金融の世界史: バブルと戦争と株式市場 (新潮選書)

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著者 : 板谷敏彦
  • 新潮社 (2013年5月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037283

金融の世界史: バブルと戦争と株式市場 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

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  • 世界史の中で金融に関する話を抜き出した本。

    前半はお金の成り立ちから始まって中世、近代と流れる中で大きな出来事を取り上げてる内容。
    中盤で戦争と絡む部分は日本に関する話が多くなり、一般的な話と違った世界観を感じ、また、戦争と金融の密接な関係が描かれている。
    最終章は投資理論の展開となっており、複雑怪奇になった現代の金融の理論的背景の解説となっている。

    雑誌に連載、寄稿したものを基にしてるので、全体的に小話の集まりといった印象。
    小話として容量が膨らまない話は取り上げられていないようで前半部分は金融の世界史と言うには物足りないが、副題にもある通り戦争と株式市場を巡る話はかなり具体的に書かれててとても興味深かった。

  • 金融の通史と言えるかどうかはともかく、貨幣、有価証券、デリバティブズ、簿記、為替など、およそ金融に関する古今東西の歴史的エピソードがてんこ盛り。時系列順に並んでいて、一話一話も短く、読みやすい。

  • まさに「お金で歴史は動く」がわかる良書

  • 13章以降、金融の基礎知識がないため挫折気味。しかし、前半の大航海時代などの話は胸踊る楽しさだった。金融の世界史

    世界史をお金の観点から考える本。自分自身来年から金融業界で働くことに決まったので、金融の起源に興味をもって読んだ。大航海時代が、いまでいうベンチャー投資のような時代であったという話が面白い。航海を志す人々が、資金力のある王家にプレゼンをして、資金援助をもらい、航海が成功した場合に香辛料などの売買で生まれた富を配当金として受け取るという仕組みであったという。コロンブスはインドへの計画を様々な王家にプレゼンテーションをして何とか資金援助を受けて航海に出ていった。そうした歴史的航海の数々がほんの5年ほどの間におこり、いわゆる大航海時代がスタートし、最終的に多くの植民地を持ちえたために産業革命に成功し、西洋がその後の世界の覇権を握るという流れがある。ここで面白いのが、当時の中国において鄭和の大船団がアフリカまで到達していたということ。そしてその船というのが当時の西洋とは比べ物にならないほどの技術力と規模を誇っていたという事実。しかし、結果としてモンゴル帝国の拡大による国防費の増大により、鄭和の航海計画は志半ばとなった。筆者は東西の権力の在り方について語り、東洋はおうおうにして意思決定機関がとても限定されていて、統率力がある反面、一人のトップの判断で歴史が変わってしまう。一方西洋は、意思決定機関が複数あり、コロンブスの様なベンチャー青年がほかに断られても結果的に航海に繰り出せるという点で、統率力こそないが一か八かで大発見や大成功が起こるという見解を述べている。歴史にIFは禁物というが、鄭和の大艦隊が喜望峰を回り、ヨーロッパ、さらには大西洋を渡りアメリカ大陸まで到達していたらと思うと、なんだか面白い。その他、歴史的事件をお金の側面から描く本作は、歴史好きにとってはとても面白い読み物だろう。ただ、自分は金融に関する用語や経済学について無知であったゆえに現代になるにつれて理解度が加速度的に低下してしまったのが悲しい。いずれ読み直した時には、現代の金融史を楽しめるようになりたい。

  • 金融の歴史を概観。全体の流れがあるというよりは細かいトピックに分けているので気楽に読める。金融関係者であればどこかで聞いたことのある話でサクサク進む。

  • 金融とは何か。デフレ、インフレ、バブルが繰り返される。人間の欲が生んだ悪弊か、叡智の営みか。金融を考えるきっかけになる。

  • 時間切れ 借りたのは2回目か 大阪の先物の歴史も

  • この分野は特に巷に乱雑な本が溢れているので、日本人の書いたものを読もうという気はあまりしていなかった。しかし、これはなかなかよい本で、脱線しない程度によく調べてあるという印象を受けた。
    どの本からの引用かというのがわかりやすいので、概要を掴むのに良い。特に国内の事象については海外の本だとあまり言及がないので、そういう意味でも理解が深まってよかった。

