エルメス (新潮新書)

  • 144人登録
  • 3.14評価
    • (3)
    • (10)
    • (40)
    • (4)
    • (2)
  • 26レビュー
著者 : 戸矢理衣奈
  • 新潮社 (2004年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100512

エルメス (新潮新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 平均年収400万円の旅館がある。サービス業界にあっては、特異な存在といえるだろう。
    神奈川は鶴巻温泉に陣屋という旅館がある。旅館としては珍しく、定休日が週に2日ある旅館だ。客単価は4万5千円となっており、高い生産性を誇る事例として先日、日経新聞に紹介された。

    エルメスは、誰もが知る高級ブランドだが、非常に高価なことでも知られている。
    100万円近くするバッグも珍しくない。

    両者に共通するのは、ターゲット戦略の巧みさである。
    陣屋は、休日を増やしながらも、非日常に対価を支払うシニア層にターゲットを絞り企画を充実させることで業績を回復させた。

    エルメスの凄いところは、その誕生から今まで、そしてこれからも巧みなターゲット戦略を取り続けているところにある。

    あるときは、「ケリー」でお姫様願望を持つ主婦層をくすぐり、あるときは、「バーキン」で働く女性たちを刺激してきた。エルメスをエルメスたらしめているのは、とにかく高い品質であるとのことだが、その女性を虜にするネーミングセンスも突出している。

    また本書を読むと、エルメスがいかに京都をはじめとした日本の伝統文化に影響を受けているかが、分かる。スティーブジョブスが禅を愛し、極限まで無駄を省いたデザインで人気を博すiPhoneを生み出したように、エルメスも日本の伝統文化をデザインとして洗練させ商品化することに成功している。

    日本人はもっと足元の魅力に気づきそれを活かしていかないと、逆輸入された舶来品に
    右往左往しつづけることになるのかもしれない。

    エルメスという圧倒的なブランドへの理解を深めることは、様々な分野のビジネスにおいてもヒントになるが、そもそも自分の国の魅力に気づくことから始めないといけないのかもしれない。

    余談だが、エルメスとルイ・ヴィトンの違いは、どこか京都と東京の魅力の違いを思わせるところがある。実際に、LVMHトップのアルノーさんは、東京の10代女性のファッションを見学に日本を訪れたりするらしい。

    一方で、一見さんお断りだが、ひとたび入り込むと抜け出せなくなる。
    エルメスと京都の魅力は似ているのかもしれない。

  • プレミアムブランドが、こんなにもグループ化してしまっていたのに、驚きだった。デュマ氏の、「今後、数十年間を通じて、伝統的工芸品であるわが社の商品をいかに残していくか、ということが最大の課題である」という言葉、実際の職人の保護育成の取り組み、教育活動、メセナ活動など、エルメスの商品を支えているのは、こういった背景なのだな、と非常に興味深く読んだ。

  • 2016/1/24 1

  • エルメスはマーケティングをしていない!というエルメス側の強い主張が印象的。売れるために何かをわざわざやってるのではなくて、最高のものを作っているだけなんだそう。それこそがエルメスのブランディングと言えそう。

  • エルメスの経営史・事業戦略などを分析することで、その成功要因を明らかにする本。同時に、日本人の中でエルメスが受け入れられるようになった推移も考察している。
    本書ではその成功要因を
    ①ブランドの原点となる「アイデンティティ」の明確さ(アイデンティティの構成要素…最高の素材、技術を用いた『品質』。フランス宮廷文化の『イメージ』。手仕事による『希少性』)。
    ②「伝統」を守りながらの絶え間ない「革新」にあると主張。
    具体的な商品展開を例示しながら、如何にエルメスが一流ブランドに成長し、今もその地位にあるかが理解できる。

  • ブティックでお気に入りを見つけると、「運命的な出会い」だと思ったり、「迷っていると誰かにとられる」といった焦燥感にとらわれたり、「どうしても一緒にいたい」と願ったりする。それはちょっとした恋愛の気分とよく似ていて、まったく不合理で説明の仕様がない、というのが女性たちのエルメスに対する感情だ。

    初代ティエリ(1801-1878)は馬具の職人だったが、ナポレオン三世の時代、皇帝御用達の馬具職人となり、さらに万国博覧会に出品した鞍が銀賞を獲得する。宮廷と万国博銀賞という、最高級の馬具工房としてエルメスの知名度は一気に高まった。

    二代目シャルルが、シャンゼリゼ大通りに現在の本店を構えた。自動車の時代になっても、フランスの上流階級の男性にとって、馬車は最高のステータスとして、馬車にとってあまり脅威となっていなかった。

