- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106100949
作品紹介・あらすじ
由布院は盆地である。かつては山に囲まれた普通の田舎だった。名所旧跡もない。温泉の湧出量は全国第二位という豊富さだが、客は少なかった。現在、旅館も増え、みやげ物屋が立ち並び、国内温泉地のなかでトップクラスの人気を集めるようになった。年間の観光客は三百八十万人、宿泊客は九十五万人を数える。この奇跡的な成功の陰にはどのような努力があったのか。「由布院ブランド」を築き上げたまちづくりの物語。
感想・レビュー・書評
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由布院の温泉観光地としてのまちづくりのストーリー。
みんなで何かを作り上げる楽しさや苦労が伝わってきます。行政側の立場でかかわってきた著者の、俯瞰的だけど由布院の人たちへの親愛の気持ちにあふれる文章がよかったです。
自然派の憩えるまちを目指すほど、明確な理想と強い意思が必要で、むしろ人工的な歓楽地の方が意思は必要ないのかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第32回アワヒニビブリオバトル「お風呂」で紹介された本です。
2017.12.05 -
まちづくりの名著
この時期にこそ、今一度読まれて欲しい。
100年かかるまちづくり、
何をやるべきなのか自分たちで考えることの大切さを、
由布院を作ったキーマン達が語る本です -
観光地「湯布院」の知らなかった一面を知れた気がする.プロジェクトX「湯布院の〜」も合わせて観ると理解が深まる。
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4-10-610094-0 222p 2004・11・20 ?
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湯布院の今日までを勉強。出張の合間に読み終わりました。
中谷さんという天才と溝口さんという人を集める魅力のある二人が、観光前にまずまちづくりをと湯布院の町に渦をおこし、町の人みんなで議論を重ねに重ね、手作りで作り上げてきた、人気の温泉地のゆふいん。
日常生活の中にある小さな温泉地は、温泉はもちろんのこと、忙しすぎる現代人の非日常となってしまった田舎暮らしと自然を提供し、それが魅力となって人をひきつける。
今、どんな施設を観光客はゆふいんの人は求めているのかよく考えて仕事したい。 -
まちづくりが観光になり、まちづくりのためにひとづくりが必要。
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由布院、いいとこなんですよね。由布院の町がどのようにして作られてきたのかを愛情を込めて描く佳作。
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特に有名な史跡や観光地を持たない由布院温泉が、どうやって日本を代表する温泉地に成りえたのかまとめられた本。
黒川温泉とは取組みや思想が異なるのが面白い所。とはいえ、地域が一丸となって取り組むのは必要最低条件といった印象でした。 -
まあ、いい本でした。
誠実なまちづくりをしている人たちを、誠実に捉えているという感じで、読んでいて心地よかったです。
いろいろ勉強になりましたし。
団体観光客型の観光地に未来がないのは明らかだし、観光が滞在型観光になったら、もはやそれは定住と変わりがない・・・ というのは実際に起こりうることでしょう。
そうなったときに、地域というものがコンテンツとして消化されること(テーマパーク化)は許されるのか、とか、もっというと「スノッブなお金もちが多数の人間にかしずかれて広大な屋敷を占有している姿って、グロテスクじゃない?」というようにも思う。
まあ考えすぎかもしれない。たぶんそうなんだろう。
というか、現場を知らずに、頭の中でこねくり回した問題だの危機だのを振りまわしているのはたちが悪い、と自分でも思う。上から目線にすらなっていないで、滑っている。ただのノイズだ、と。
50年がかりで目の前の現実に取り組んできた人相手に、そんな姿勢も取れんわな。不誠実すぎる。
だけれども、だからといって現実にさえ向かい合っていればいいものでもない。
だって、別府だって熱海だってその時代なりの現実と向かい合ってきたのだから。
だから、ポジショニングの問題にすると、行き場がなくなる。すぐにデッドロックに乗り上げる。
これを解決するのは、たぶんお金って視点だと思う。
収益上がっているの? もし別府や由布院が一つの企業だとしたら、その株価はどうなる? 収益モデルは健全? どれぐらいを将来のための研究開発投資にまわしている? そういう視点で見ないといけないと思う。そういう視点が正しいとか絶対だとかいうのではなくて、思考の補助線として。
気持ち、とか、思い、とか、実践、とかそういうことはたくさん書いてあり、それぞれ納得のいく内容の本だけど、金銭的な側面からの記述はなかった。
そこが残念だった。