授業の復権 (新潮新書)

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著者 : 森口朗
  • 新潮社 (2004年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100574

授業の復権 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  •  都内での小学校・養護学校勤務を経て、刊行当時、都立高校に勤務している著者が、授業の実践で名を馳せた(名を馳せている)人物を紹介し、著者の学力低下問題に対する処方箋を明示しようとする。

     紹介しているのは、
    ① 仮説実験授業の板倉聖宣、
    ② 算数の水道方式考案者の遠山啓、
    ③ 鍛える国語の野口芳宏、
    ④ 教育技術法則化運動の向山洋一、
    ⑤ 百ます計算・早寝早起き朝ごはん提唱の陰山英男、
    ⑥ 「よのなか科」藤原和博である。

     本書では、旧養護学校での教育(学科教育)と、小学校受験の学習内容とがオーバーラップする事実を摘示している。この点につき、個人的・経験的には同感である。

     なお、終章では、著者の学力低下問題に関する処方箋を明示する。
    ⅰ 教育技術継承と学校内のヒエラルキー化に一定の役割を果たした日教組の歴史的意義を正しく評価し、
    ⅱ 保守革新を問わず、本来教師の持っている意欲を引き出すための方法論として、生徒を様々な方法・基準で顕彰すること、
    ⅲ 教師の無気力化を引き出しかねない政治思想戦争については休戦して、生徒の学力向上のために必要なことに特化する。
    というものだ。
     このような提案が、自身保守派であると明言し、孤立化しても実践してきた著者の口から出されるというのは、非常によいことだと思う。

  • 板倉聖宣、遠山啓、野口芳宏、向山洋一、陰山英男、藤原和博といった有名な実践家の授業研究を分析している、彼らの実践を手放しで評価するのではなく、著者なりに批判的な視点で考察しているのが面白い。
    終章では現代の学力低下をいかに食い止めるか、その方策についても提案している。
    ★3.5

  • 1〜6章で超有名な実践家の取り組み、そして終章では日教組や政治的な歴史から現在の教員が学び授業研究することの困難さや問題点を追求。

    もくじ
    序章 授業こそ学校の魂
    第一章 仮説実験授業 板倉聖宣
    第二章 水道方式 遠山啓
    第三章 鍛える国語 野口芳宏
    第四章 教育技術法則化運動 向山洋一
    第五章 百ます計算 影山英男
    第六章 「よのなか」科 藤原和博
    終章 教育論争の忘れ物

    p.163
    自分で自分を教育しなければ、誰も導いてはくれない。
    ー日教組崩壊により授業研究の場がなくなったー

    p.168
    自分の力で卒業証書を受け取る喜びを絶たれて てしまった。
    ー国旗国歌法の成立により、校長の決定権がなくなった。そして、肢体不自由児のための養護学校では、卒業証書授与がフロア形式から壇上方式に変更させられたー

  •  力強いタイトルに惹かれて読んだ。学校の中心はあくまで授業であるという考えを基本にし、さらに授業を授業者の技術という面から掘り下げていく。筆者の姿勢にはブレがなく、ひとつは政治や思想を教育に持ち込まないこと、もうひとつは競争させるべきところではきちんと競争をさせることである。その上で本書は、優れた授業実践家数人を、提唱する授業技術を中心に紹介していく。

    「BOOK」データベースの説明がとてもわかりやすいので引用しておく。「 子供たちの学力低下は、授業時間や学習量の減少だけが原因ではない。教師の「授業」技術そのものが低下しているのが最大の問題なのだ。いま必要なのは制度改革ではなく、「授業」という観点に立った真の教育改革である。戦後教育史を振り返ると、子供たちの学力向上に命をかけてきた「授業の達人」たちがいる。創意工夫と情熱にあふれる彼らの実践にもう一度光を当ててみたい。そこに学校再生のためのヒントがあるはずだ。」

     取り上げられている人たちは、いずれも名前を聞いたことがある人たちで、その実践も聞いたことがある者がほとんどである。授業を「技術」ということから考えるとき、決して書かすことができないビックネームを丁寧に取り上げているという感じである。ざっとしか知らなかった先達の業績をきちんと、しかもまとめて知ることができるのは実にありがたい。細かいところではっとさせられることも多く、とても刺激的であった。

