- Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106100420
作品紹介・あらすじ
高倉健を魅了してやまないバーバーショップの接客の極意。お客の心まで揉みほぐすゴッドハンドをもつマッサージ師。絶妙な間合いで宿泊客を安心させる温泉カメラマン。北海道を訪れる有名人御用達のタクシー運転手の心技-。平凡なれど非凡。名もなき達人たちのプロフェッショナルなサービス、お客の心を虜にするサービスの真髄とは。
感想・レビュー・書評
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「5日から一週間でなじむようになって、そのスタイルがなるべく長持ちするように切るんです。髪の毛は一日に約0.3ミリ伸びると言われています。ですからその人が次に来るのが三週間先なのか、それとも一ヶ月先なのかを考えて、それに合わせて切るんです。」
彼のスタッフも相当な技量は持っているのだが、佐藤さんとは決定的に鋏の音が違うのだ。一体どこが違うのか。
違いは一つだった。佐藤さんは鋏の先端を大きく開いて、ばっさり、ばっさり、切っていく。鋏を大きくゆっくり動かしていく。それに対して他の人は鋏を少し広げてしゃきしゃき切っていく感じだ。鋏を動かす回数が多いから神経質な動きに思えてしまう。
それにしても、鋏を開く幅にしてわずか二センチほどの違いである。しかし、その二センチが名人と普通の人を分けるのだ。
私は彼らがやったことの中でもっとも大事なことは「食べる人と話をしたこと」だと思う。レストランのシェフは基本的に客の前には出てこない。しかし、家庭で料理を作るお母さんは家族の顔を見ながら、話をしながら献立を決める。彼らの料理が客に受け入れられるようになったのは調理技術が進歩したのではなく、客の意見に耳を傾けたからだ。
「たとえばほうれん草のおひたしひとつ取っても、入居者が望むものは和食屋のおひたしとは違うんです。和食屋では色にこだわります。そしてゆでた後に、出汁のなかに泳がせます。でも入居している人たちが食べたいおひたしとはゆでたものをぐっと絞っただけでいい。そこに醤油をかければそれでいいんです。冷奴もそうでした。絹ごし豆腐でなく、木綿がいいという人の方が多かった。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サービスについて知りたくて読書。
相性が悪いのかちょっと頭に入りづらい文章だったが面白く読書させてもらった。最後のゴットハンドとタクシードライバーの話が印象に残る。
日本でタクシーは数えるほどしか乗ったことがないのだが、こんなタクシーへ乗ってみたいなと思う。タクシーの空間は一種独特のため今でも苦手。ドライバーが饒舌すぎるのも好きではないし、ズーンと重苦しい雰囲気も氣まずい。その辺りの客の心理を察し、努力した結果、リピート客から指名を受けるドライバーになったのだと思う。
お客と適切な距離を置くこと。自分の態度が変わるのが怖いのであえて客の職業やプライベートなことは聞かない。客の情報を外で話さない。これを30年以上自分へ課して徹底してきたらしい。日本人らしい気配りと心遣いを感じる。
読書時間:約1時間35分 -
高倉健インタヴューズからのリファレンス。 ケンさんが足繁く通う床屋さんの話に始まり、至極のサービス哲学数珠繋ぎですわ。
共通して言えることは、嫌いな客は取らない、心も込められないやり方は選ばない。 そういう一見矛盾するようなマイペースで、サービスの天才たちは、その中に秘めたる菩薩が正しく機能するよう、守ってきているような印象を受けました。
一点、特異に見える章立てがものすごく印象づよい、種牛「糸福」のエピソードが凄くツボで。思わず東京の知人に、西新橋は和牛の殿堂「ホーン」さんの視察を依頼してしまいました。 -
職人が選ばれる理由、それは全員を対象にするのではなく、自分もお客さんを選んでとことんこだわっているから。キャディ、タクシー運転手、床屋、それぞれに居心地の良さが最高のサービスを作ってる。
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このシリーズを逆順で読んでいる感じになってしまっている。
こちらで紹介されている中では北海道のタクシー運転手さんが注目ですね。自分でも乗ってみたいなぁと思う。あ、もちろんゴッドハンドも。
営業数字という結果でのメトリックはあるけど、それ以外の数字で現れない部分のすごさがこういう達人たちにはなにか潜んでいるのでしょう。
自分もその領域に達したいです、分野は違えど… -
店舗改装で喫煙席がなくなってしまったので最近では立ち寄ることも
なくなったのだが、仕事へ行く前にファスト・フードで一服していた。
そこの店員さんは早朝の常連客の注文品をよく覚えてくれていた。
夏場はアイスコーヒー、冬場はホットコーヒーを頼んでいた。砂糖は不要。
それをきちんと覚えていてくれて、いちいち言う必要がなかった。スマイル
0円だけど、こんなサービスも0円なんだよな。
本書で取り上げられているのは、床屋・キャディ・マッサージ師・タクシー
ドライバー等、客に心地いいサービスを提供している人たちだ。
相手の立場になってみる。サービスの極意はここにあるのだと思う。
しかし、これはなかなか難しい。私自身、電話対応という仕事の中で
本当にお客様の立場になっているかと問われたら、大きな疑問符が
つく。
なかでも千葉県にあるゴルフ場の話は為になった。メインで取り上げられ
ているのはキャディさんなのだが、過剰なサービスは嫌らしいという
このゴルフ場全体の考え方がいい。
いるよね、サービス業に携わる人でお節介を焼くのがサービスだと
勘違いしている人って。やたら話しかけて来る美容師とか、自由に
商品を見せてくれないショップ店員なんてその典型かも。
お客様にリラックスしてもらう。これがサービスの根底にあるものな
のだよね。しかし、怒り狂って電話をして来るお客様にリラックスして
もらうのはかなり難しい。精進しなきゃ。笑。 -
職人として生きていくのが難しくなっている現在の日本,サービス業に従事する人間として技術に磨きをかけて生きていくことが要求されています。サービスの天才たちの仕事はいかに!?サービス業にありがちなマニュアルを読むよりも考えさせられます。
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サービスの天才って何?
すごいご贔屓がいるってことなのかもね。
万人に受けるってのもそうかもね。でも一部でも熱狂的に支持してくれてそれで生活ができればサービスの天才かもね。
楽しんごなんかもきっとそうだね。