「スイス諜報網」の日米終戦工作: ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか (新潮選書)
- 新潮社 (2015年6月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037726
作品紹介・あらすじ
一九四五年夏、人知れず日本を壊滅から救ったインテリジェンスの男たちがいた。「無条件降伏」以外譲ろうとしない米国、「国体護持」が認められなければ徹底抗戦しかないとする日本、両者相容れぬ緊張状態の中、在スイスの米OSS支局長アレン・ダレスの下で、とある諜報網が作られた。日本の陸・海軍武官、公使、国際決済銀行のスウェーデン人、亡命ドイツ武器商人……両政府の間を取り持ち暗躍する陰の主役達を描く。
感想・レビュー・書評
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スイスという国が動いてくれたのかと思っていたら、スイスにおいて日本と米国が直接終戦交渉?を行なっていてそれは、決して幻ではなく、実際にポツダム宣言の発出その受諾まで大きな影響を及ぼしていた。
知らんし、そんな話。
日本の歴史、特に近代の教育は、本当に間違っていると改めて思う。
アメリカも一枚岩ではなかった。そこをロシアに付け込まれた部分もあるんだけど、色んな人が自分の信じる道を進もうとするのは、やはりこの国のいいところだと思う。
日本は、やっぱり陛下あっての日本だ。
ロシアは酷い。過去現在、恐らく未来にあっても。
有馬先生、いつもありがとうございます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふむ
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東2法経図・6F開架:210.75A/A72s//K
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【終戦への底流】日本が敗戦に到るまでの日米間の交渉において,決定的な役割を果たしたスイス諜報網。終戦の条件やタイミングに関し,いかなるルートを通じて意思疎通がなされたのかを,日本だけではなく,欧米の資料にも当たって発掘した作品です。著者は,『日本テレビとCIA』等,終戦期に関する優れたノンフィクションを世に送り出している有馬哲夫。
戦争を終わらせるための外交的闘いを余すところなく描いた傑作。ある程度の予備知識を必要とする一冊ではありますが,一度回り始めた戦争という大車輪をどのように人間が止め得るのかを考える上で参考になりました。また,自分が思った以上に,アメリカは日本の敗戦をソ連との関係の中で眺めていたことに驚きを覚えました。
〜ソ連とさまざまな取り決めをせず,ポツダムを去ってしまうということは,ソ連の軍事行動に対する歯止めは,アメリカの軍事力しかないということを意味する。であれば,アメリカの軍事力の優越性を見せつけるためにも原爆の絶大な威力をソ連に見せつける必要がある。となると,融和的な降伏条件を示して,日本に降伏されては困る。ソ連に原爆の威力を示す機会が失われるからだ。〜
安直ですが,コミュニケーションは大切ということ☆5つ -
以前、「昭和史を動かしたアメリカ情報機関」を読んだ時、アメリカの終戦工作は成功したと書かれていたことに違和感を持った。それは本書冒頭に書かれている「藤村工作」を、自分も知ってい(信じてい)て、スイスでの終戦工作が成功したとは思えなかったからである。ところが本書では、まず一般に膾炙しているこの「藤村ストーリー」がフィクションであることを喝破する(→吉田満「戦艦大和ノ最後」に通じる)。そしてスイスでは「藤村工作」とは別に、というよりは複数ルートで日米終戦工作が進められていたこと、そして最終的には「藤村工作」を含めて外務省・陸軍省ルートに一本化されたことを明らかにする。そして、そのルートを通じて得られた情報は、外務省を通じて天皇にも流されたという。そして、これが「朕には確信がある」というあの言葉につながったというのだ。こうしてみれば、たしかにアメリカの終戦工作は成功したと言っていいように思われる。
「昭和史を動かしたアメリカ情報機関」「アレン・ダレス 原爆・天皇制・終戦をめぐる暗闘」参照
以下、引用省略。