14歳の子を持つ親たちへ (新潮新書)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101120

作品紹介・あらすじ

いったいこの時代に子を持つというのはどういうことなのか。「子どもたちの暴走」にどう対処すればいいのか…。思春期の子どもたちと日々向き合う精神科医と、「成熟」や「学び」について考えつづける仏文学者が徹底的に語り合う。役割としての母性、「子どもよりも病気な」親たち、「ためらう」ことの大切さ、脳と身体の関係など、意外な角度から親子の問題を洗いなおす。少しだけ元気の出る子育て論。

感想・レビュー・書評

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  • 14歳というマジックアワー(石田衣良、内田樹&名越康文、若松英輔) | 本の処方箋、どうぞ♪ | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!
    https://mi-mollet.com/articles/-/29161?layout=b

    内田樹、名越康文 『14歳の子を持つ親たちへ』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/610112/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      こう言う話を聞くと、カニグズバーグを読みたくなりません?
      こう言う話を聞くと、カニグズバーグを読みたくなりません?
      2021/04/23
  • 確かにこの本を読むと子どもを持つのが怖いという気持ちを理解できてしまう。でも、子どもを持つのなら知っていなければいけないことが書いてあるので、世の中の大人に読んで欲しい。子どもは訳わからない、だから、怖い。といって避けていたら、子どもには親はいないものとされる。そんな訳わからない子どももやはり身近な大人を見て育っていくわけで、子どもの世界がわからないことを楽しめなくては子育てはできないだろう。
    二人の言葉に目を見開かされるような思いがして、感動しました。図書館で借りて読み始めましたが、これは身近に置いておきたい本だと感じ買いに行きました。考え方が偏っていると感じる部分もあったけど、それも含めてこの本の個性が出ていると思う。

  • 内田樹と名越康文による教育・コミュニケーションがテーマの対談集。
    平易な言葉で語られているので読みやすい。

    「要するに」「結局」という思考回路をまず止めるところから始めようと二人。
    要約からはみ出た部分、ノイズをすくい上げる必要性を説く。

    「コミュ力」こと「コミュニケーション能力」の意味が現代では履き違えられている。
    「コミュニケーション能力」とは『発信』ではなく、
    何を言っているのかはっきりわからないことを『受信』する能力のこと。
    語彙は聞いたことのない語を受信することによって、
    「あっ、こういう言葉が存在するのか」と驚くことを通じて獲得されるから。

    まだ未発達な子供が、自分の想いや意見をはっきりとした言葉で言えるはずがない。
    言葉に詰まってしまったり、複雑な感情だったら語彙力が追いつかないから
    黙ってしまうというのが小学生中学生にとっての「当たり前」なわけで。
    本当に感受性が優れていて言葉を大切に扱う子供は口ごもって「シャイ」になるはず。

    コミュニケーションにおいて、自分の意見をはっきり言うなんて後でもできること。
    発せられた言葉からどれだけの意味を感得できるか、
    どれだけのことを自分のなかに取り込むことができるか。
    それこそが大事なのに。

    親は期間限定の役割で、一時的な関係。終わりは必ず来る。
    子供に対して親が影響を与えたりとか、
    ある程度言葉が届く時間は限られている。
    だから、その時間に届く範囲のことを考えて、
    その中でできるだけ具体的な提言をするということに尽きる。

    「しつけ」って「ルーティン(同じことの繰り返し)」のこと。
    何を言うかじゃなくて、何を周囲にいる人間の行動から感じてもらうか。
    同じ時間に起きる。
    同じ時間にお風呂に入る。
    同じ時間にご飯を食べる。
    寝る時には必ず「おやすみなさい」という。
    そういう当たり前のことの繰り返しの大切さを説く。

    まだ子供もいない、妻もいない自分が読み込んでしまった。
    いつか役に立つ日は来るのかしら。

  • 子育てについてのhow to本ではありません。
    多くの子供たちに関わってきた著者たちの言葉に教えられることが、今まで正しいと思い込んでいた事が、実はそうとも言えなかったようだということにも気づかされた。
    「14歳の」とありますが、子どもの年齢に関わらず、とても参考になる一冊。

  • 文化資本のことが知りたくて読んだ本。

    だけど、文化資本だけでなく全編を通してすごく面白かった!
    日本社会が今現在抱えている問題を、経済がヤバイ!とか政治がヤバイ!とかいう各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。
    で、その日本社会の病巣って言うのは、やはり親と子の関係性(関係性の欠如)から始まっているらしい。
    子供をそのままそっくり承認することの重要性、シャイな子を評価できない社会の危うさなどなど、 それだけでものすごく興味深いトピックが散りばめられてて、納得すると同時に知的好奇心が刺激された!
    あー本読んでる!って感覚になれた。
    名越さんの専門的具体的な視点と内田さんの感覚的な視野がぴったりあってるような感じがした。

