黒いスイス (新潮新書)

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著者 : 福原直樹
  • 新潮社 (2004年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100598

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黒いスイス (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 幼い頃の私のあこがれの国。ハイジの国。美しいアルプス。永世中立国。クリーンな良いイメージしかないけど裏はあるよねー…と思っていた。


    ロマ(ジプシー)の子の誘拐、「悪魔」のJ(JUDE)スタンプ、核問題、スパイ、盗聴、相互監視社会、ネオナチの若者、ヘロイン中毒患者のメタドン治療、HIV、マネーロンダリング…などなど。とにかく…あまりにも保守的すぎてこわい!東北のド田舎にも通じるものがある。(←それ以上に神経質) 平穏を乱すものの排除。すぐに住民に通報されるから本当に緊張した生活を送ることになりそう。く、暮らせない。別の本によると言語も地域ごとに差があり、難しいのだとか。


    大国が多い欧州の国々に囲まれて、九州くらいの大きさのスイスになだれ込んでくる難民とその問題。読んでいて複雑な気分になり、「民族」って何?と、常に考えさせられる内容でした。小さな国を守るという事は常に苦難が伴うでしょう。こわいって書いたけど、良く言うと愛国心が強く、誇りが高いとも言える。


    マネーロンダリングの章は小難しくってイマイチだったけど、それ以外の章はかなり面白かったし、何よりも驚きの連続でした。☆3.5くらいだと思うけど、興味深かったので☆4つ。

  •  永世中立国と名高いスイスの暗い側面に目を当てた本。
     以前タックスヘイブンについて書かれた本を読んだこともあり、スイスが色々と問題を抱えていることは知っていたが、政府主導で核兵器の開発が行われていた事や、国籍を取得を希望する人物を国民が決定する(本書においてはトルコ人や黒人は却下されている)という事までは知らなかった。これまでに幾多の困難を乗り越えてきた結果が、本書で書かれているような他民族に排他的な国民性となったのだろうか。

     言うまでもないことだが、本書で書かれている事のみでスイス人の人々の事を見てはいけない。事実は事実で受け止め、その人個人の事を見つめていくようにしていかなくてはいけない。そしてそれは、かつて選民思想に取り憑かれてしまい、惨劇に加担してしまった戦時中のスイス人から反面教師として学べることだと思う。


    自分用キーワード
    ロマ族(かつてスイス政府に不当な理由で子ども達が誘拐された。成人後も稼いだお金を勝手に徴収する、婚約を破談にしようとするといったことをしていた) 「J」スタンプ(ユダヤ人をスイスから締めだすために、政府がナチスに提案した施策) モーリス・バボー(ヒトラー暗殺を試みた人物) ポール・グリューニンガー(ユダヤ人の密航を手助けした人物) 国籍取得(非白人は冷遇される傾向にある) 相互監視社会(本屋において個人情報満載の本が売られており、スイスの政策を批判した筆者の友人(フランス人)は糾弾された) ネオナチ ハンマースキン(酒とドラッグを慎み、白人の世界にしようとする若者中心の組織) ダニエル・シュバイツァー『スキンオアダイ』(ネオナチ思想に溺れる若者に焦点を当てた映画) ヘロイン(重度のヘロイン中毒者に対し、少量のヘロインと副作用の弱い薬物を国が与えることで、薬物の流通を防ごうとしている) クリストフ・ブロッハー(政治家。自民族中心主義者の傾向あり)  

  • なかなか面白かった。
    本の帯にあるとおり、全くイメージでしかスイスという国を知らなかったが、この本を読んでなるほどと思ったことも多々あった。
    ロマの話に始まり、ナチス、核実験、そしてマネーロンダリングまで、筆者が実在する人物から得た情報を詳細に書かれていて、読みごたえがあった。
    また、いくつかは日本の問題にも通ずるところがあり、考えさせられた。

  • 保守的なスイスだった。
    満足度5

  • 2012/09/22読了。

    理想の国というイメージのスイスの過去から現在までの黒い一面を集めた一冊。
    幾度となく言及されるスイスの閉鎖性については、私自身も経験があるので納得できた。

  • 好感度の高いスイスの隠れた黒い一面を扱った本。

    ・・・らしいですが、読後この国へのイメージが変わることはなかったです。
    黒い面と言えばそうでしょうが、強国に囲まれた国ではむしろ防衛の意味でもこの本内のようなことを行っていても不思議はないかな、と(決して肯定する意味ではなく)。
    むしろ綺麗なだけの国家などあるのだろうか・・・?という疑問。

    移民問題についてのある若者の意見も、確かにやや過激ではありますが「信じられない意見」とは思いませんね。たぶん今移民を抱えたどの国でも似たような考えを持つ人は多くいるんじゃないでしょうか?

