日本の少子化 百年の迷走: 人口をめぐる「静かなる戦争」 (新潮選書)

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著者 : 河合雅司
  • 新潮社 (2015年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037795

日本の少子化 百年の迷走: 人口をめぐる「静かなる戦争」 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • 日本の出生数の減少に歯止めがかからない。どうして日本はこんな状況に陥ってしまったのか。文明の成熟を理由とするなら、なぜ先進各国の中で日本だけが特異な状況であるのか。これらの疑問を解くヒントが年間出生数の推移表にあった。戦後のベビーブームが産児制限(調節)という国策によって3年で終わらせられていた。そこにはGHQの巧妙な仕掛けがあった。日本が戦争に突入した原因の一つを戦前の人口過剰と考えていた米国は、日本の産児制限を合法化すべく加藤シヅエを利用し優生保護法を成立させたのである。

  • 一見、GHQが日本民族消滅を企図していたかのような書きぶりだが、読んでみたらアオリほどに挑発的な内容ではなかった。むしろ日本政府の人口政策の迷走ぶりが痛々しいほど。歴史の闇に光を当て新たな真実を炙り出した労作だがそれだけに終わっているので、これ単体で見ると「だから何?」と言えなくもない。ここから力作「未来の年表」に繋がっていったのだと思えば感慨無量。

    2017/6/24〜6/25読了

  • 人口問題は現在のことではなくかなり先の将来の問題。よってこの問題ほど長期スパン、歴史でみる意義のある分野もない。本書は日本の人口問題が戦前、戦後、現在とどのような変遷を経て、ついには目の前の大問題になってしまったのかを紐解いていく。

    時系列で見ていくと、安定的だった江戸時代の日本の人口を"富国強兵"の国策が膨張とも言える人口増加にしていく。日露戦争での勝利をきっかけに欧米列強が日本の国力増加と人口膨張に危機感と警戒感を強め、何かと日本に人口抑制のプレッシャーを与えてくる。そういった圧力や、マルサスの人口論のブーム、また大正デモクラシーなどによる自由な雰囲気を受けて大正から昭和初期にかけては人口抑制政策が取られるが、軍国主義の台頭により戦後直後までまたしても「産めや増やせよ」となっていく。(そして「産めよ増やせよ」政策が軍部のイメージと重なって戦後の政策決定に悪影響を及ぼし続けた)この頃の注目すべきこととしては大正9年に既に日本の人口増加はピークを迎え、昭和16年時点で行われた昭和50年と昭和100年時の予測において人口や高齢化の構成をほぼ正確に予測していることである。

    戦後は植民地からの復員や平和によるベビーブームの到来により日本の人口は再び爆発するが、これに対して戦後直後の食糧不足やGHQの巧妙な誘導、あるいは民主主義の浸透などによって日本人自らが人口抑制政策に傾き、現在までに続く"優性保護法政策"が実施され、ベビーブームも数年間で終わりを告げた。その後、日本は人口が抑制された恩恵としての"一人あたり豊かさ"を大いに享受し、さしたる人口増加対策は行わず時が流れ、最後の人口増をやりうる時代であった団塊ジュニア世代の出産時期も政権の混乱や民主党の政策変更などにより時期を逸し、完全に遅きに失した状態の中で近年自民党政権が本腰を入れて人口増加対策を行おうとしているという経緯である。

    この本で思うのは、日本の人口政策に欧米列強との暗闘がかなりあったという本題もさることながら、人口は長期の人の価値観の変化にダイレクトに影響されるのでちょっとやそっとの対策ではほどんど効果がないことと、人口をいじるとかなり先の将来に罰が下るということである。無力感にさいなまれているだけでは前進はないが、それにしても難しい問題である。

  • 論理の根拠がとても詳細に調査されたもの。
    産経新聞のコラムで「もし、優生保護法が成立せず、堕胎が行われていなければ」を視覚化したグラフに感銘して借用予約したものと思う。
    しかし、本書を手にして、絵や図がほとんどなく、段落替えも少なく文字がびっしりのページが300ページもつづくことに、少々いやけがさしてしまった。
    目次を読んで、主旨は新聞コラムと同等と思い、読むのを第1章のみ(77ページ)で中断した。

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日本の少子化 百年の迷走: 人口をめぐる「静かなる戦争」 (新潮選書)の作品紹介

今日の深刻な少子化は、「人口戦」の敗北から始まった――。日本の人口の減少速度はこれからさらに加速し、毎年数十万人単位で減り続けることになるという。戦争でもこれほどまでの急減をもたらすことはないだろう。一体なぜ、ここまでの惨状を招いてしまったのか? ――実は、そこには国家の衰退を根幹から導くよう、他国より仕掛けられた「静かなる有事」が存在した。驚きの裏面史。

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