キヤノンとカネボウ (新潮新書)

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著者 : 横田好太郎
  • 新潮社 (2006年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101533

キヤノンとカネボウ (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  •  有名な会社の名前が二つもタイトルとして使用されており、二者間の比較でもされているのかと、気になり読んだ本。
     本書は元カネボウ、現キャノン(本当の会社名は「キヤノン」なのだが、いちいち打つのが面倒なので「キャノン」とする)の社員によって書かれた、二社間の環境・体質の違いを当事者から見た記録である。
     他の方もレビューしているように、この本にはさっと目を通す程度の情報が含まれており、企業研究には一応使えるかという内容しかないように思われる。筆者が現役のキャノンの社員ということもあり、企業のイメージアップともとれるような文章があるのも事実である(個人的にあまり元経団連会長にいいイメージを持っていないというのもあるが)。もっとも、会社の歴史は知ろうとしなければ分からないものなので、日本を代表する企業に興味がある人には十分に価値があるのかもしれない。

     第一章は筆者がカネボウに入社した当初に感じたことの記録である。
     配属した工場の社員(600人)のうち70%が女子工員(多くが中卒)のうえ、魅力的な環境を提供するためにNHK高校と提携した学院で教師として教えるなど、働きやすい環境をつくるのに必死になったり、「金の卵」と言われた安い労働力の彼女達を充員するために行った家で、『山椒太夫』の世界のような、人買いとも呼べる行為が行われていたことにがっかりしたこと、その一方で所属した軟式野球部や、強豪と言われた硬式野球部、女子バレーボール部があったことを振り返り、全国に「鐘紡町」が三つもあった頃から随分変わってしまったことを残念に思っている。

     第二章はカネボウの本社(繊維事業部)に移ってから化粧品部門に移るまでのエピソードである。10万坪という敷地を有し、本社ビルや工場、研究所の他に野球グラウンドと動物園までも置かれていたそうである。
     仕事の面でも「カネボウ・消防・泥棒は遅くまで仕事だ」という専務の口癖から伺える熱心さ、近隣の店からも「いくらでも貸します」(質屋)、「十三になど行ってはいけません」(タクシードライバー)という言葉が出るように尊敬を集めていたようである(十三の飲み屋は場末で相応しくないとのこと)。
     その一方で、社内では人事部へ行った、かつ慶應卒の人間が派閥を作って理事の選挙シーズンには票集め、式典で失態を犯した総務部のノンキャリアを左遷してしまうという嫌な空気を作っていたことや、商売のスタイルが「買ってくださいではなく、売ってやる」という態度であったことを自己分析している。
     繊維業界の雄であったカネボウは当時「十大商社」と呼ばれていた会社とも強い繋がりがあり、決算期に困ったときは在庫の買取りを行ってもらい、その恩義に報いるために次も商売をまかせていたいう。
     それだけならばどこの会社にもある話だが、繊維業界は生地を売って製品で買い戻すときに価格を勝手に設定する、商品に利益を乗せて売りを建て相手に利益を上乗せさせて買い戻す事も行う、筆者曰く「密林のジャングル」であり、結果としてこれが実際の在庫がどこにあるのか分からなくなる「宇宙遊泳」となり、斜陽となった業界でにっちもさっちも行かなくなり、今日に至ったのだという。
     かつては朝鮮戦争の特需で35か月分のボーナスを出したり(ガチャ万景気)、繊維を取り扱っていたならではのコレクション(テキスタイルプリント・油絵・コプト綴れ織)、山水庵・去来庵を有していた「空前絶後のコンツェルン」がこのような事になってしまうなど、当時の人は想像出来ただろうか。

     第三章は、筆者が化粧品部門に移った後の話である。セールスマンとしても働いていたようで、店頭での主力の美容部員達と共にノルマ達成に奮闘し、毎年秋の慰安旅行では疲れを癒したそうだ。同じ会社であるのも関わらず、部署の違いでこ... 続きを読む

  •  読みやすくて、半日で読み終わってしまった。でも、得るものは少なかったかな。企業研究には役立つと思う。キヤノンに行きたい学生は読んだ方が良いかも。

  • [ 内容 ]
    戦前、日本最大の民間複合企業として君臨し、その後凋落していったカネボウ、町工場から出発して日本を代表する企業に成長、経団連合会長まで出したキャノン。
    「感性」で勝負する文系企業と、「知性」による研究開発で発展してきた理系企業。
    全く対照的な両社に勤めたサラリーマンが、「内側から見た企業文化」を描き出す。
    繊維業界の風習や、発展の原動力となった「キャノンの常識」など、貴重な証言も満載。

    [ 目次 ]
    第1章 高度成長とともに
    第2章 繊維業界は「密林のジャングル」
    第3章 化粧品は「金のなる木」
    第4章 本当に同じ会社?
    第5章 経営者の責任
    第6章 キヤノン入社
    第7章 ものづくりのDNA
    第8章 キヤノンの常識
    終わりに企業文化と価値観

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ふーんっていう感じです。
    特に良いも悪いも感想はないですが、大手という甘えはどこの企業も捨てるべきだと再確認しました。

  • 現役のキャノン社員が書いた本。カネボウに23年、キャノンに10年というサラリーマン。いわゆる企業評論とは違い、一社員の目線で2社の明暗を書く。読み物としては面白いが、使える情報はあまりない。今キャノンの仕事をしているので、その会話に若干使えるかな、というくらい。

  • 会社に入ったら文系理系の区別も、経済学者も科学者もない。ビジネスマンでなければならない、という言葉が印象に残った。それにしても筆者は、あまりに対照的な2社に勤めたもんですね。(2008-08-19読了)

  • これはすごく勉強になりました。カネボウに23年、キヤノンに10年間務めた現役の社員さんが書いたもの。その変の業界研究本とちがうのは、やはり社員が書いたということで現場の生の声が聞けるということですかね。2時間程度で読み終わります。

  • それぞれの企業文化が中にいる人によって書かれているので理解しやすい。特にキヤノンの章はお薦め。

  • 著者はカネボウに23年、キャノンに10年勤めたサラリーマン。倒産した老舗企業と町工場から世界的企業に成長した企業
    。粉飾決算までしたダメ経営者と日々努力する経営者。昼の役員会に社費で5000円の鰻重の企業と毎朝8時から朝会を続ける企業。明暗くっきりの企業比較。当たり前のことが当たり前に出来ない企業に投資価値はない。

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キヤノンとカネボウ (新潮新書)の作品紹介

戦前、日本最大の民間複合企業として君臨し、その後凋落していったカネボウ、町工場から出発して日本を代表する企業に成長、経団連合会長まで出したキャノン。「感性」で勝負する文系企業と、「知性」による研究開発で発展してきた理系企業。全く対照的な両社に勤めたサラリーマンが、「内側から見た企業文化」を描き出す。繊維業界の風習や、発展の原動力となった「キャノンの常識」など、貴重な証言も満載。

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