     筆者の意見そのものに、上から下まで完全に同意できるわけではない。ところどころにちょっと引っかかるところがないわけでもない。それでもなお、特に若い先生にはこの本を一読することをおすすめしたい。各章で取り上げられている実践のひとつにでも興味を持ったら、そこから詳しく勉強していけばいいのだと思う。筆者の言うとおり、民間の授業技術研究会はずいぶん少なくなってきている。また、教員の年齢構成がいびつで、一昔前の教育技術の継承が難しくなっているのも確かだ。そういう点で、大変価値がある「まとめ本」になっていると思う。興味深い本であった。

    目次
    序 章 授業こそ学校の魂
    第一章 「仮説、推理、検証」で学ぶ科学の心
    ──仮説実験授業 板倉聖宣──
    第二章 「目に見える」算数への革命的転換
    ──水道方式 遠山啓──
    第三章 「書く」「読む」「話す・聞く」で本物の国語力
    ──鍛える国語 野口芳宏──
    第四章 教科書を教科書通り教えよう
    ──教育技術法則化運動 向山洋一──
    第五章 類型化、そして反復が起こした奇跡
    ──百ます計算 陰山英男──
    第六章 「一個のハンバーガーから世界が見える」
    ──「よのなか」科 藤原和博──
    終 章 教育論争の忘れ物
    参考文献

  • 教育者とは

    かつて公立学校に週休二日制導入について議論されていた頃に
    ある教師がテレビで
    「教師も人間だから普通の会社員のように
    デートやプライベートを楽しみたい」
    と強く言っていたのを聞いて
    そうか、時代が変わったのか、教師が「人間だから」と
    他の人達と同じように扱ってほしいと「言う」ように
    なってしまったのかと嘆いてしまった
    本当の所、教師も人間で楽をしたいとか
    仕事以外の生活にも時間をさきたいというのは分かるが
    そういうのがあっても武士は食わねど高楊枝ではないが
    威厳を持ってそのような弱音は吐かずに
    尊敬される自分になれるように鼓舞していくのが
    教師という職業そのものだと思える
    ただ教師という職業の地位を落としたのには
    保護者や教育委員会などの周りにも原因がある

    このような現状において
    独自に生徒たちの教育の向上をめざして
    (あまり組織にお聞き立てをすると事が進みにくいため)
    多方面から奮闘している教育者たちを取り上げ
    それらの手法の光と影も本書では正直に説明している

    その教育者たちは当然ながら一部の人達からは非難を
    されているようであるが
    元々は利潤追求、出世目的の一般の会社員には
    考えられないような
    滅私で身を削るような思いをして事を成してきていることに
    頭が下がる思いである

  • 何もかもごったにで、極めておおざっぱな本ですが、最後の「教師にとっての褒美とはなにか」という文章については、なんというか、納得してしまいました。

    たしかに、できる教師だろうと、ダメ教師だろうと、これにだけは、弱そうだ。

  • 面白授業を紹介している。

  • 「仮説実験授業」「水道方式」「鍛える国語」「法則化運動」「百ます計算」「よのなか科」という6つの授業方法を取り上げながら、いい授業とは何かを考えさせてくれる本。
    どれも今となっては基本的なテクニックですが、その根本を知らなかったので読んでやっと自分の中で消化された感じ。
    勉強が嫌いだった大人に読んでもらいたい本。
    一読の価値はあると思います。

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授業の復権 (新潮新書)の作品紹介

子供たちの学力低下は、授業時間や学習量の減少だけが原因ではない。教師の「授業」技術そのものが低下しているのが最大の問題なのだ。いま必要なのは制度改革ではなく、「授業」という観点に立った真の教育改革である。戦後教育史を振り返ると、子供たちの学力向上に命をかけてきた「授業の達人」たちがいる。創意工夫と情熱にあふれる彼らの実践にもう一度光を当ててみたい。そこに学校再生のためのヒントがあるはずだ。

授業の復権 (新潮新書)はこんな本です

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