    この作者はスイスのことが好きらしいですが、むしろ読者よりもスイスに夢を見ていたのはこの作者なのではないかなー・・・と思いました。

  • 第1章 ロマ(ジプシー)の子供を誘拐せよ
    第2章 「悪魔」のスタンプ
    第3章 それぞれの戦い 「祖国」と「人道」の狭間
    第4章 中立国の核計画
    第5章 理想の国というウソⅠ 「相互監視」社会
    第6章 理想の国というウソⅡ 民主主義社会
    第7章 理想の国というウソⅢ 「ある政治家との対話」
    第8章 マネーロンダリング

  • 永世中立国でのスイス。その裏にあるスイスという国がしてきた黒い歴史を紐解く。

  • [裏側、覗いてみました]民主主義が根付いており、生活は満ち足りており自然も豊か......。日本人が一般的に有しているであろうそんなスイスのイメージをひっくり返すようなスイスの裏の一面を描いた作品。歴史から経済に至るまでの知られざるスイスの側面を垣間見せてくれます。著者は、赴任が決まるまではスイスに関する知識は皆無に等しかったと語る福原直樹。


    「黒い」と題されてしまうとなんともゴシップ感が漂ってしまうのですが、スイスが抱える過去の、そして現在の問題が丁寧に記述されており、スイスという国を考える上での良い材料を提供してくれているように思います。ヨーロッパの中でも独特の位置を占めるスイスについてちょっと違った角度からの情報を仕入れたいと考えている方にオススメできる一冊です。


    また、本書からはスイスという国が持つしたたかさ、そして(おそらくはスイスに限らず他の国にも見られるであろう)国家の暴力性というものが読み取れました。そしてこういう本を書かせるまでの「黒さ」をもってしてもなお、その著者に下記のとおり言わせることのできるスイスの懐の深さも感じることができ、興味本位で本書を手に取りましたが有意義な読書体験をすることができました。

    〜一度心をゆるせば、その付き合いが、一生に及ぶことも少なくない。そんな彼らの国で、なぜこのような不幸な出来事がおき続けたのか……。それを理解しようとしたのが、この本でもある。〜

    行ってみたい国の1つです☆5つ

  • 著者は毎日新聞外信部ブリュッセル支局長。
    毎日新聞の思想的なバイアスも見られる。

    さて,簡単に感想を言ってしまえば,別に黒くはない――です。

    まぁ,黒いと言えば,黒いのでしょうけど,
    大体,どの国にも似たようなことは見られるんじゃない?
    それに,スイスが過去,そして現在取っている施策も,
    まぁ,そうなっちゃうよねぇ…といえる――人道的に問題はある。
    世界レベルでみたら,それが全体益に
    反することになるかもしれないけど。

    アマゾンの評価が高かったので,
    期待していたのだけれども,普通。

    「永世中立国でスイスはいい国だ」と
    ステレオタイプ的なイメージを抱いていた人にとっては,
    得るものも多いかもしれない。

  • 2004年発行。

    私は、1291年スイスの成立から、傭兵国家による「血の輸出」を経て、1685年「ナントの勅令の廃止」によるユグノーの移住により、時計を始めとする産業を国家産業に出来、大量の雇用とまともな財政を生み出すことに成功、その後、観光産業を主要産業とし、欧州の銀行の中枢として確固として存在するスイス、その現在に至る過程を知りたかった。

    もっと言うと、「ドイツ=オーストリア、イタリア、フランス」という強国に接し、それ故4つの言語を公用語とし(自国語+3外国語)、「中立」を戦略的に位置づけている国家の成立過程を知りたかった。

