麻布中学と江原素六 (新潮新書)

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著者 : 川又一英
  • 新潮社 (2003年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100321

麻布中学と江原素六 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 出身校の創立者だから江原素六の名前と胸像は入学した時から知っているし、沼津にも縁のある人だということは知っていたが、そこから先のことはほとんど知らなかった。沼津の学校と麻布の時間関係も含め。
    麻布が東洋英和から独立するに至る経緯も、よくわかった。文部省の訓令の影響を受けたのは他のミッションスクールも同じであったが、同じ道を歩んだところはないようだった。
    筆者は他の私立一貫校の出身のようで、それ故に麻布を買いかぶっているところもあるように思うが、江原素六が稀な資質を持つ人であったことは間違いなく、その色が今につながっているというのは言われる通りなのだろうと思う。

    この本は、麻布と縁のない方から薦められた。このような教育者があったことを知るために、よい本だと思う。

  • 麻布中学校と言えば、男子御三家の一つとして有名な学校である。その中でも、他の二校-開成中・武蔵中-と異なる特色として、いい意味でも悪い意味でも自由闊達な校風(「ズバ抜けて自由な中学」)を持つ学校であることが知られている。本書は、麻布中学校の創立者である江原素六に焦点を当て、こうした校風がいかに形成されていったのかを論じたものである。

    やはり面白いのは江原素六という人物である。元は幕臣であった江原は、明治という時代を「敗者」の一員として歩み出す。この経験は、彼が「官」に対する「私」を強く意識するキッカケとなり、後に「江原の反骨精神=リベラリズム」(p.125)へと発展し、麻布中学校の校風を形成する根幹となったと指摘する。私も本書を読んで、キリスト教信者でありながら、最終的には伝道会社から独立して麻布中学校を設立した(江原の)「柔軟な思考」(p.11)や、教育勅語でさえ不変のものとは捉えない「合理主義」(p.124)の根幹には、幕府の崩壊という価値観の大転換を当事者として目の当たりにした彼の経験があったのではないかと思った。

    最後に、麻布の「自由」については「自治と独立自尊の徳に裏づけられたものでなければならない」(p.171)とまとめ、それこそが麻布中学校が校風としてきた「江原精神」であると指摘する。これが今日でも守られているかはさておき、麻布の原点を確認するという意味でも、また、学校の沿革を知る上でも、本書は(トリビアも多く)なかなか面白い一冊であった。

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