    何年か後に再読したら自分の引っ掛かるポイントが違う気がする。
    また読み返したい本だ。

    あとタイトルについて。
    14歳の子を持つ親たちへということで、まだ学生の自分が読むべきかどうか悩んだ。
    けど読み終わってみると、このタイトルは本当にそこらへんの親を対象にしたわけではない、つまり一元的な意味合いではないんだということがよくわかった。
    14歳の子っていうのは人間の人生の中で身体と頭のバランスがとれなくなり始める時期。そこに我々も立ち返って人間だとか社会だとかを考えてみようじゃないか、っていう感覚をうけた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。」
      内田センセの本は、「あっ」とか、「えっ」の連続で頭が活性化されますね。
      内田×名越がお気に召...
      「各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。」
      内田センセの本は、「あっ」とか、「えっ」の連続で頭が活性化されますね。
      内田×名越がお気に召しましたら「辺境ラジオ」もどうぞ!
      2012/12/11
  • 言葉に詰まる子に対して、いくら言葉に詰まっても構わない、先生はまっててあげるから大丈夫だよ、と告げることの方がずっと優先順位の高い教育課題じゃないですか。人前で語ると、どうしても恥ずかしくて言葉がつまっちゃうという子供に、「シャイネスというのは美徳なんだよ」って言ってあげること、あるいは、中途半端な言い方をしてしまって、「こんな言葉づかいじゃ、僕の気持ちが伝えられない」と、すぐに前言撤回しちゃうので、話がグルグル回るばかりで、さっぱり結論に至らないというような、そういう子どもに対しては、そういうときこそコミュニケーション能力が飛躍的に成長する決定的なプロセスを通過しつつあるんだということを、忍耐強く看て取ってあげないといけないと思うんです。

  • タイトル、なんでこうしたんだろう。子どもたちのことと言うより、社会のムード的な話が中心になってるから。日頃、思ってること・気になってることを言葉にしてくれたって感じの内容も多かった。

    「コミュニケーション力」
    言いたいことを一方的に発信するのがコミュニケーションじゃない。むしろ受信力が弱まってないか、と。察する力。非言語的なものも含めて、全体から感じ取る力はどこへ?

    「要するに」「結局」と一言でまとめちゃう限定的な理解の横行。これをされると、話しているほうは本当に無力感に襲われる。

    「外界を遮断」
    自分に関係ないものは、見えない、聞こえない、意味がない。こうしなきゃやってられないようながしゃがしゃした社会ではあるけれど、でも。

    人とのかかわり、社会とのつながり、そういうのが根本的に違ってきてるんだねぇ。

  • タイトルを見る限り育児書の類を想像しますが、内容はむしろ親に対する他者とのコミュニケーション、立ち居振る舞い、暮らし方の提言。子供を育てる前に、まず自分の姿勢を考えさせる1冊。

  • 出産は得なのだそうだ。
    子供を産むと、
    母親自身の身体的・知的ポテンシャルは向上するし、
    子育ての過程で人間的に成長できるし、
    社会的パフォーマンスも上がる。

    けれども実際の行政の出産育児を「支援する」という発想は、
    「出産は苦痛で育児は苦役」というネガティブな前提でもって語られているため、
    まったくインセンティブにはならない。

    ふむ、納得できる。

    たぶん結婚もそうなのだろう。
    結婚は社会的にも人間的にも大きな効用がある。

    うーん。

    結婚とか恋愛について、
    なんか色々考えがめぐるけれど言葉にならないなぁ。

    また後で考えるか。

    「知性は情緒の豊かさ」という言葉はなかなかクるフレーズですなぁ。

  • 決して「14歳の難しい子供たちをどう扱いましょう」というハウツー本ではない。が、うっ…と胸を押さえたくなる言葉がたくさん見つかる。手元に置いて、幾度も読み返したい。
    相変わらず付箋でいっぱいにしたいウチダ本なのであるが、特に印象的だったのは「子育てに正解はない。一番大事なのはルーティン」。だいたい同じ時間に起きて、家族でごはんを食べて、寝るときは「おやすみなさい」を言う。そこからだと。
    娘が通ったシュタイナー教育の幼稚園での勉強会を思い出した。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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