ヒトはこうして増えてきた (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037733

作品紹介・あらすじ

何が人類をここまで激増させたのか? 20万年前、アフリカで誕生したわれわれは穏やかに増えていくが、つい最近、突然の増加をみた。農耕が始まった約1万年前のわずか500万人が、文明が成立し始めた5500年前には1000万、265年前の産業革命で7億2000万となり、2015年には72億人に。そしてこの先どう推移するのか? 人口という切り口で人類史を眺めた新しいグローバルヒストリー。

感想・レビュー・書評

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  • 20万年前に人が発生してから現在までの世界の人口の変遷を、いろいろな角度から切り取って解説している。
    説明は丁寧なのだが、数字が漢数字で記述されており、なかなか頭に入ってこない。自分だけだろうか?

    • 新鮮なカキさん
      自分もそう思いました。今の時代、漢数字ってただ読みにくいだけな気がします。
      自分もそう思いました。今の時代、漢数字ってただ読みにくいだけな気がします。
      2024/02/27
  • 20万年前に誕生したヒト.学校で習ったのはネアンデルタール人よりやや進化したヒトがアフリカで生まれた話だったと記憶している.遺跡から発掘された資料から凄いことが分かるようになったのには驚いた.様々な感染症で凸凹があった過程や,食糧の増産が図れたことによる人口増加が,数多くの資料を引用しながら説明されている.

  • 過去20万年の人口が増えてくる過程を振り返って、どのような要因があったかをまとめたもの。
    狩猟採集から農耕、牧畜、産業革命、緑の革命、衛生の促進と死亡率の現象、そして現代先進国の出生率の現象までを追う。狩猟採集でも火の利用、農耕でも原生種から栽培種の普及まで3000年位かかっている、また牛などの家畜化およびその利用もなど意外と進歩は遅い。
    近代の産業革命以降の変化及び人口増加率の激増は大きい。人口保持力は上がってはきているが、今後については、100億人前後でそれなりの幅を持った予想が出ている。

  • ホモサピエンスが出現してから約20万年間の人口推移をまとめた作品。人類の移動の歴史や生活様式の変遷などと絡めて解説しているので、非常に楽しくわかりやすい。

    人口増加の第一歩となったのは、アフリカで誕生した人類の祖先たちが、同じホモ属であるネアンデルタール人たちとの競争に打ち勝ち、生息範囲を広げた事である。もともと狩猟採集民だった祖先たちは、移住を繰り返し肥沃な土地を見つけ定住を始めた事が、さらに人口を増やす要因となった、ちなみに定住生活を始めた1万2千年前頃の推定世界人口は500万人だったらしい。

    それが今では加速度的に人口が増え続け現在は72億人、産業革命の頃から10倍になってしまったのである。研究者や国連が推計した地球の人口支持力は120億人らしい、ちなみに今のペースでは2060年に100億人を突破する言われている。我々の孫やその次の世代にツケを残さないよう、環境問題や途上国への支援など、今まで以上に真剣に取り組むタイミングなのではないかと思う。

  • ふむ

  • 2015.10.03 HONZより

  • 内容紹介

    何が人類をここまで激増させたのか? 20万年前、アフリカで誕生したわれわれは穏やかに増えていくが、つい最近、突然の増加をみた。農耕が始まった約1万年前のわずか500万人が、文明が成立し始めた5500年前には1000万、265年前の産業革命で7億2000万となり、2015年には72億人に。そしてこの先どう推移するのか? 人口という切り口で人類史を眺めた新しいグローバルヒストリー。

    内容(「BOOK」データベースより)

    20万年前、アフリカで誕生したわれわれは穏やかに増えていくが、つい最近、突然の増加をみた。農耕が始まった約1万年前のわずか500万人が、文明が成立し始めた5500年前には1000万、265年前の産業革命で7億2000万となり、2015年には72億人。そしてこの先どう推移するのか?人口という切り口で人類史を眺めた新しいグローバル・ヒストリー。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    大塚柳太郎
    1945(昭和20)年、群馬県生れ。東京大学理学部生物学科(人類学課程)卒、理学博士。専門は人類生態学。東京大学大学院医学系研究科教授、国立環境研究所理事長を経て、自然環境研究センター理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

    目次

    第1章 賢いヒト―二〇万年前=五〇〇〇人?
    ヒト前史 ヒト化
    狩猟採集という生き方
    適応を測る
    出生と死亡からみるヒト
    第2章 移住―七万年前=五〇万人?
    地球全域への移住
    狩猟採集民としての過適応
    第3章 定住と農耕―一万二〇〇〇年前=五〇〇万人
    定住と農耕の開始
    農耕の起源と伝播
    残されたフロンティアへ
    農耕による生存基盤の拡充
    第4章 文明―五五〇〇年前=一〇〇〇万人
    文明がもたらす功罪
    コア・ユーラシア
    二回の「人口循環」
    現代の幕開け
    第5章 人口転換―二六五年前=七億二〇〇〇万人
    ヨーロッパではじまった人口転換
    日本―ユニークな軌跡
    二〇世紀半ば以降―激動する人口
    最終章 現在―二〇一五年=七二億人