  • ◼︎2014/08/17 読了
    ◼︎金融に関する歴史を概観できる。
    ◼︎特に55話以降は現在にもつながる歴史であり、読み応え十分。

  • メソポタミアで農耕が始まった頃に原始的な徴税のしくみが生まれた。穀物の再分配のためには記録が必要になりシュメールの粘度板には在庫管理だけでなく不動産取引も記録され所有権移転のしくみがあった。ハムラビ法典には銀や穀物の貸し借りに対する利子の規則が定められている。ちなみにまだ貨幣は発明されていない。小麦であれば順調にいけば1年後には当時のメソポタミアでは20倍以上に増える。1年後の小麦が貸した方から借りた方に移転していると考えれば返す時には量を増やして返すのは当然のように思える。これが利子の発明だったのかもしれないのだ。

    コインの発明は金、銀を一定の比率で同じ重さに切り分けたものから。原料費と額面の差額が発行者の利益になった。紙幣の場合は素材には価値が無く信用が元になっている。宋の時代には手形が発達しこの証書が貨幣の変わりとして使われたことから紙幣が使われる下地になった。政権の権威が凋落すると紙幣は流通できなくなり金貨や銀貨が復活する。ミクロネシアで使われた大きな石の貨幣も信用が元になっており現物の引き渡しは無くてもよかった。有る時には先祖が削りだした石を持ち帰る時に船ごと沈没したが証言者がいたため貨幣として認められた例もあるらしい。島に来たドイツ人は石にX印をつけ返して欲しければ道路整備のために働けと脅した。島民は破産を怖れて一生懸命働いたそうだ。道路完成後にはX印は消され島民は金を取り戻した。笑い話の様だが同じことは先進国でも起こっている。大恐慌の直後にフランスはニューヨーク連銀にある手持ちのドルを金に換えた。金本位制の停止を怖れたのだが金はそのまま連銀に預けて帰った。ラベルを張り替えただけなので石にX印をつけるのと変わらない。アメリカでは金が国外に流出していると騒ぎになった。

    金融派生商品デリバティブの歴史も古い。世界最初のオプション取引はギリシャ時代にアリストテレスから世界初の哲学者と紹介されたタレスがやったものだ。タレスはある年のオリーブが豊作だと予測しあらかじめオリーブオイルの搾油機の使用権を買い占めた。予定通り豊作になるとタレスは搾油機の権利を売り大もうけした。手付金をオプション料と考えればいろんなものが取引できる。

    銀行、為替、株式、保険などいろいろなものが大きく発展を始めたのは大航海時代からだ。複式簿記、減価償却などもこのころにはできて来ている。グーテンベルクの印刷機は書類の偽造を困難にしヴェネチアに銀行が生まれた。それまでも現物の貨幣の両替は行われていたが、帳簿と手形だけで決済や資金の移動ができるようになったのだ。一方で信用の創造は17世紀のロンドン、預かった金に対する預かり証が貨幣の代わりに使われ、ゴールドスミス(金の保管業者)は預かった金以上の貸し出しが可能なことに気づいた。新大陸で発見された大量の銀はメキシコ・ドルとして世界中で流通した。イギリスの海賊フランシス・ドレイクがペルーからパナマ経由で大量の銀を持ち帰り次いで太平洋横断から世界1周公開を企画した。これに投資したエリザベス1世は大儲けし対外債務を全て返済しさらに余った金で東部地中海のイスラエル辺りを開発するレヴァント会社に出資した。この会社が儲けた金で作られたのが東インド会社だ。東インド会社を首になった中には有名な海賊ジャック・スパローもいる。イギリスの東インド会社は1航海1事業とした特許会社で出資者が無限責任を持つ共同事業体だった。これに対してオランダの東インド会社は出資者の責任は出資金の範囲の有限責任であり、21年間の全ての航海を一つの事業とした。また株式は誰でも買える近代的な株式会社でアムステルダム証券取引所で株の取引が行われた。

    国債の誕生はイギリスの名誉革命から。それまでは戦費を国王の個人的な借金でまかない、たびたびデフォルトしたり、貨幣の作り替えでインフレにして借金を返済したりしていたが、権利の賞典により王の権限が制限され主権が議会に移った。これにより借金の主体は王個人ではなく国家に変わった。保険の歴史も古いが1678年にロンドンのロイズ・コーヒーハウスでは海上保険が売買されるようになった。投資家は航海が無事に終われば分け前がもらえる変わりに損失が出れば無限責任を負う。

