自閉症の子を持って (新潮新書)

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著者 : 武部隆
  • 新潮社 (2005年5月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101182

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自閉症の子を持って (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 自閉症の子を持った父親のそのままの声。

    終盤は自閉症の診断基準などの一般的な話。自閉症の子は、世界がすごいスピードで迫ってくるという体験をするという話は面白い。

  • 正直にさまざまな心情を吐露するという態度が貫かれていて好ましい。カッコつけたり妙にまとめようとしていないのでよいと思う。

  •  軽度自閉症障害(広汎性発達障害)の子供を持つ著者によって書かれた本。はじめて喋った言葉はアルファベット、十八番は「ABCの歌」、公園でみんなと一緒に遊ぼうとしない、落ち着きの無さといった特徴から医師に診せたところ、上の診断名が下ったという。
     今日では、自閉症障害に加え、アスペルガー症候群や高機能自閉症といった軽度障害が発生する割合は一万人に百人から百二十人となっているという。

     当たり外れもあるのだろうが、救いを求めて保健センターに電話して「発達は個人差が大きい」だの、「(民間の施設を紹介出来ないかという問いに対して)ウチは公的機関だから情報はありませんねえ」という冷淡な対応をする職員がいるのは残念である。
     また、幼稚園に入園するのにも、(姉が通っているということもあり)向こうで呼んでおきながら、冷たい雰囲気の中で入園面接をさせて不合格とさせられてしまうなど、嫌なことが続く。が、「息子を厳しく評価しすぎていた。親が見方になってやらなくては子どもが孤立無援になってしまう」ということに気が付き、最終的には良い環境に恵まれた幼稚園に巡り会えた。
     筆者は「特殊教育に通うことで「手厚いサポート」を受けることが出来るだろうが、軽度発達障害児が自立できる機会を奪い、自分で税金・社会保険料を負担して「支える側」に回れなくなるのではないか」という理由で普通学級への進学を希望した。
     その小学校への進学の際には、婉曲な言葉で指導主事から特殊教育を受けるよう勧められたが、さすが頭の回転の速さが求められる記者というか、「面談に来た72人の内、その全てが体験入学を希望したのか」という相手の矛盾を突く問いかけで相手を揺るがした(実際は30人が希望)。

     日本の政策体系では、需要が確定しない限りは国や地方の予算が優先的に配分されないことになっており、自閉症を始めとする有病率がはっきりしないものには十分な資金が回らない。そのために苦しんでいる家族が大勢いるのだが、こうなったのは疫学研究の不備が原因であり、文部科学省も大々的な調査を行い対策を考えると述べたとはいえ、六歳以降の子が対象でそれ以前の子は福祉サービスの給付対象にならないという問題を抱え込んでいる。とはいえ、2004年には「早期発見」「早期支援」「専門家の育成」を重視した「発達障害者支援法」が成立していることから、少しづつではあるが、前進しているようだ。
     もっとも、日本の福祉政策は「障害の重い方から順番に」というスタンスなので、「高機能」も障害児の優先順位は低いままとなってしまっている。加えて小児科医、それも発達障害の専門医の数が非常に少ないのも問題である。

     筆者が語っているように、「障害者の存在を当然のものとして受け止める心のバリアフリー」、「そこにいても構わないよ」という心の余裕が世の中に広まっていけば、住みよい社会になっていくだろう。

    自分用キーワード
    三遊亭金馬『孝行糖』(軽度自閉症の典型的なパターンが示されているとのこと) レオ・カナー(自閉症の存在を認知させた) 重度優先主義 エルベテーク(筆者がお世話になった教育施設) クレーン行動 作業所(自閉症の人が勤務する事がある) 自閉症スペクトラム理論 進化心理学 扁桃体(サルの扁桃体に手を加えた実験を行ったところ、身振り・社会的信号を出さなくなったことから、自閉症においてもこれが関係しているのではという学説がある) 接近ー回避判断 キレート治療(「自閉症は水銀の過剰摂取が原因」という説に基づき、体内から重金属を排出する治療。否定的なデータが多いという) 自閉症児を家族に持つ医師・歯科医師の会 ドナ・ウィリアムズ『Nobody Nowhere』(邦題『自閉症だったわたしへ』) ニキ・リンコ(高機能自閉症の翻訳家)... 続きを読む

  • これは読むのが辛い本である。親が骨身を削って奔走しかなりの僥倖に恵まれなければ、たとえ我が子が自閉症と診断されても「適切な訓練」は受けられない。公的機関に相談しても担当者によって対応は異なるし、公的施設の受け入れが難しい場合も民間施設との連携は殆んどない。結局、システムとして不完全ということである。自閉症児の親は何の展望ももてないまま疲弊し、ただただ打ちのめされる。著者が「親に対するケアが絶対に必要だ」と力説する所以である。著者の場合、最初に診察を受けた女医の「適切な訓練をすれば、小学校入学までに他のお子さんと変わらないレベルに発達する可能性は十分にある」という言葉が支えになった。こうした経験の中で発せられる次の言葉に、我々も自省を迫られる。

    「心やからだにハンディを抱えた人々が『障害者』になるのは、本人ではなく周囲、社会の仕組みや健常者の心の在り方のせいなのだと思えてならない」

  • 親の視点からの広汎性発達障害。なんとか普通学級に入学できそう、というところで話が終わってる。

    著者は新聞記者さんで、冷静な文章構成の中の親としての想いが、とてもよかった。

    しつけはむずかしい。
    でも、厳しくても、小さい時に修正できることはしておかないと、がまんすることをしないと、大きくなってから、大人になってから、苦労するのは本人だから。

    出版年から計算すると、子どもさんはいま6年生かな。
    その後の彼を知りたいなと思った。

    「無関心でもいいから、そこにいて構わないよ、という余裕のある社会になってほしい」と、私も切実に思う。

  • んむむむむ。幼稚園(によって)は子も親も教育する力があるんですね・・・。

  •  読みやすくて、とても勉強になりました。
     実際に障害を持った側からすれば、“普通に”接して欲しいというのが一番の願いなのだと知りました。優しくしてとか、特別扱いして、とかではなくて、あくまで普通に。
     わたしたちは障害者に対するとどうしても、優しくしなきゃ、気を遣わなきゃ、と思ってしまいがちですが、そう思うこと自体が既に、障害者に対して壁を作ってしまっていることになるのですね。気遣う気持ちに悪意がない分、その気遣いを捨てて“普通に”接することはとても難しいと思うのだけど、本当の意味のバリアフリーのためには不可欠なことなのでしょう。

  • 小説という括りにすると間違いなんだけれども…。筆者が記者なだけあって文章が上手く、読んでいて妙にリアルさを感じてしまった。

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自閉症の子を持って (新潮新書)の作品紹介

長男が二歳の段階で軽度自閉症と診断された。医者は「適切な訓練」を受ければ、小学校入学時までに健常児に等しいレベルになると言う。しかし、「適切な訓練」を求めた著者の先には数々の障害が待ち構えていた。「重度重視」の福祉政策、専門医の決定的不足、「特殊学級」を強いる教育関係者、そして、時に「鬼」と化する自分自身の心…。これまで語ることの少なかった自閉症児の父が綴る、渾身の手記。

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