    動画も配信中!
    2016年10月に購入した本→https://www.youtube.com/watch?v=Je4YkmutDYo

    本の感想
    (オフィス樋口Booksより転載、http://books-officehiguchi.com/archives/4744018.html

    ヒトが誕生して約20万年と言われているが、この本は20万年の間の人口増加の変遷について分析した本である。旧石器時代・縄文時代・弥生時代におけるヒトの平均寿命は30歳前後でる。狩猟・移住の生活で疾病にかかりにくいというのが意外だった。弥生時代になると定住を始めると同時に感染症にかかり始めたのも意外だった。

    人類の歴史で、世界中の人口が7億人程度になったのがイギリスでの産業革命の頃で、わずか数百年で72億人になったと言われている。今後、人口爆発が起こるのかどうか、人口の増え方について注目したいと思う。

  • 内容は人口史にとどまらず、人類の進化と拡散、農耕や文明の歴史に及ぶ。

    ハッサンは、バイオームごとに生息する有蹄類の重量から、更新世最終盤のヒトの人口支持力は1000万人だったと推測した。実際の人口は、その5〜8割と考えるのが妥当。狩猟採集社会か農耕社会かを問わず、多くの人々が密集して集住すると、社会の階層化が始まった。

    3200年前、フェニキア人が順風でなくとも航海できる帆船を建造し、地中海とアラビア海で活発な交易活動を開始した。インドでは紀元前1000年頃から鉄器が用いられるようになって農業生産が高まった。中国でも、周王朝が衰退しはじめた紀元前8世紀から鉄製の農具やウシに曳かせる犂が普及し、農業生産が急速に向上した。中国では220年に後漢が、ヨーロッパでは西ローマが476年に滅亡したため、世界人口は200年頃から500年頃まで停滞あるいはわずかに減少した(第一の人口循環終了)。

    500年から1400年まで続いた中世の人口循環には、世界人口は1億9000万人から3億6600万人に増加した。人口増加は1000年頃に加速し、1200年代に減少が始まった。鉄製の斧や牛馬に引かせて深耕するための重輪犂、蹄の損耗を防ぐ蹄鉄が農民の間に広く普及したこと、ヨーロッパでは、11〜12世紀に三圃式農法が普及し、品種改良によって小麦の収穫率が3倍未満から5倍に増加したこと、中国南部でも11世紀初頭に、日照りや虫害に強くやせた土地でも生産性が高いベトナム原産の占城稲が導入され、二期作やムギとの二毛作が可能になったこと、中国北部でも、1〜2世紀にシルクロード経由で伝えられたコムギとアワの二毛作が行われるようになったことが人口増加の要因。13〜14世紀には、モンゴルの騎馬軍団が戦闘を続け、ヨーロッパでは14世紀にペストの流行で人口が減少した。

    15世紀以降の現代の人口循環のうち、17世紀前半は長期にわたる戦争と社会的な混乱によって人口は伸びなかった。中東ではオスマン帝国が勢力を伸ばし、ヨーロッパでは宗教対立による30年戦争が起き、中国では明王朝が衰退して後金ののち清朝が成立した。ヨーロッパと中国ではペストも流行した。18世紀には、南北アメリカ大陸への移住と、アフリカ人の強制移住が本格化した。

    一方で、イギリスでは18世紀に死亡率と出生率が変化する人口転換が始まった。四輪作(オオムギ、クローバー、コムギ、カブ)への転換、農具の改良、畑作と畜産の連携などが進み、コムギの収穫率も10倍を超えるようになった。18世紀半ばには産業革命が起こり、増加した農村人口を吸収していった。産業構造が農業から工業へ移ったため、子どもを多く持つ必要が減り、逆に子どもの教育に必要な費用が増加したことが、出生率が低下した要因としてあげられる。

  • 江戸時代の講義を受けていた最中だったので江戸時代の人口の増減について知りたくてこの本を手にした。地球規模の人口の増減史をわかりやすく述べてくれている。
    文明が一次産業から二次産業に移りそれが定着するとどの国も出世率より死亡率が上回るようになることがよくわかった。少子高齢化は女性の晩婚高学歴化だけが原因ではなかったのだ。どうも産業が進むと教育を受ける期間が長くなりしかも教育費にお金がかかるため自然と出生率が抑制されていくらしい。政府のお役人にも読んでほしい本。

  • こういう本を読めるのは幸せだと思いながら読み進めるのは久しぶり。

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著者プロフィール

1945年群馬県生まれ。東京大学理学部卒業。同大学院理学系研究科修士課程修了。理学博士。国立環境研究所理事長を経て、現在、一般財団法人自然環境研究センター理事長。東京大学名誉教授。著書に『熱帯林の世界2 トーテムのすむ森』『ヒトはこうして増えてきた』編著に『講座地球に生きる3 資源への文化適応』『生活世界からみる新たな人間─環境系』共著に『地球人口100億の世紀』『人類生態学』など。

「2019年 『興亡の世界史 人類はどこへ行くのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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