    端的に「なぜスイスは4つも公用語があるのか?」に答えたかった。


    なので、興味深い記述は多かったが、自分が読みたかった記述はほとんどなかった。

    こういうこともある。

  • 永世中立国であること、国民皆兵であること、これらについて考える手がかりにしたいと思って読みました。

    強国列強の中心にあり、交通の要衝でもあるこの国が、自由・独立・良好な治安を保ち、経済的にも豊かであるために抱え込んだ諸々の事情、歴史的背景など興味深かったです。

    地方自治権が強く、直接民主制であること、中央集権制に対する嫌悪があること、やや排外的にならざるを得ない移民事情、こうした土壌からスイスの光も影も生まれていることがなんとなくわかりました。

  • スイスにも一度も行ったことがありませんが、私はスイスという国が知りたい。日本の国防の考え方を整理する上でスイスがヒントなるかもしれないからです。検索で見つけたのはこの本でした。私自身がいいイメージしか持っていない国なので、逆に悪い面から知る方が分かりやすそうですし、まずはスイスを知る上でおもしろいだろうと思い読んでみることにしました。



    理想の国スイス の実態を、ご自身の6年間のジュネーブ特派員時代の取材と実体験から書かれています。内容はスイス批判です。スイス人がいかに人権侵害や差別の意識を持ち続けているか記しています。



    前半ではスイスの歴史から、

    ・移動民族ロマ族の話し

    ・ユダヤ人のパスポートへ識別子「J」の話し

    ・スペイン民主化戦線で戦ったスイスの義勇兵への話し

    ・永世中立国の核武装の話し

    後半では、理想の国というのがウソである事例、

    ・相互監視社会

    ・ネオナチの増加、民主主義を放置した麻薬政策

    ・スイス国民党ブロハー氏の意見

    これらの引用より、説明しています。



    スイス国民、スイス国家の閉鎖的な思想、狭くて古い民主主義社会への固執が、悲惨な過去を生み、人権侵害や、差別につながり、表には中々でないが国民の心に今も残っていると言います。



    著者がこの本で最も言いたかったことは、こうだと思います。グローバリゼーションで、異民族異文化が融合していくことが当たり前になってきた時代で、閉鎖的で差別的な考え方や文化がスイスに残っていることは、時代に逆行している。人種差別思想を生み出す温床となっている。だからスイスは理想の国ではないと説明しています。



    私は著者が経験され取材された様に、直接当事者の話も聞いていませんし、ヨーロッパの歴史も深く知りません。スイスは2度の世界大戦をど真ん中で経験した国というのは知っています。特に、ドイツとフランスとの大国との戦いを目の前にして、スイスがその中で強国の侵略を受けずに生き延びる手段を模索したはずです。どちらにつくか。どちらにつけば国民が生き残れるか。



    私の意見は、著者と違うところがあります。

    グローバリゼーションだからといって、手放しで異民族異文化が融合していくことは正しい人類の流れとは思えません。双方がお互いを尊重でき、価値観を共有できてこそ、初めて融合できるのだと思っています。相手が危険な思想、危険な国家であれば言うまでもないと思います。思想や文化を無視して、国と国の交流ができるなんて思いません。



    著者が実際にインタビューした、スイス国民党のブロハー氏との会話そのものだと思います。ブロハー氏は、こう言ったそうです。「国際的な責任とは、各国が自分自身の責任を果たすこと。他国の援助に頼らないこと。経済的に自立すること。」。政治家が行う中央集権政治では非民主主義だ。村、町、国の単位があるのに、EUにまで加盟すると、フランスやドイツの専制化におかれ、ますます個人の意見が反映されなくなる。



    著者が言うように、国益と人道は必ずしも一致しません。その通りだと思います。スイスは自分たちを守ってもらわなくていい。そのかわり誰も守らない。自分は自分で守れと言っていることに繋がっていると思います。自国国益と、他国の人権や命。どちらを守るか。難しい問題です。だがスイスは自国国益を選んだ。それだけだと思います。他国の人権や命を守れとなると、いま世界中の多くの国は、他国の人権や命を無視しているので、黒い**と紹介させることになります。黒いが付かない国などほとんどない様に思います。



    スイスを、理想の国という幻想だけで判断するのではなく、スイスという国ができた経緯... 続きを読む

  • 中立を貫くことが大変だというのはわかるが、スイスの差別的な思想、互いを監視し合う社会というのはどうなのかと正直思った。でもここまで他者や異分子を拒絶しないと国としてまとまって中立を貫けないのかもしれない。