    ナポレオン戦争でも資金調達は争点になっている。オランダを支配下に置いたナポレオンは金融業者を追い出し、アムステルダムに変わってロンドンが金融の中心になった。戦費調達に困ったナポレオンは1803年フランス領ルイジアナをアメリカに1500万ドルで売った。アメリカ中部15州をまたぎ現在のアメリカの23%の面積を締める。1867年日本では坂本龍馬が暗殺され大政奉還があり、マルクスが資本論を書いた年に世界で初めての国際通貨会議が開かれた。ナポレオン戦争の復興資金は金本位制のロンドンでのポンド建て公債として調達されており、フランスを始めとする国は金本位制を導入し世界的な通貨同盟を支持した。しかし肝心の金の現物なしでは話にならず、銀を売って金を買ったこのため金と銀の交換比率は15倍からアメリカが金本位制を採用した1900年代後半には30倍を超えるようになている。日本は日清戦争での賠償金を元に金本位制を導入し、また日露戦争の戦費調達は金本位制だからこそ可能だった。後に第二次世界大戦に突入する原因となったのは資源の確保が原因だが、これはドル建てであり日本は絹のストッキングをアメリカに輸出してドルを稼いでいた。しかしナイロンの発明とともにいずれは無くなる運命だったことが1996年に機密解除になった外交文書に書かれている。高橋是清の積極財政が始まるまで1ドル2円ほどだったのが金本位制からの離脱により一気に4.7円への急激な円安が進行している。1941年7月以降アメリカの預金封鎖により決済資金のドルは上海などで闇で入手するしか無くなったがこのレートは1ドル8〜9円だった。売るものは無く円安のため資源は高騰と資金面で首が絞まっている。ここだけ見ると今の北朝鮮のような状況に置かれていた様だ。その後は東南アジアに侵攻し自給自足を目指し更なる経済封鎖を受け、例え金を持っていてもドルとは交換できなくなった。東京株式市場は大本営発表を受けて1943年半ばまで上昇を続けたがダウ・ジョーンズ工業指数の底は1942年の4月が底でまだ日本が勝ち続けている時に反転している。

    戦後のターニングポイントは1971年のニクソンショック。このころ日本の一人当たり実質GDPはイギリスに追いついた。ニクソンショックから生まれたのがシカゴの先物市場、為替やモーゲージ債、原油など値のつくものは何でも商品になるのはここからが。そして76年には金利先物が生まれ81年に適法になる。現物決済が不要な商品が生まれたことでマネーの受け皿ができてしまい後のサブプライムローン問題につながっていく。そして85年のプラザ合意で円高が進むとともに政府の低金利政策は続きバブルが生まれた。ドル建てで日経平均を見るとニクソンショックから89年の最高値まで年率30%で上がり続けた。

    現代史では市場は効率的かそれともそれとも投資家がインデックス投資に勝てるのかの議論が興味深い。1896年から2012年までのNYダウの日時収益率をデーターに取ると中心部はきれいなベルカーブを描きランダムウォークをしているように見える。しかし、正規分布であれば合計29850日のデーターのうち5%以上の上下をする確率は0.22日分しか無いはずなのに現実にはブラックスワンは97日も存在していた年に1度は異常値がでることになる。それでもインデックスに勝ち続けるのはウォーレン・バフェットなどの1部の投資家だけのようだ。バフェットも重視している時価総額/GDPという値を見るとバブル崩壊後は60〜100%で推移しており2013年はおよそ90%になっている。

    100年後の金融史にアベノミクスと各国の通貨切り下げ競争はどう評価されるのだろうか。弱い通貨のインフレは既に起こっている。

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金融の歴史とは、お金に変えた人間の欲望か、それとも叡智の足跡か――シュメール人が発明した文字は貸借記録の必要に迫られたものだった。ルネサンス期に生まれた銀行・保険業と大航海時代は自由な金融市場をもたらし、国家間の戦争は株式・債券の基を創った。そして今日、進化したはずの国際市場では相変らずデフレ・インフレ・バブルが繰り返される……人間の営みとしての「金融」を通史として俯瞰する試み。

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