    3代目エミールの時代、自動車の普及が本格化すると、フランス本国での馬具の需要は減ったが、ロシア、アルゼンチン、メキシコ、タイなどの海外では依然として車が普及しておらず、馬車が主流だったため、海外に直営店を広げて、業績を回復した。
    また本国でも、馬具で培った革職人の技を、鞄などの革製品を発売し、更に香水やスカーフも発売し、経営を多角化した。

    しかし、エルメスは徹底したフランス本国での品質管理と、皇室御用達のイメージ、職人による手作業という希少性を維持し、プレミアムブランドとしての地位を不動のものにした。

    4代目ヂュマは、モナコのグレースケリー王妃が使用したケリーバッグ、女優ジェーンバーキンのバッグ、バーキンなどをヒットさせ、皇室、セレブ御用達として、業績を拡大した。

    しかし、他のブランドと一線を画すように、一切ライセンス生産は行わず、フランス本国が品質を管理することを徹底。そのため、エルメスには模造品が少ないという。 また、一般向けのセールなどをせず、プレミアムブランドとしてのイメージを重視した。 (エルメスには、アウトレット、など無い)

    「京都にはエルメスに力を与えてくれるエネルギーの源があるが、日本はそれを生かしていない。われわれはどの国をイメージするときも、消化吸収してエルメスの世界に溶け込ませ、伝統と新しさを溶け合わせていた」(4代目ヂュマ)

    日本にエルメスが受け入れられたのは、職人技によるエルメスと同じく、日本には元々、京都に伝統職人の文化があったからだという。

    エルメスのオレンジ色の箱と、茶色の紐のデザインは、3代目頭首の時代、第二次大戦中に資材が足りず、余ったオレンジ色の包装紙を使ったところ、インパクトが強かったたために、その後も使い続けたという。

  • エルメスが創業以来どのように一流としてのブランドを守ってきたのかを、エルメスの歴史も交えて解説している本。
    エルメスは並々ならぬこだわりを持ってブランドイメージを守っており、その姿勢に好感が持てます。と共に、ブランドをどう作るか、自社にも色々参考になる気がします。

    エルメスのケリーもバーキンも素敵だけど、まあ、一生持つことはないでしょうね、、、

    この本に難点を言うと、図版が少なすぎること。
    ファッションブランドを語るなら、話題にしているバッグ、スカーフの写真は載せるべきでしょう。そこに手抜きを感じた。

  • 孤高の手仕事、エルメスの実態に周辺から迫った新書は、必要があり通読しました。「イメージ」「品質」「希少」を軸に分析されています。その軸を守り続ける企業活動こそが「エルメス」であるとのコトだそうですね。
    徹底した親族経営であることが、エルメスたる所以だそうで、これも全く、その通りと思われます。

  • 「エルメス」初心者には分かりやすい入門書。

    歴史と、どのように人々に受け入れられてきたか、
    その戦略といった内容が、分かりやすく書かれており、読みやすいです。

  • 好きだから読んでみたい

    10 弁解を並べ立てて、本人や夫の給与よりも高額な鞄に飛びついている
    17ちょっとした恋愛の気分とよく似ていて・・・
    19同族経営を誇るエルメス
    26相次いで自動車を発表すると危機に瀕する
    28日本では明治大正期から皇族や家族がブランドを愛用
    29イメージ、最高級の原料と職人の技術
    31エルメスの歴史 女性に布文化から皮文化を持ち込む(鞄や財布)
    33しばらくの間、エルメスの職人がシャネルの製品にファスナーをつけていた
    35コートダジュールやカンヌ リゾート地へ支店を開設
    手ごろな価格の手帳の販売
    絹や香料の新分野
    36オレンジの包装紙の採用決定
    37スカーフの歴史
    39ケリーの登場
    40日本は出せば売れる
    43アメリカ流のビジネスに触れる
    46スカーフの結び方講習会
    47テーブルウェア
    51職人教育制度の充実
    55不思議に統一感があり・・・
    58黒い35cmのバーキンも・・・
    109エルメスの年間テーマ一覧


    20160605 コラムのために再読

全26件中 1 - 10件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ロバート キヨサ...
東野 圭吾
村上 春樹
デール カーネギ...
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印

エルメス (新潮新書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

エルメス (新潮新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

エルメス (新潮新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

エルメス (新潮新書)の作品紹介

「ブランドのなかのブランド」と呼ばれるエルメス。圧倒的に高価でありながら異常なまでの人気を得た背景には、高水準の職人技術はもちろん、徹底した同族経営、巧みな広報・商品戦略があった。馬具工房としての創業から百六十余年、「伝統」と「革新」を織り交ぜながら発展を遂げた「最強ブランド」の勝因を、日本との関わりに注目しつつ多角的に分析。日本のブランド・ブームについても考察した、ブランド文化論。

エルメス (新潮新書)のKindle版

ツイートする