  • ユダヤ人を追い返した歴史、核開発、人種差別、監視社会、マネーロンダリング、ネオナチ・・・と話がいろいろ盛りこまれている。日本が取りうる可能性の末路を示している部分もあって興味深い。
    しかし、スイスという点を除いては全く統一感がない。スイスに行ったり住んだりするタイミングで読むのがよいと思う。

  • 内容箇条書き
    ・第二次大戦中、スイスはドイツナチスに協力。ユダヤ人を国境で追い返して虐殺に加担した。
    ・スイスは非常事態時に35万人(人口の5%)を即時動員できる。
    ・スイスには住民の個人情報をまとめた電話帳のような本が売っている。
    ・住商銅事件の濱中の隠し口座がスイスにあり、8000万円の預金が眠っていた。
    ・スイスの銀行業はスイス全体の利潤の12%を稼ぎだしており、政策決定に大きな発言力を持つ。銀行数は370、行員は12万人。
    ・スイスの銀行は第1次大戦を機に、中立国として各国の資金が流入。スイスは欧州の一大金融センターに発達。20世紀初期にドイツ・フランスが軍備拡大で増税する際に、税金逃れにスイスの口座が活用されたらしい。

  • 一般の日本人が、
    なんとなくクリーンかつ公明正大なイメージを
    勝手に抱いてしまいがちな「スイス」という国家の、
    知られざる面――軍備,核,人種差別,麻薬問題,etc――
    をクローズアップした本。

  • 昨年スイスに行くチャンスがあったけど、叶いませんでした。行ってきた人に話を聞けば、やっぱり随分いいところに思える。ところがこの本を読むと、スイスが決してほのぼのとした平和な国ではなく、民族浄化やマネーロンダリング、核武装の計画など、黒い部分が次々にあらわれてきます。本当か、と思えるほどに。
    どんな国にも難しい過去があるけれど、ぼんやりいいイメージを持っていたスイスだけに、その特徴である永世中立、EU非加盟などが、違ったものに見えてきてしまいます。

  • スイスの実態について知らないことが書かれており、私にとっては有益であった。

    スイスも自国を防衛するために戦略的に戦っているのだと実感した。

  • ▼中立国でいることは、どこの国に対しても良い顔をしていることではない。中立政策とは、強靭なバランス感覚をもって国際社会の中を生き抜こうとする努力のことである。
    ▼その中には、私たちの社会常識に照らし合わせれば、限りなくグレーであるものも少なくない。それらは、歴史として振り返った時、「黒」だと判断されることもあるだろう。
    ▼果たして「中立」とは、どのようにして作られていくのか――その様なことを考えながら読んだ一冊。

  • 観光名所、永世中立国としてのクリーンなイメージが強いスイスの裏の姿を記者としての観点から、麻薬、ナチス・ドイツ、核疑惑など色々な社会問題や歴史的な課題をテーマ毎に解説しています。一度でもスイスに行った事ある方なら「なるほど、そういうことだったのか!」と思える話が少なくないと思いますよ。これから旅行する予定がある方や漠然とスイス全般に興味ある方は必読です。

  • スイス怖い・・・

  • スイスは民主的で自然が豊か、人も優しく住みやすい国という一般的なイメージを粉々にしてくれる本。
    核問題やマネーロンダリングは有名ですが、第二次対戦時ナチスに加担してユダヤ人を迫害していたとか、ジプシーの子供を誘拐して監禁、虐待、社会的に抹殺していたとか、人種差別も相当なようで驚きました。
    数年前に行ったスイスはとても美しい国で、会う人も穏やかでしたが、なんだか他の国にはない閉塞感のようなものを感じたのも事実です。少なくとも中立国は決して平和な国ではないはずで、厳しい外交の世界でどちらの陣営にもつかず中立を保っていくにはそれなりのしたたかさが必要なんでしょうね。

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黒いスイス (新潮新書)の作品紹介

永世中立国で世界有数の治安のよさ。米国などを抜き、常に「住んでみたい国」の上位に名を連ねる国、スイス。しかしその実態は-。「優生学」的立場からロマ族を殲滅しようと画策、映画"サウンド・オブ・ミュージック"とは裏腹にユダヤ人難民をナチスに追い返していた過去、永世中立の名の下に核配備計画が進行、"銀行の国"でまかり通るマネーロンダリング…。独自の視点と取材で次々と驚くべき真相を明かす。

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