金融の世界史 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
3.80
  • (25)
  • (43)
  • (44)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 732
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037283

作品紹介・あらすじ

金融の歴史とは、お金に変えた人間の欲望か、それとも叡智の足跡か――シュメール人が発明した文字は貸借記録の必要に迫られたものだった。ルネサンス期に生まれた銀行・保険業と大航海時代は自由な金融市場をもたらし、国家間の戦争は株式・債券の基を創った。そして今日、進化したはずの国際市場では相変らずデフレ・インフレ・バブルが繰り返される……人間の営みとしての「金融」を通史として俯瞰する試み。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2020/12/18金融の世界史 板谷敏彦 金融の歴史について博識
    人類は進歩せず 同じ過ちを繰り返している
    1.冒険貸借 航海ビジネス→プロジェクトファイナンス 
      利子ではなく保険料
      財産権の侵害 国王への貸付は踏み倒される
      →破産 預金封鎖も同じ
      エリザベス女王ドレイクの海賊ビジネス=ベンチャービジネス
    2.大航海時代で欧州の優位性 
      コロンブスの「多様性」vs中国「明の永楽帝」鄭和の大遠征
      価格革命-新大陸の銀・インフレ-新興勢力の活躍、
      印刷-宗教革命 
      グローバル化 閉鎖的な価値体系 異質が価値 利益をもたらす 資本が差異を失わせる
      東インド会社 全ての航海を一事業 永久資本
    3.鉄道事業 大規模な資金調達 株式会社の発明 エージェンシー問題
      1899年時価総額の63%が鉄道株
      1861年南北戦争国債発行に苦慮 投資銀行クックが個人向けに販売
    4.ワイマール共和国 ハイパーインフレ
      賠償金負担 物価上昇 マルク安 輸出堅調 ドイツ経済は好調
      国債発行 短期債を中央銀行引き受け 長期債の発行へ振り替えが難航 通貨増発へ
      仏国の賠償金過大 ドイツ経済の疲弊 ナチスの台頭 対仏戦争 戦勝 復讐の連鎖

  • 専門家が書く本、その道の権威とはこういうことか。

    金融史が立体的に良くわかった。

  • 前半から中盤は、時代時代における金融がどういったものだったのかの説明。この辺りは通貨や利子の話なので、歴史が好きな人であれば素直に楽しく読めると思う。
    中盤で株式や債券が出始めたあたりから、歴史と金融の実態の解説が半々になって来る。株式や債券が何なのかわからない人には辛くなってくる。
    後半、デリバティブズやファイナンス理論のあたりまで来ると、一通りの簡単な金融と経済学の用語を知らないと、多分読めない。殆どの単語の説明が不足してるので。

    前半と後半で大分趣きが違う。
    誰であろうとも前半は読んで置いて損は無い。面白いし為になる。
    後半は、金融の意味はわかるがピンと来てない人(自分)の、教養の醸成にピッタリな内容。銀行とか証券会社とか良く分からないし怖い(これも自分)という人にオススメ。

  • 世界史の中で金融に関する話を抜き出した本。

    前半はお金の成り立ちから始まって中世、近代と流れる中で大きな出来事を取り上げてる内容。
    中盤で戦争と絡む部分は日本に関する話が多くなり、一般的な話と違った世界観を感じ、また、戦争と金融の密接な関係が描かれている。
    最終章は投資理論の展開となっており、複雑怪奇になった現代の金融の理論的背景の解説となっている。

    雑誌に連載、寄稿したものを基にしてるので、全体的に小話の集まりといった印象。
    小話として容量が膨らまない話は取り上げられていないようで前半部分は金融の世界史と言うには物足りないが、副題にもある通り戦争と株式市場を巡る話はかなり具体的に書かれててとても興味深かった。

  • 文字の始まりは貸借記録

    そこから連続的な金融の歴史
    形式ばってなく、軽くコラムちっくに読めて面白かった
    金融は歴史と紐付いてるのがよくわかる

  • 実務家が書いた歴史の本なので、あまり期待はしなかったけど、面白かった。特に筆者の現役の頃の話は、エビデンスはともかく、当事者の記憶なわけで、時代の雰囲気が分かる。

  • 金融の世界史と題してあるだけあって、世界の有史以来からの貨幣の成り立ちから市場の構築まで、幅広い分野の話が網羅されています。
    抑えてる範囲が広いだけあって、各分野の詳細は省き気味なのは仕方ないです。

    ただし著者の貨幣観が商品貨幣論なので、著書内での金融史の説明がどこまで正しいのかは怪しいところ。

  • メソポタミア文明からリーマン・ショックまでの金融の歴史を網羅。当時の政治的背景も併せて述べられており、立体的に理解できる内容となっている。

  • 知人で大学の先生から頂き、拝読しました。
    非常に興味深かったです。

    見通しよく、本質的に重要な関連事項が巧みに整理されていて、尚且つ随所に著者の高い教養が滲み出ていて、大変勉強になりました。

    金融の歴史は人間の欲の歴史。人間の営みの歴史。

    風が吹けば桶屋が儲かるというような形で、順を追って歴史を紐解く事で、複雑化してみえる金融の本質が見えてくるように、分かりやすく興味深い雑学満載で解説、案内されています。

    今ある金融の仕組みには、必ず存在意義があります。
    今の金融の様相は、どんなに複雑に見えても、必ず人の欲や営みが生み出すことには変わりはない事、人は必ずしも完璧に合理的でなく、それが複雑性を生み出す事なども、歴史的具体例が挙げられていて、よく分かりました。

    単に歴史を紹介するのでなく、金融の本質とは何かについて考えさせてくれる本です。

    帳簿、利子、貨幣、市場、先物、株式、保険、他金融商品、その生い立ちが非常に分かりやすく整理されていて、金融初心者にとって、非常に読みやすく、大変良い本だと思います。

  • 金融が、古くは農業の発達から戦争、グローバル化など、人間活動の結果必要に迫られて発展し現在に至ることが良くわかった。金融の発展により歴史が動いていることもわかり、世界史の見方が変わった。

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1955年、兵庫県西宮市生まれ。作家・コラムニスト。関西学院大学経済学部卒業後、石川島播磨重工業入社。その後、日興証券に入社し、ニューヨーク駐在員・国内外の大手証券会社幹部を経て、2006年にヘッジファンドを設立。著書に『日露戦争、資金調達の戦い 高橋是清と欧米バンカーたち』『金融の世界史 バブルと戦争と株式市場』(ともに新潮選書)。

「2020年 『日本人のための第一次世界大戦史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

板谷敏彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
シーナ・アイエン...
佐々木 圭一
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×