仁義なき英国タブロイド伝説 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106100970

感想・レビュー・書評

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  • ヴィクトリア朝時代の上流階級の生活でも描いているのかと思うほどの現実離れした虚像ばかり取り上げられる我が国の英国本。かの国の美しくない素顔が論じられないことに不満の方は本書をどうぞ。自身の主張は脇に置いて、テンポよく綴られた大衆紙の魅力を存分に伝える本である。英国では一般紙よりも大衆紙のほうがはるかに売れており、我が国でいえば、読売や朝日よりもスポーツ新聞のほうが人気みたいな話。だがこれらの大衆紙は、スポーツ紙がかろうじて保持している良識すら二の次の、何でもアリのスクープ合戦に日々その身を投じている。徹底した売らんかな主義こそタブロイドの正義。いかにもアングロ・サクソン的狩猟本能がジャーナリズムの世界で発揮されるドラマは一読の価値あり。日本人には真似のできないトバシっぷりである。

    タブロイドの歴史も面白い。三大大衆紙の「サン」「ミラー」「メール」が祖先をたどれば同じ一族の刊行によるものだとは知らなかった。「サン」を買収した新聞王マードックと「ミラー」を手にしたマクスウェルのライバル対決を、ジェフリー・アーチャーが小説にしていたのも初耳。不運にもタブロイドの"標的"にされたダイアナ妃と、フットボーラーベッカムを取り巻く事件、王室への潜入捜査に成功した一件など、ここまでやるかのタブロイド魂を紹介している。著者がお固いNHKロンドン特派員なのがちょっと意外。

  • ネットで見かけて。

    英国のタブロイド紙がかなりえげつないことは知っていたが、
    その成り立ちや抗争が書かれていて面白かった。

    まずは、
    警察がきちんと捜査しなかった黒人男性の殺人事件の犯人を追及したのが、
    移民排斥の傾向がある保守派のタブロイド紙だった理由が、
    編集者が被害者の父親を使用人として雇ったことがあったからという
    かなり個人的なものだったのが意外だった。

    二大タブロイド紙が、
    オーストラリア人と東欧移民がオーナーとなっていたのも面白いし、
    海千山千の記者や編集者たちがインチキなネタをつかまされるのも面白かった。

  • 「読んでもちっとも賢くならないが面白すぎてやめられない」英国タブロイドの世界のご本。ベッカム・ダイアナなど日本でも有名な方の(裏)話に加え、とても国家権力に操られているとは思えない歯に絹着せない報道っぷりにスカっとします。確かに、賢くはならないと思いますが、非常に楽しめる本かと。

  • [ 内容 ]
    王室のタブーを暴露し、ベッカムを「スーパースター」に仕立て上げ、時には政権の行方をも左右する英国大衆紙。
    ネタを演出し売上げを伸ばすためなら、潜入取材、隠し撮り、やらせと手段を問わない。
    紙面には、大スクープと大誤報、ゴシップと偏見、政策論議とヌード写真までが、ごった煮のごとく詰まっている。
    読んでもちっとも賢くならないが面白すぎてやめられない、英国タブロイドの世界へご招待。

    [ 目次 ]
    第1章 これぞタブロイド魂!―王室潜入ルポと殺人者「名指し」報道
    第2章 ダイアナは永遠に
    第3章 「ベッカム様」の作られ方
    第4章 奇人変人大集合―タブロイド小史
    第5章 ブレアとマードックのアブナイ関係
    第6章 権力を握ったタブロイド記者―アレスター・キャンベル物語
    第7章 プロパガンダと大誤報―イラク戦争とタブロイド

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著者プロフィール

上智大学文学部英文科教授、英国フットボール史専攻

「2004年 『サッカー文化の構図 熱狂の文化装置論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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