- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101038
作品紹介・あらすじ
現役判事が司法の抱える問題点を鋭く突く。不要に原告を疲弊させ、理不尽に被告を傷つけ、無駄に裁判を遅延させる「蛇足」の正体とは何か。戦後補償訴訟、中国人の強制連行、ロッキード事件、ロス疑惑、「悪魔ちゃん」事件など、現実の裁判を例にあげて蛇足の弊害を明らかにする。まったく新しい視点から裁判を論じた画期的な提言。裁判を見る目が一変すること間違いなし。
感想・レビュー・書評
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判決に関わりない蛇足ともいうべき部分が判決の理由欄の大部分を占めたり、判決そのものよりも重大な社会的影響を与えたりすることの無駄、違法性を説いている。
結局のところ、判決の要点と蛇足の部分をメディアが恣意的に混同し報道する姿勢こそが最大の問題点なのかな。
判決で勝った場合、その理由欄に大きな不服があってもそれを正す機会が無いというのは確かに問題だろうけども。 -
著者は「判決文が短い」という理由で再任されませんでした。おまえはしゃべらなさすぎ。
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『司法のしゃべりすぎ』井上薫。読了。一般に向けたというよりは法曹界に一石を投じる一冊。メディアリテラシーのあり方を考えざるをえないな。しかし国家無答責ってのは随分な気が...
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蛇足判決の解説にとても納得した。
法曹界以外でも通じることが多いと感じる。
結論に影響しない事実認定の作業に手間をかけすぎたり、えん罪に近いものを生じさせたりを自分もしているのではないかと、本書を読んでから常に意識するようになった。 -
著者は執筆当時は現役判事でしたが、本書での主張を貫いて退官された元判事の方。裁判による判決の中で、判決の理由には直接関係のない「蛇足」が含まれることを徹底的に批判しています。英米法では、判決の中でも先例拘束性のある「レシオ・デシデンダイ(ratio decidendi)」と傍論である「オビタ・ディクタ(obiter dictum)」が峻別されていますが、日本の法体系でここまで徹底した議論を展開するのを読んだのは初めてです。ただ、「蛇足」は単なる「蛇足」にとどまらず、裁判の迅速化に反するのみならず、一人歩きをして訴訟制度の歪みを産み出し、民主的コントロールが弱い司法が立法権まで手を出してしまう危惧があるという主張は、ラディカルながらも考えさせられました。惜しむらくは、結論をあまりにも早い段階で提示してしまい、その後は論証を補足していくという構成なので、法曹の書く文章に慣れていない方は、最後まで完読するまでに飽きてしまうかもしれませんね。
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現在の判決書の書き方を含めた司法の在り方に批判を加える一冊です。
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[ 内容 ]
現役判事が司法の抱える問題点を鋭く突く。
不要に原告を疲弊させ、理不尽に被告を傷つけ、無駄に裁判を遅延させる「蛇足」の正体とは何か。
戦後補償訴訟、中国人の強制連行、ロッキード事件、ロス疑惑、「悪魔ちゃん」事件など、現実の裁判を例にあげて蛇足の弊害を明らかにする。
まったく新しい視点から裁判を論じた画期的な提言。
裁判を見る目が一変すること間違いなし。
[ 目次 ]
第1章 晴らすことのできない濡れ衣(すわ、殺人事件発生;損害賠償請求訴訟提起さる ほか)
第2章 判決理由とは何か?(話題にすること自体に意義がある;理由とは何か? ほか)
第3章 饒舌禍の実例(ロス疑惑(実例1)
中国人の強制連行(実例2) ほか)
第4章 蛇足の弊害(当事者のマイナス;裁判所のマイナス ほか)
第5章 打開策はあるか(裁判所内で;法曹全体での打開策 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
判決するにあたって不必要な理由を付けることによって様々な弊害が出てくるってことを繰り返し繰り返し述べている本。筆者の考えた例のような案件がいっぱいあるのかと思えば、どっちかっていうと、判決に必要がない裁判官の個人的な考え方までが判決理由に述べられることによって、立法の権限がない司法が出しゃばってきているってかんじの例が多かった。確かにそれも問題だと思ったし、掲載されている新聞記事を見て、筆者の言うように蛇足ばっかりで面白いと思ったけれど、いかんせんこういうパターンばっかりでちょっと飽きた。それに、論理的に原因・結論だけの裁判を実際に臨む人がどれだけいるのかも疑問。クドクドややこしい言葉使って、図なんかも使っちゃってるけれど、内容的には繰り返しだし、そんなに濃い内容じゃない。