中で亡きものにされた。そして発生した事故。
    誰も責任を取らない政治と社会の構造。
    いつの間にかそうなっている。
    便利を求めて企業がサービスを提供して恩恵を預かって原発の片棒を担っていた国民の責任もゼロではない。
    そしてその生活から抜け出せない。そこに未来はあるのか。
    若者がどんどん言うことを聞かなくなって出ていって欲しいという著者。
    しかし、それが本当に可能になるのか。
    そうならないように進歩も学習も妨げているのは上の世代ではないのか。
    そうなったら一番困るのは自分達だから。
    いろいろな矛盾をはらみながら進むストーリー。

  • 示唆に富んだ論考が満載の好著だ.ページを捲るたびに納得し共感できるフレーズが出てくる.多くの人の意見を聞いて、それを咀嚼できる抜群の能力をお持ちの著者だ.これだと思った内容が多すぎるが138頁に出てくる次の言葉に共感する.「日本の組織や社会は、既得権益を守ることが最優先の目的なっており、そのため、外的環境の変化に合わせて適応することができなくなっている」

  • 信用できない存在に、
    自分と社会を託さざるを得ない。
    この矛盾。

  • タイトルそのまま。
    ですが、
    説明が入るとしっかりと意味が理解できる。

    この世の中はどこまで行くのだろう???
    そして人類はぶれずに便利と上手に付き合えるのか?
    便利に、流されていくのか?

  • 世の中は科学技術の発達と共にますます効率を目指し便利になってゆく。しかし、便利になることは良しとするが、依然幸福度は上がらず相変わらずしんどさみたいなものは変わらないのはなぜだろう。著者の考察は2年に及びあいだに東日本大震災を経て、社会や共同体、科学技術とのあり方について思索する。

  • 日々進化していく科学技術。
    それによって私たちの生活はより「便利」になっていきます。
    15年くらい前にはなかった携帯電話は今や生活の必需品になっています。
    今、携帯電話がない生活を想像できるでしょうか?
    なくても問題ない、という人もいるでしょうが、
    絶対無理!! と思う人の方が圧倒的に多いと思います。
    「便利」になった一方で、携帯電話を持っていることで引き起こされるストレスがあります。
    すぐにメールに返信しないといけない、という義務感、
    SNS疲れと言われているものも、その義務感と似ているかもしれません。
    携帯電話があることで、私たちは幸福になったのか?
    それとも不幸になったのか?

    本の中では、著者の佐倉さんが科学技術に関わる人などと対談して感じたことを書いています。
    「便利」さとどう付き合っていけばいいのか。
    そのテーマについていろいろな角度から問題提起がされています。
    そして、一つの区切れ目として3.11のことに触れられています。
    あの震災で、とにかく生きていればいい、家族や大切な人がいてくれればいい、
    そういうことを思い知らされたような気がします。
    「便利」さとは全く関係のない価値観。
    それから、「便利」さを支えていた原発の危険性が取り沙汰されました。
    「便利」というのは、ある意味で危険と隣合わせだったのかもしれませんね。

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著者プロフィール

東京大学大学院情報学環教授、理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー。もともとの専攻は霊長類学だが、現在は科学技術と社会の関係についての研究考察が専門領域。人類進化の観点から人類の科学技術を定位することが根本の関心。著書に『科学とはなにか』(講談社)など。

「2024年 『抑圧のアルゴリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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