宇宙からいかにヒトは生まれたか (新潮選書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037818

作品紹介・あらすじ

いつか人類が滅んだとしても、地球の上では、生命の進化は続いていくのだ。私たちはなぜここにいるのだろうか? 宇宙は人類のために誕生したのではなく、たまたま地球がヒトの生存に適していただけなのだ。人間を中心とした地球史観を排し、宇宙創成のビッグバンから地球の誕生、そして生命が生まれ進化していく様を、生物と無生物の両方の歴史を織り交ぜながらコンパクトに描いた初めての試み。

感想・レビュー・書評

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  • 138億年前の宇宙誕生から、目がくらむような果てしない物語の中で、いかにヒトは生まれたか。
    宇宙・地球・生命の壮大な物語は大変面白かった。

  • 更科さんの本を読んだ中では3冊目。
    いずれも進化に関する著作だが、今回は、138億年前の宇宙の始まりから10億年後の地球上の生命体の滅亡まで、ととりわけスケールの大きいおはなし。

    カンラン岩、玄武岩、花崗岩、と地殻を構成する岩石の組成が変遷していくメカニズムとか、何も知らなかったので、面白かった。

    P261 最終章 最終段落
    ヒトが絶滅しても、何事もなかったように地球上では生物が進化していく。太陽系が消滅しても、何事もなかったように、宇宙は存在し続ける。そしてこの宇宙が消滅しても、何事もなかったように、他の宇宙は存在し続け、別の宇宙も生まれてくる。時間と空間を超越した、眼がくらむような果てしない物語の中で、一瞬だけ輝く生命••••••それが私たちの本当の姿なのだろう。

  • タイトルは「宇宙からいかにヒトが生まれたか」ですが、内容は宇宙の歴史です。ビッグバンから始まってヒトが誕生し、どうなるのかまでが、分かりやすく説明されています。これほど難しい話をここまで分かりやすく、かつ面白く解説してくれた著者に感謝です。最初から最後まで飽きることなく楽しい時間を過ごすことができました。

  • 第1部 宇宙の誕生(138億年前~)
    第1章 たくさんの宇宙/第2章 ビッグバン/第3章 太陽系の誕生
    第2部 地球の形成(45・5億年前~)
    第4章 地球と月の誕生/第5章 地殻の形成/第6章 大気と海の形成
    第3部 細菌の世界(40億年前~)
    第7章 生命の誕生前夜/第8章 生命の起源/第9章 初期の生命/第10章 光合成
    第4部 複雑な生物の誕生(19億年前~)
    第11章 真核生物の誕生/第12章 多細胞生物の出現/第13章 スノーボールアース
    第5部 生物に満ちた惑星(5・4億年前~)
    第14章 カンブリア爆発/第15章 生物の陸上進出/第16章 大森林の時代/第17章 恐竜の繁栄/第18章 巨大隕石の衝突/第19章 哺乳類の繁栄/第20章 人類の進化
    最終章 地球と生命の将来

  • 最高でした。宇宙の始まりから今日、そして生命の終わりまで。知りたいことがぎっしり詰まった一冊。でも、極めて分かりやすく読みやすい。宇宙物理学、惑星学?、そして、地球物理学+生物学、といった感じ。それぞれ別巻としてでも読みたいの本として気分。地球の作りや変化と生物の変遷の絡みが興味深く、かつ分かりやすい。でも、前半の宇宙篇も良い。とにかく一気読みしてしまいましたが、再度、じっくり読みたい一冊。P72の負のフィードバックなんか、唸ってしまいました。

  • いろいろ知らないことがあった。

  • ☆最初の光合成は酸素を出さなかった。ラン藻による酸素放出の結果、生物の大量死が発生した。

  • 人間って何シリーズ。地球科学の博士号を持っている生物学者の本。宇宙や生命がどのように誕生(あるいは絶滅)し、進化・退化し、現在に至っているのかということがとてもわかりやすく、短くまとまっている。生命科学版サピエンス全史といったところ。考えてみれば、宇宙や地球・そして生命のことなんて、地球科学メイン、物理学メイン、生物学メインだけでは描けないはずで、その意味でこの本は複合的・横断的に学ぶことができる良書。

  • 2018/11/18 詳細は、こちらをご覧ください。
    『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → https://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-922.html

    著者の こちらの本を読んだら面白かったので、次は本書を読みます。
    化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)
    更科 功
    講談社 ( 2012-07-18 )
    ISBN: 9784062881661

    2018/9/26 借りて読み始める。 読み終わる。
     

  • 宇宙・地球誕生からヒトの繁栄まで一気通貫にやっている
    億年単位の時間がかかったとはいえ、よくもまあただの化学物質からここまで発展したものだと感動を覚える。
    負のフィードバック効果で気温が上がると二酸化炭素は減っていった
    酸素は猛毒だが高いエネルギー生成には欠かせない
    最終祖先ルカ
    適応放散
    などの話が印象に残った

  • 真実をありのまま見ることは時に残酷だ。

    ロマン・ロランの
    「世界に真の勇気はただ1つしかない。世界をあるがままに見ることである。そしてそれを愛することである」
    とあるが、

    地球は奇跡の星でも、
    母なる大地でもなく、
    永遠に続くものでもなく、
    40億年の地球の生物の歴史において、人類で200万年以上に渡って存続した種はいない。

