経済成長主義への訣別 (新潮選書)

  • 32人登録
  • 3.57評価
    • (1)
    • (3)
    • (2)
    • (1)
    • (0)
  • 3レビュー
著者 : 佐伯啓思
  • 新潮社 (2017年5月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106038020

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
又吉 直樹
瀧本 哲史
宮下 奈都
有効な右矢印 無効な右矢印

経済成長主義への訣別 (新潮選書)の感想・レビュー・書評

  • 戦後, 現行資本主義の総点検というような形式で, 幾多の言論人によって経済成長志向批判がなされてきた。特にこの幾十年の日本に至っては, もはや成長することはないという悲観論が蔓延する。米国の経済学者ラリー・サマーズは, 世界の停滞的な概観を長期停滞仮説として呼称するが, 著名投資家レイ・ダリオは長期債務周期仮説, つまり蓄積された巨大な債務の時間生物学的周期をその一因に挙げる。

    ところで, 人類学的土壌に視点を展開させてみると, そこには未だ数え切れないほどの単位効用拡大の余地がある。経済, 安全保障, 都市空間などの各系統における免疫機能の強化, 人口問題に際する持続可能な食糧生産性の向上, 地球工学の可能性, ますます個体間の平等意識が強化されるなかで膨張する主観的格差の認知から生成される大衆的欲求不満における認知機能補完の進展, 淘汰, 散逸構造的文化の維持/進化。
    現行市場経済を完全に否定しない者は, 何も経済成長を至上とし, 寝倒れスピリットを悪しきとしているのではなく, 経済系の自生的秩序とともに生み出されるパレート改善性に重点を置く。ただし, その過程において, 何らかの現実的な統治の倫理が要求されるであろう。

    経済成長に否定的であるという自己認識は, その悲観的な様相が行為の前成計画としての信念体系に作用し, 本来行わなければならない包括的生産性の改善をも阻害する自己充足的予言の悪しき効用を肥大しかねない。本来, 一先進国の自然的帰結として, 製造業から脱却し, 脱工業化を行う必要があった日本という構成員が, 世界経済から人員整理されてしまう負の循環の再始点とならなければよいが。

  • 思想家佐伯啓思の脱成長・主義がよくわかる本。

    価値を変えなければ本質的なところでは何も変わらないのであろう。中間社会、善き生、多様性の承認、などは、障害のある子どもの教育の問題を考える上でも重要だと思う。

    様々な新たな考え方や理念や制度構想がされているが、根底にある価値観が近代から固定化されていれば、大きな変化は見られないのではないか。

    序章と終章だけでも繰り返し読みたい。

全3件中 1 - 3件を表示

経済成長主義への訣別 (新潮選書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

経済成長主義への訣別 (新潮選書)を本棚に「積読」で登録しているひと

経済成長主義への訣別 (新潮選書)の作品紹介

非難すべきは、資本主義ではなく、経済成長主義なのだ。私たちは実に大きな「誤解」をしている。経済成長が人々を幸福にする――という思い込みだ。すでに到達してしまった豊かな社会でこれ以上の成長至上主義を続ければ、人々の「ふつうの生活」は破壊され続けるだけなのだ。日本を代表する社会思想家が、「人間にとって経済とは何か」を根本からとらえ直した圧倒的論考。

経済成長主義への訣別 (新潮選書)はこんな本です

ツイートする