オリエント世界はなぜ崩壊したか: 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智 (新潮選書)

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著者 : 宮田律
  • 新潮社 (2016年6月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106037900

オリエント世界はなぜ崩壊したか: 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

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  • 英仏などの策略の数々でぐちゃぐちゃにされたオスマン帝国.ミレット制という宗教の自由を標榜する国は寛容の精神を持った素晴らしい国だった.中東の歴史をあらためて学び直せる好著だが,何とか読破した.簡単にまとめることはできないが,1916年のサイクス=ピコ協定とレーガン時代の米国のイラン・コントラ事件が現在の混沌とした情勢を生み出した原因だと思った.

  • [緩やかなモデルの崩壊]「イスラム国」やシリア内戦,リビアやイエメンにおける危機など,多くの困難を抱えているオリエント地域。「寛容」によって秩序が保たれていた同地域の歴史を振り返りながら,処方箋を考えていく作品です。著者は,静岡大学で教鞭を取られていた宮田律。


    古代から現代まで,オリエント地域の歴史を概観するのに適した作品。他方,今日の中東が抱える問題の原因を,欧米やロシアの政策という点に落とし込み,解決策は「寛容」(というぼんやりとしたキーワード)にあるとしか言えないところに,中東の問題の根の深さを逆に感じました。

    〜イスラム世界と欧米が共存していくには,この両者の関係における「よかった過去」を思い起こすことが必要だ。もちろん「よかった過去」もあれば,「よくなかった過去」もある。いずれもが,人類がやって来たことであり,もはや否定することは出来ない。だからこそ求められるのは,そう「寛容」なのである。〜

    日本の中東研究を研究する上でも良い一冊かと☆5つ

  • シリア難民の問題、アフガニスタン、イラクの混迷などをもたらした歴史的背景は何か。それはイスラム教などではなく、産業革命以来のヨーロッパ諸国による中近東諸国への経済的侵略と収奪とである、というのが著者の主要な意見である。産業革命以前の中近東には、オスマン帝国をはじめとしてイスラム教に基づく「寛容」の文化と政治があり、互いに異なる宗教を奉じる多くの民族が平和のうちに共存していたというのである。それらが産業革命以後のヨーロッパ諸国の経済力及び武力に蹂躙され、恣意的な国境により分断され、ヨーロッパ諸国が経済的利益を受けるためにこれら中近東の部族、民族を互いに反目させるような操作を行うことにより、中近東には恒常的な争いが見られるようになった。そして今また、アメリカが泥沼に深く足を踏み入れている…。
     中近東、そしてモスリムにはなんとなく魅力があるとともに、なんとなくおそれも感じる、というのが一般的な日本人の考えではないだろうか。少なくとも私はそう感じる。本書は、日本人も含め、モスリムの歴史と地理、世界史における重要な役割を再認識させてくれる。なにしろ私は、シリアがどこにあるかさえよくわからなかったのだから恥ずかしい。イタリアに難民が漂着したりするのだから、なんとなく地中海をはさんでイタリアと向かい合ったアフリカ大陸のどこか、などと考えていたのだが、とんでもない誤解だった。シリア何人がトルコを経由してギリシャになだれ込むという理屈が、この本を見てやっとよく理解できた。
     現在の難民問題を論じようとしながら、アレッポの位置さえも知らない人は必読。なお、時間はかかるのだが、地図を見て都市を確認しながら読むことを勧めます。

  • 中東、そもそもの歴史から見つめ直すと言うこと、

    植民地世界を成立させたのは、植民者と被植民者、両者の接点は暴力である.
    脱植民地化の過程においては、植民者とのあいだで、交渉や平和的協定と言うのはありえない、

    文明人はヨーロッパ人だけか?

  • 現在のシリア・イラクやその周辺諸国の問題、また西洋諸国で相次ぐテロについて、古代オリエントからさかのぼり、その「オリエント」について概説し、現代社会が抱える問題の根本を探る。

    オリエントの誕生、興隆、そして、“産業革命”以降のオリエント社会の衰亡を、各章ごとに説明する。

    一貫しているのは、オスマントルコ帝国に代表される、オリエント世界の「寛容さ」である。


    「寛容さ」があった時代(国家)と「寛容さ」を失いつつある現代(多くの国家)を痛感する。

    現代の欧州の文化の基礎となっているのは、優れたオリエントの文明を享受したからである。

    そして、戦乱時には、ギリシアやハンガリーなどの国々から、時にユダヤ人、キリスト教徒も、その「寛容さ」で受け入れ、宗教歴、人種的な差別もなく支援した。

    果てして、現代世界はどうか?



    いろいろ多くのことを知る本となった。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=8154

  • 東2法経図・開架 227A/Mi84o//K

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オリエント世界はなぜ崩壊したか: 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智 (新潮選書)の作品紹介

中東情勢を「そもそもの歴史」から見つめ直せば、私たちの進むべき道が見えてくる。メソポタミア文明から現代まで。〈中東=オリエント〉が辿った長大な道を知った時、きっと気付くであろう、かの地の人々が争いの中に必ず和平の「叡智」を生み出していたことを――。いまだ止まないテロと戦争。複雑に絡み合う民族と宗教、領土と資源。人類に突き付けられた「最大の難題」を根源から理解するための歴史大河。

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