    人類が消滅しても生物は存在し、太陽系が消滅しても、宇宙は存在し、宇宙が消滅しても、別の宇宙は存在し、この果てしない物語は続く。

    そうした世界をありのままに見つめ、愛すること。
    それは勇気だなと感じさせる著書。

  • たまたま地球環境がヒトの生存に適していただけだ

  • 約270ページで、宇宙の誕生からヒト(ホモ・サピエンス)がこの地上に存在するまでの歴史を語ってくれている。コンパクトだけど、濃密であり、かつ“特異な視点”での語りもあり大変面白かった。
    (「地球史学」という過ぎ去ったことだけど、人類がその叡智を使って少しづつ解明していくという分野はロマンを感じる。そこには研究者の解釈の幅が効かせられる範囲があるから)

    では面白かった点をもう少し具体的に語ろう。
    ひとつは①科学者のものの見方が、われわれ一般人とは違うところを感じながら読めたこと、
    その代表的なところは、世の中にある現象を「徹底した分類」によって整理して、理論立てていこうとする姿勢。 世の中のことの中にはまだ確証が持てないことが埋もれていてる。それを補いながらもその先のこと、その上のレイヤーの創造をしようと考えると、自らが納得し、人にそれを伝えないとならない。そのために、徹底して現象を分類し、整理し、それを理論で補う訓練をしてきているのが科学者の姿勢。感覚的、経験則を重視してここまで生きてきた私とは現象の眺め方が違う。
    そして「分類の根拠の追求」。これはうえにあげた理論のもとになるもので、幾多の仮説を立ち上げそれをひとつひとつ、徹底して検証していく姿勢でこちらはもの凄く地道なのを感じる。これらの、研究者や調査のことがこの本に語られているわけではないけれども、専門的なことを、短い言葉で分かりやすく説明している箇所に当たると、逆にその奥深さを感じてしまうものです。
    2つ目は②更科先生が何度か使っていた「ヒトはつい、自分の属するグループの方が優れているとら思いがちである」という一般peopleの誤った先入観を感じ取って、指し示す研究者たちの中での常識。
    あまり、研究者はこのような言葉を口に出さないように思っていた。(実際にはそう感じていたとしても)
    これは更科先生の特徴でもあるようだ。
    ③これは個人的な楽しさだったけど、「あとがき」の博士論文の審査での質疑のやりとりのシーンとその時の言葉「地球の謎を解くために、生物学でよく使う方法を使ったのです。だから私の研究は地球科学の研究です。」
    なんか、科学者という存在をいっきに身近なものにしてくれました。

  • なかなか興味深い内容だった。普段読まない分野は新鮮。

  • 原核生物と真核生物が地球に現れて,現在の人類が出てくるまでの歴史を語った壮大な物語.酸素が地球に現れて,それが地球上に留まったことで生物が生まれたと想定されるようだが,化石を詳細に調査して様々な説を作り上げるのは,膨大な知識と類まれなる想像力が不可欠だと感じた.古い説を新しい発見によって次々と修正している過程が数多く記載されており,非常に面白く読めた.p143の地質年代区分を見ると,46億年前から時代区分がなされており,何か神秘的なものを感じた.

  • 請求記号 450.2/Sa 69

  • 英語を読むのに大事なのは、頻出単語を知っていることよりも、その文章のテーマの中の重要なキーワードを知っていること。

  • あとがきにあるように前半は地球科学の話で、後半は生物学の話でありました。 たとえば「圧力が非常に低ければ、液体は存在しないのだ。宇宙空間の圧力はかぎりなくゼロに近いので、液体は存在できない。」「地球の中心部にある核は、鉄やニッケルなどの金属でできており、外核と内殻に分けられる。この外核にある液体の金属が動くことによって、電流が流れる。その電流が電磁石となって磁場を発生させ、地磁気として観測されるようだ。」は科学の話。「ラン藻の光合成による大気中や海水中における酸素濃度上昇が、真核生物の出現の必要条件になっていた可能性は高いだろう。」は生物学+地球科学の話。

  • 地球科学も生物学もまったく素養がないので、酸性雨、相転移等々、まず出てくる言葉が理解できないので大変でしたが、ネットで調べながら読みました。どこまで理解できたか怪しいですが、真核生物の起源をはじめ、分からないことだらけと記す著者の姿勢に好感を持って、ぐいぐい引き込まれてなんとか読み終えました。「生物(ヒト)というものは、生きるために生きている。存在するだけでも大したものだ。」その通りですね。

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著者プロフィール

更科功
1961 年、東京都生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業を経て大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学。現在、武蔵野美術大学教授、東京大学非常勤講師。『化石の分子生物学――生命進化の謎を解く』で、第 29 回講談社科学出版賞を受賞。著書に『若い読者に贈る美しい生物学講義』、『ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか―生物の死 4つの仮説』、『理系の文章術』、『絶滅の人類史―なぜ「わたしたち」が生き延びたのか』など。

「2022年 『人類の進化大百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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